ビクター5AW-1型「黎明」 5バンド5球スーパー(1946年、日本ビクター)

  

  

ビクターが戦後すぐに発表したオールウェーブ受信機の1号機。夜明けを意味する「黎明」と名付けたところメーカーの意気込みが伺える。6A7-6D6-75-42-80というごく普通の構成であるが、この時代には逆に珍しい。6A7は短波帯での安定性が低く、全波受信機で使用してる例は少ない。東芝系列であったために良質な真空管が得られたのだろうか。同調を容易にするために4-22Mcの短波帯を4つに細かく分割し、バンドスプレッドの効果を得ているのが特徴である。この方式は1940年頃のRCA製オールウェーブ受信機に見られる。

本機は雑誌などに多くの資料が残されている割に外観写真がまったくないという「幻の」セットである。

(所蔵No.11201/11624)

掲載誌:無線と実験 1946.3/4、電波科学復刊2号 1947.1

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