日本ラジオ博物館

Japan Radio Museum

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外国製エリミネーター受信機展示室


目次

解説編

ラジオの交流化
(別ファイル)

展示室

外国製受信機、スピーカ

日本製受信機、スピーカ
(別ファイル)

参考文献


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 外国製受信機スピーカ


Atwater Kent 製品 Atwater Kent Manufacturing Co. (U.S.A. )

Atwater Kent Model 36    高周波3段7球受信機  1927

Atwater Kent Model 37    高周波3段7球受信機  1927-28  $88 (no tube)

Atwater Kent Model 40    高周波3段7球受信機 . 1928-29  $77 (no tube)

Atwater Kent Model E Loud Speaker   1928  $20 

RCA製品 Radio Corpolation of America (U.S.A. )

RCA Radiola 17 Model AR-927 高周波3段7球受信機  1927-28  $157.50

RCA Radiola 18 Model AR-936 高周波3段7球受信機  1928-29  $115

RCA Loudspeaker Model 100-A (UZ-1076) スピーカ 1927-28  $35-29(after Oct. 3, 1928)

RCA Loudspeaker 103 Model UZ-749 スピーカ 1928-30 $37.50  (加筆訂正)

RCA Loudspeaker 106 Model UZ-642 ダイナミック・スピーカ 1928-30 $88.00

RCA Radiola 60 Model AR-954 8球スーパー  1929-30  $210.00

RCA Radiola 33 Model AR-784 高周波3段7球受信機 1929-30 $86.50

RCA Loudspeaker Model 100-B (UZ-783) スピーカ 1929-30  $22

Silver-Marshall. Inc. (U.S.A.)

Silver-Marshall 720 Screen-Grid Six 高周波2段6球受信機 1928-29年  $69.75 (kit)

"Apex" 製品 United States Radio & Television Corp. (U.S.A.)

Apex Model 37 高周波3段7球受信機  1929年

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エリミネーター受信機 (外国製受信機)


Atwater Kent Model 36 No.9390  高周波3段7球受信機 Atwater Kent Manufacturing Co. (U.S.A. 1927)

   

  

TUBES: 226-226-226-227-226-226 + 280

コンパクトなシングル・コントロール・ラジオで知られるアットウォーターケント社が初めて発売した交流式受信機。UX-201Aを使った直流式の33型の回路を交流用真空管226,227を使えるように改造し、音量調節をフィラメント調整からアッテネータに変更した。この本体に、同社が市販していたエリミネータユニットを外付けしたものである。セットの外観は従来と大きく変わっていない。
これは、交流用真空管の発売に併せてRCAが発売した交流用受信機のRadiola 17に対抗するために間に合わせに投入したものである。

アットウォーターケント社は、RCAの特許を頑なに拒んだことで知られる。しかし、当時226,227はまだRCAの供給を受けるしかなかったために、同社はここでRCAの軍門に下り、ライセンスを受けている。(2)(3)

このため、銘板にはそれまでの電池式セットにはなかったライセンスに関する記述が追加されている。この間に合わせのセットで息を継いでいる間に、同社ではまったく新しい形態の交流用受信機37型の開発が急ピッチで進んでいた。

(所蔵No.11815)

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Atwater Kent Model 37 No.9500 高周波3段7球受信機 Atwater Kent Manufacturing Co. (U.S.A. 1927-28) $88(球なし)

 

  
  内部(左)と、電源部のカバーをはずしたところ(右)

TUBES, 226-226-226-227-226-171-280

コンパクトなシングル・コントロール・ラジオで知られるアットウォーターケント社が発売した最初の金属ケース入り交流式受信機。回路は、最初の交流式受信機Model 36と同じで、分かれていたシャーシと電源をひとつのキャビネットにまとめたものである。

自動車産業で実用化された大型プレス機による金属キャビネットの量産効果は著しく、日産3,000台の生産が可能であったという。(3)

モデル37は、ライバルのRCA Radiola 17の$130に対して30%以上安い$88の低価格で発売された(3)。このため、37型は発売された1927年12月のクリスマスセール期の1ヶ月で12,240台を生産し、発売から4ヶ月で10万台以上(派生モデルの38型を含め、同社は20万台と宣伝していた)を売るベストセラーとなった。これに対抗してRCAでは、17型を 18型にマイナーチェンジして$115に値下げして発売したが、金属キャビネットの33型が出るまで価格では追いつけなかった。

37型は、約8ヶ月でよりコストダウンが図られた改良型Model 40に引き継がれることになる。

(所蔵No.11937)

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Atwater Kent Model 40 No.9800 高周波3段7球受信機 Atwater Kent Manufacturing Co. (U.S.A. 1928-29) $77(球なし)
Atwater Kent Model E Loud Speaker (1928) $20

  

