日本ラジオ博物館
Japan Radio Museum

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ST管からmT管へ
-5球スーパーの普及-

- 1954-59 (昭和29-34年) -


CONTENTS

解説

ラジオ展示室

参考文献

第2展示室HOME


解説


目次

はじめに

mT管ラジオの低価格化とスーパーの普及

ラジオの多様化

大量販売の始まり、デパートラジオと問屋の小売問題

まとめ

コラム 東芝製ラジオの愛称について

物価の目安

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はじめに

テレビ放送の開始された1953年頃からミニチュア管(mT管)の生産が増加し、1955年頃から一流メーカーのラジオにmT管式のものが増えてきた。当初はmT管が使われていても6.3V管を使ったトランス式で、大きさがST管時代と変わらない木製キャビネットのセットがほとんどであった。真空管は小型化されても、商品としてのラジオの使い方はすぐには変わらず、すぐに小型化することはなかった。またmT管が高価であったことからmT管ラジオは割高で、平均価格は1万円を超えていた。


同規格の真空管のサイズ比較
左:ST管(6ZDH3A)、中:GT管(6SQ7-GT)、右:mT管(6AV6)

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mT管ラジオの低価格化とスーパーの普及

この状況に対して1951年から53年にかけて、低価格で高性能のラジオの普及を目指して電波技術協会のラジオ受信機調査委員会がNHK放送技術研究所の協力を得てメーカー各社に受信機の試作を依頼し、研究調査が行われた結果、mT管を使用した5球トランスレススーパー受信機を推奨することになった。この試作受信機をベースにした小型トランスレススーパーは1955年頃から本格的に製造販売されるようになった。これらのセットの中には6千円程度と従来の半額程度の低価格で販売されるものも現れ、5球スーパーの普及に貢献した。

また、別の低価格化の要因として従来20%だったラジオの物品税が1954年以降順次引き下げられ、1955年8月以降は5球以下のものがオールウェーブも含めて5%となったこともある。これと併せてマジックアイは課税の際の球数に含めないことになった。それまでは少しでも立派に見せるためにマジックアイ付の5球スーパーも「6球スーパー」と称していたが、1955年以降は6球とすると税金が高くなってしまうため、マジックアイ付は「5球」ということになった。

NHKの受信施設調査(1)によれば、1955年には、スーパー受信機の比率が全国平均で60%を超えていた。どちらかといえば西高東低の傾向が見られるが、50%以下の地域は見られない。前回の1952年の調査では60%を超えていた高一、並四は半減していた。

高級なラジオや電蓄には出力管に6V6-GTを使ったものがあったが、GT管の生産は減少を続けた。1955年には金額ベースでmT管の生産がST管を上回った。1956年には全生産量の70%がmT管となった。日本の真空管は欧米と異なり、ST管からGT/メタル管の時代を経ずにmT管の時代になったのである(2)。mT管は、日本では電池用真空管から実用化された。

このようにしてラジオの低価格化とともに、mT管を使った5球スーパーが一般に普及していくのである。ST管は価格が安かったので普及型の無名メーカー製のセットなどに残るようになった。また、大型で配線が容易なので、教材用ラジオや初心者向けの自作ラジオでは1960年代まで良く使用された。

プラスチックキャビネットとmT管を使ったトランスレススーパーが量産されるようになるとラジオの低価格化が進み、スーパーへの置き換え需要が一巡して飽和した国内市場に対してメーカでは2台目需要を喚起しようと、パーソナルユースを謳ったセットを多数投入したが、実際には複数のラジオを所有する世帯はごくわずかで(1)、大半の家庭では相変わらず据え置き型ラジオを居間で家族全員で聴くスタイルが主流だった。

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ラジオの多様化

終戦直後から中小の専門メーカによって少数が作られていたポータブルラジオは1955年頃から大量に輸出されるようになり、全生産量の半数を占めるまでになった。しかし、国内では電池のコストが高いことから贅沢品扱いで普及することはなかった。ここではポータブルラジオについては別項に譲る。

また、1955年から56年にかけて、木製のテーブル型ラジオだけだった日本製ラジオに時計つき、プッシュボタン式、壁掛け型、ハイファイ型など、様々なバリエーションが現れ、デザイン面でもプラスチックを使いこなすことでユニークな意匠が可能になり、多彩になった。しかし、タイマー付きやプッシュボタン同調のセットは使いにくく、高価だったこともあってユニークすぎるデザインは大衆に受け入れられず、奇抜な構造のものは数年で姿を消した。ちょうどテレビが普及する直前の、ラジオが最も爛熟期を迎えてきた中でのユニークな製品の流行ではなかったかと思う。

物品税の引き下げによる低価格化とNSBの短波によるナイター中継の人気から、オール・ウェーブの全体に占める割合が増加していった。1957年6月以降は中波とオール・ウェーブの生産台数が逆転し、1959年には家庭用真空管式受信機の90%以上がオール・ウェーブとなった。

