逓信省型式試験合格受信機写真
Radio set Passed Examination by The Ministry of Posts and Telecommunications

第27号 ビクター4RS-1型 4球スーパー 日本ビクター(株) 1948-49年 7,300円

No.27 Victor Model 4RS-1, 4 tubes Super Heterodyne, Victor Co., of Japan Ltd. , 1948-49 , JPY 7,300

初期型

   

TUBES: 6C6 6C6 6Z-P1 12F, 5" Permanent Dynamic Speaker

ビクターの小型スーパー受信機。国民型受信機と変わらない真空管配置で再生式4球スーパーとしている。この機種は、当初の雑誌記事では当初ベークライト成型品のキャビネットで企画されたが、実際にはベークライトの入手難からこのようにアルミ鋳物のキャビネットで量産された(2)。シャーシも当時軍需用の余剰物資として豊富だったアルミが使われている。

この実機は、松下製のIFTを使用して6WC5 を使った標準的な5球スーパーに改造されている。ツマミは失われていたが、文献(2)の表紙に掲載された写真から判明したツマミと同型のものを取り付けた。スピーカは失われている。

(Colection No.11967)

・後期型

 

4RS-1型は、途中で大規模な変更が実施された。キャビネットは普通の木製に変更され、シャーシもアルミ製から鉄製に変更された。

本機は、コイルが交換されて高一受信機に改造されている。また、ツマミはオリジナルではないと思われる。

(Colection No.11855)

・解説

このセットの中間周波数は標準的な463kc、第1、第2検波ともグリッド検波となっている。国民型受信機相当の部品を使用するということから、周波数変換管には6C6が使われた。このため、変換段はほとんど利得がない。従って、感度は6C6グリッド再生検波、6ZP1増幅の3ペン受信機相当ということになる。この機種は550kcから1500kcの全帯域で日本通信機械工業会の国民型受信機規格を満足する選択度を持つ国民型受信機の改良型として製品化された。確かに分離性能の向上というメリットは得られた。しかし、4球スーパーは感度が高一受信機より低いという欠点があった。当時、東京などでは第一、第二放送及び駐留軍放送があり、分離の良さが必要ではあった。しかし、大半の地域ではNHKの2つの局しかなく、その周波数は大半が1000kc以下を使用していた。感度を犠牲にしてまで分離や感度特製の均一性などを追求してもユーザにとって大した意味はなかった。ここに紹介する2台の実機が、いずれもより高感度な回路に改造されていることが、厳しい現実を表している。この機種は、本来の性能を発揮する民間放送の放送開始を待つことなく、1949年に生産中止となった。

民間放送開始直前にも、安価なスーパー受信機として他社から4球スーパーが何機種か発売されたが、商品として成功したものはなかった。

掲載誌:
(1)『電波科学』 1948.1 (日本放送出版協会 1948年)
(2)『電波日本』 Vol.45 No.3 1948.11 (日本電波協会 1948年

(1)Appeared on The Denpa Kagaku (Radio Technic & Science) 01/1948 published by Nippon Housou Shuppan Kyokai
(2)Appeared on The Denpa Nippon Vol.45 No.3 published by Nippon Denpa Kyokai

(Colection No.11855)

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