TUBES, 226-226-226-227-226-171-280

コンパクトなシングル・コントロール・ラジオで知られるアットウォーターケント社が発売した初期の交流式受信機。最初に金属ケースを採用したModel 37をマイナーチェンジしたもので、蓋の装飾が簡略化されるなどのコストダウンが図られた。外観では、蓋のデザインの他、キャビネットとツマミの色が、茶色をベースとしたものから黒系統に変更されている。回路は若干の改善が図られた以外はほとんど同じだが、電源部の構造が変更されている。価格はモデル37に対して10%安い$77とされた。(2)

このため、40型はベストセラーとなり、派生機種を含め1928年中に60万台を生産した。同社は1927年初頭に類型生産台数100万台を達成したが、わずか2年後の1929年初頭には200万台に達している。(3)

Model E 型スピーカは、ラジオと同じ金属キャビネットのマグネチック・コーン・スピーカで、純正スピーカとして発売された。

(所蔵No.11466-2/10046)

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RCA Radiola 17 model AR-927 高周波3段7球受信機 Radio Corpolation of America (U.S.A. 1927-28) $157.50

 

 

TUBES: 226-226-226-227-226-171A-280

Radiola 17は、1927年に交流用真空管226および227が発売されたのに併せて、この新型管を使用した本格的な”Socket Power Radio"のRCA最初のモデルとして発売された。シャーシは電池式のRadiola 16とほぼ共通で、右側にエリミネータ電源を置いた配置となっている。このためセットの横幅は70cmにもなり、非常に重い。

回路は226による高周波3段、227検波、226-171Aの低周波段に280で、B電源を供給する。RFの初段は非同調で、3連バリコンを使用してシングルコントロールとしている。パネルには両端にボリュームコントロールと電源スイッチがあるのみで、再生調整は省略されている。

高周波3段の回路は不安定で、異常発振を起こすトラブルが多発し、ダンピング抵抗を入れて対策したところ感度が下がってしまった。このため、Radiola 17は、7ヶ月余りで改良型のRadiola 18にモデルチェンジされることになった。短命な機種であったが、最初のACラジオは非常に良く売れ、17万台強製造された。

本機は、真空管の一部および端子盤のカバーが失われている。

(所蔵No.11885)

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RCA Radiola 18 model AR-936 高周波3段7球受信機 Radio Corporation of America (U.S.A. 1928-29) $115
RCA Loudspeaker Model 100-A (UZ-1076) スピーカ Radio Corpolation of America (U.S.A. 1927-28) $35-29(after Oct. 3, 1928)

  

 

TUBES: 226-226-226-227-226-171A-280

電灯線から電源を取る”Socket Power Radio"のRCA最初のモデル、Radiola 17の不具合を改良したモデルである。回路構成とシャーシはほぼ共通、デザインはダイヤルエスカッションのデザインが異なるのみである。18型は、アットウォーターケントの新製品の低価格攻勢への対抗のため、17型に対して約30%価格が下げられた。18型は発売され、米国でベストセラーとなった。

226による高周波3段、227検波、226-171Aの低周波段に280で、B電源を供給する。RFの初段は非同調で、3連バリコンを使用してシングルコントロールとしている。幅70cmもある大型のセットで、非常に重い。$115という価格は決して安いものではないが、この大型機が当時25万台以上生産された。

同時に発売されたスピーカは100-A型である。8インチのマグネチック・スピーカを金属ケースに収納している。100-A型は、上級の103型が発売されると当初の35ドルから29ドルに値下げされ、103型と置き換えられた。

本機は、背面に日本語の記入があり、日本に正式に輸入されたものである可能性が高い。

真空管は失われている。

(所蔵No.11694/10043)

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RCA Loudspeaker 103 Model UZ-749 スピーカ 1928-30 $37.50

 

RCAが 100-A型の上級機として発売したマグネチックスピーカ。当初は高級機のRadiola 60 と組み合わせて宣伝された。本機では褪色がみられるが、鮮やかなタペストリーをあしらったネットが特徴である。スピーカーユニットは100-A型とほぼ同じものが搭載されている。背面は茶色の絹のカバーでおおわれている。この機種は大量生産され、1929年末には19ドルに値下げされた。(1)

本機は、背面の布製カバーはレプリカと思われる。

(所蔵No. S10040) 柴山 勉コレクション

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RCA Loudspeaker 106 Model UZ-642 スピーカ 1928-30 $88.00

 

RCAのフロア型ダイナミックスピーカ。正面と側面のネットには、質感は異なるが、103型同様の凝った刺繍が施されている。8インチのフィールド型ダイナミックスピーカには、エキサイターが必要だが、スピーカのフレームに乾式整流器2個とフィルターコンデンサを搭載している。側面には電源スイッチを備えるが、スピーカの電源であるとともに、ACアウトレットが背面に備えられ、交流式ラジオの電源を取ることができる。

106型は、バッフルを備えた後面開放型キャビネットに収められたスピーカーシステムの初期のものである。Rice & Kellogg のダイナミック・スピーカの原型に近い105型が350ドルと極めて高価だったのに対し、106型はユニットの構造を見直し、キャビネット付きで88ドルとなった。最終的に49ドル50セントにまで値下げされるが、それでも卓上型マグネチックスピーカの3倍ほどの高価なものだった。(1)