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大量販売の始まり、デパートラジオと問屋の小売問題

販売の面では、都市部でデパートの家電売り場が充実してきた時代である。このころから高価なものやまとまった買い物をるときはターミナルのデパートに行くというライフスタイルが表れてきた。高級店でありながらデパートは今も昔もバーゲンセールを実施していた。このため、デパートの家電売り場にも安価な製品が求められ、デパートが自社ブランドで無名メーカに作らせた低価格のラジオを目玉商品として販売した。これらのセットはmT管が高価だったため、安価だったST管を使った旧式な5球スーパーが多かった。

まだ家電量販店はなく、東京、秋葉原や大阪の日本橋は「素人お断り」の問屋街であったが、問屋の一部の店舗が、一般の顧客に卸に近い価格での販売を始めていた。電気街の発展の始まりである。これらの「デパートラジオ」や、問屋の直売は、従来の電気店中心の業界の秩序を乱すものとして問題視された(3)(4)。

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まとめ

1950年代後半(昭和30年代前半)は、トランジスターラジオとテレビが急成長した時代でもあった。トランジスターラジオは輸出で急成長し、真空管式ポータブルを駆逐した。そして、テレビは茶の間の娯楽の中心をラジオから奪っていった。昭和30年代前半は、据え置き型ラジオが中心であった時代の最後を飾る時代といえよう。

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コラム 東芝製ラジオの愛称について
昭和30年代の東芝製真空管ラジオには、正式な型番のほかに鳥の名前を使った愛称が付けられた。鳥のサイズとラジオのサイズを合わせて小さいほうから、かなりや、うぐいす、かっこう、めじろの名称が与えられた。かなりやが小型のプラスチックラジオ。うぐいすとかっこうが中型の卓上型ラジオ、めじろはそれより大型のセミコンソール型などに与えられた。機種は鳥の名前とアルファベットの組み合わせで識別され、それぞれAから始まり、機種が増えるとアルファベット2文字を使うようになった。この名称は、同社の販売店向け機関誌『東芝通信』の記述から、1955年度に入ってから付与されたと考えられる。

この愛称は、マーケッティング上は特徴のあるシリーズ化といえるが、不思議なことに『東芝通信』を見ても、このような命名法を行うというアナウンスが全くない。東芝は真空管ラジオの末期まで「かなりや」の愛称を使い続けるが、シリーズとして広告でアピールしたり、強調したりすることはなかった。1960年代に入ると、東芝は経営危機を迎えるようになる。このラジオのシリーズ名をめぐる「迷走」にも、何か社内的な問題が関係していたのかもしれないが、詳細は不明である。
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物価の目安 

1955年(昭和30年)頃
小学校教員の初任給7,800円
鉛筆1本10円、電球(60W)1個70円 もりそば1杯30円

対ドルレート 1ドル=360円

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ラジオ展示室

ここでは1954年以降のmT管式ラジオを中心に1950年代後半の普及型セットを、当館の所蔵品からメーカー別に紹介する。
この時代は、スピーカーはパーマネント・ダイナミックである。
高級機種については、ハイファイラジオの項を参照。
1960年以降のプラスチックキャビネットの真空管ラジオについてはプラスチックラジオの普及 を参照。


ナショナル製品 松下電器産業(株)

プラスチックキャビネット

DX-350型 5球プラスチックスーパー 1954-55年 12,500円 第2回新日本工業デザインコンクール特選

DX-370型 5球プラスチックスーパー 1954-55年 8,500円

DL-305型 5球プラスチックスーパー トランスレス5球スーパー 1955年 8,500円 (NEW)

DL-325型 5球プラスチックスーパー トランスレス5球スーパー 1955年 8,500円 (NEW)

DL-380型 トランスレス5球スーパー 1955年 7,500円

6M-410型 マジックアイ付き5球スーパー 1955-56年 12,500円

DL-340型 トランスレス5球スーパー 1955-56年 7,900円

AX-460型 2バンドトランスレス5球スーパー 1956年頃

CX-435型 "パーソナル・スーパー" 1956-57年 6,500円

CX-465型 イルミネーション付スーパー 1956年頃

5X-321型 プッシュボタン選局トランスレス5球スーパー 1956年 11,000円

EA-450型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958-59年 11,000円

木製キャビネット

BL-280型 5球マジックスーパー  1955-57年 14,300円

5X-568型 5球ダンランスーパー 1955年 9,980円 (ST管) (加筆訂正)

BL-600型 5球オルソフォニックスーパー 1955年 27,800円

BL-725型(初期型)  5球チェッカースーパー  1954年?