本機には、本来15㎝ほどの脚が付くが、失われている。

パネルの刺繍は本来中央の赤い花を中心に鮮やかな色彩で彩られているが、褪色している。

スピーカーユニットは失われている。

(所蔵No. S10041) 柴山 勉コレクション

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RCA Radiola 60 Model AR-954 9球スーパー Radio Corpolation of America (U.S.A. 1929-30) $210.00

 

 

 TUBES: 227 227 227 227 227 227 227 171A 280

RCAの、交流真空管を使った最初のスーパーヘテロダイン受信機。出力段と整流管を除き全て交流用三極管UY-227で構成され、高周波2段-第1検波-中間周波2段-第2検波-低周波増幅-電力増幅という構成である。Radiola 18 と同じバスタブ型の3連バリコンが使われ、シングルコントロールとなっている。RCAのスーパーで最初にシングルコントロールになったモデルでもある。

シンプルな16,18型と異なり、このモデルは装飾的な派手なデザインとなっている。Radiola 18より一回り大きく、幅74cmにもなる重量級のセットである。発売当初はかなり高価なセットであったが、発売後2ヶ月で$157.75に値下げされ、1930年まで13万台あまり製造された。(1)

本機は、真空管の一部および端子盤のカバーが失われている。

(所蔵No.11886)

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RCA Radiola 33 Model AR-784 高周波3段7球受信機 Radio Corpolation of America (U.S.A. 1929-30) $86.50
RCA Loudspeaker Model 100-B (UZ-783) スピーカ  Radio Corpolation of America (U.S.A. 1929-30) $22

 

 TUBES: 226-226-226-227-226-171A-280

RCAの2世代目の交流式受信機。

シャーシはほぼ18型と同じだが、木台に金属キャビネットを組み合わせた箱が採用された。デザインは当時流行のアール・デコを取り入れたもので、三角形の模様はネイティブ・アメリカンの伝統的な意匠を取り入れたもの。226による高周波3段、227検波、226-171Aの低周波段に280で、B電源を供給する。RFの初段は非同調で、3連バリコンを使用してシングルコントロールとしている。幅70cmもある大型のセットで、非常に重い(18kg)。金属キャビネットの採用や量産効果により、18型より25%価格を下げている。

スピーカ100-B型は、100-A型のモデルチェンジになる機種で、33型にデザインを合わせてある。
このスピーカは、日本のメーカによりコピー品が作られた。

(所蔵No.11811/10053)

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Silver-Marshall 720 Screen-Grid Six 高周波3段6球受信機 Silver-Marshall. Inc. (U.S.A. 1928-29) $69.75 (kit)

  

 

TUBES: 227 235 235 227 227 245

アメリカの高級受信機メーカ、シルバーマーシャルのTRFセット。電源を地蔵していないセットだが、真空管は当時最新の交流用スクリーングリッド管235が高周波増幅に採用され、傍熱型三極管227が検波および低周波増幅に採用され、出力管には245を使用している。形態は電池式セットと変わらないが、エリミネータ電源を前提とした交流式受信機として設計されたセットである。同じシャーシで真空管が異なる電池式のモデルもあった。

シルバーマーシャルのセットの特徴である、高周波段のステージごとの厳重なシールドと、プラグインコイルによるバンド切替が採用されている。同社の製品は、特許との関係でキットで供給されることが多かったが、このサンプルは銘板に"Factory Wired"と刻まれている。しかし、RCA/GEとのライセンスを示すプレートなどはなく、半完成品として供給された可能性は残る。

本機は、シールドケースのふたが失われている。

(所蔵No.11933)

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Apex Model 37 7球ニュートロダイン受信機 United States Radio & Television Corp. (U.S.A. 1929)

  

 

 TUBES: 226-226-226-227-226-171-280

交流化された初期のセット。交流用三極管を使ったニュートロダイン方式の高周波3段低周波2段のTRF受信機である。ニュートロダインの特許を使用したことを示す銘板がセット内部に付けられている。3連バリコンを使用したシングル・コントロールとなっている。1930年代に入るとスクリーン・グリッド管224、235などが発売され、三極管を使った高周波多段増幅は使われなくなる。このセットはニュートロダイン受信機の最も最後のものといえる。

(所蔵No.11813)

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参考文献

(1) Eric P. Wenaas, "Radiola -The Golden Age of RCA 1919-1929-" (Sonoran Pablishing, LLC, 2007)
(2)Alan Douglas, "Radio Manufacturers of 1920's" Vol.1, (Vestal Press (U.S.A.) 1991)
(3)Ralph Williams, John P. Wolkonowitz, "A. Atwater Kent: The Man, the Manufacturer, and His Radios", (Sonoran Publishing Inc. 2002)

   

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