BL-725型(後期型)  5球チェッカースーパー  1955年 12,500円

CX-555型 "オアシス" 5球スーパー  1956年 11,000円

5X-942型 壁掛け兼用5球パーソナルスーパー 1956年 9,500円

UX-500型 トランスレス5球スーパー 1957年 9,800円

UA-625型 標準型2バンド5球スーパー  1957年 14,800円

EA-670型 標準型2バンド5球スーパー 1957年 14,300円

EA-305型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957-58年 8,500円

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シャープ製品 早川電機工業(株)

5M-67型 エポックスーパー 壁掛け型トランスレス5球スーパー 1955-56年 6,400円

5S-85型 シネマスーパー テレビ型5球スーパー 1956年 10,900円 (NEW)

5M-82型 トランスレス5球スーパー 1957年頃 6,200円 (プラスチックキャビ)

5X-127型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年頃 (プラスチックキャビ)

6P-138型 2バンドセミトランスレスマジックアイ付5球スーパー 1958年 (プラスチックキャビ)

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マツダ/東芝製品 東京芝浦電気(株)

マツダラジオ6TB-121 かっこうD タイマー付5球スーパー 1956-59年

マツダラジオ うぐいすA 5VA-60型 5球スーパー 1955年 9,950円

マツダラジオ うぐいすES 2バンド5球スーパー 1957年

マツダラジオ かなりやOS 5LR-287型 2バンドトランスレス5球スーパー 1959年 6,350円

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ゼネラル製品 八欧電機(株)

5S-49型 トランスレス5球スーパー 1955-56年 6,300円 (プラスチックキャビ)

6S-35型 マジックアイ付ハイファイ5球スーパー 1955-56年 16,200円

5L132型 トランスレス5球スーパー 1958年頃

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サンヨー製品 三洋電機(株)

SS-56型 ”コニー・スーパー” トランスレス5球スーパー 1954-55年 6,300円 (プラスチックキャビ)

SS-355型 ”コンサートスーパー” 5球スーパー 1955-56年 12,500円

SS-68型 ”パピースーパー” トランスレス5球スーパー 1955-56年 7,950円 (プラスチックキャビ)

SS-35型 ”ピジョンスーパー” セミトランスレス5球スーパー 1956年 6,300円 (プラスチックキャビ)

SF-20 「ナイター号」  2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 5,950円 (プラスチックキャビ)

SF-22型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 5,950円 (プラスチックキャビ)

SF-37型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 8,500円 (プラスチックキャビ)

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ビクター製品 日本ビクター(株)

R-614A型 マジックアイ付5球スーパー 1956年

R-2200型 2バンド5球スーパー 1957年 現金正価9,950円 (プラスチックキャビ)

R-2201型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年 定価12,000円 (現金正価10,700円)

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コロムビア製品 日本コロムビア(株)

R-543型 トランスレス5球スーパー 1954-56年 6,500-7,800円 (プラスチックキャビ)

R-546型 トランスレス5球スーパー 1955年 8,800円 (プラスチックキャビ) (NEW)

RA-52型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃 (プラスチックキャビ)

1???型  2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃 (プラスチックキャビ)

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オンキョー製品 大阪音響(株)

OS-220型 マジックアイ付2バンドセミトランスレス5球スーパー 1957年

OS-160型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年 (プラスチックキャビ)

OS-120型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃 (プラスチックキャビ)

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日立製品 (株)日立製作所

S-523型"コーラ" 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 9,800円 (プラスチックキャビ)

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その他のメーカー

トリオ 5M-22型 トランスレス5球スーパー 1957年 春日無線工業(株) (プラスチックキャビ)

エルマン マジックアイ付2バンド5球スーパー 型番不明 1956年頃 大洋無線工業(株) (プラスチックキャビ)

ナナオラ 5MC-24型 時計付き5球スーパー 1955年 七欧通信機(株)

ナナオラ 6M-49型 マジックアイ付5球スーパー 1957年頃 七欧通信機(株)

高島屋 マジックアイ付5球スーパー(1) (ST管) 1957年頃 (株)高島屋/日本タイガー電機(株)

高島屋 マジックアイ付5球スーパー(2) (ST管) 1957年頃 (株)高島屋/メーカ不明

タイヘイ 5S-28型 マジックアイ付2バンド5球スーパー 1958年日本硝子工業(株)

TEN PR-20型 トランスレス5球スーパー 1955年 神戸工業(株) (プラスチックキャビ)

TEN PR-710型 5球スーパー 1955年頃 神戸工業(株)

TEN 6M-1000型 マジックアイ付5球スーパー 1956年頃 神戸工業(株)

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ナショナル製品 松下電器産業(株)


DX-350型 5球プラスチックスーパー 1954-55年 12,500円 

 

ベークライトキャビネットを採用した小型の5球スーパー。フィリップスから技術導入したバーアンテナを採用。トランス式で6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4の構成で、自社製5インチ・パーマネント・ダイナミック(5P-51C)を駆動する。このセットは、1953年の第2回新日本工業デザインコンクール(毎日新聞主催)で特選を受賞した。

デザイナー真野善一氏の受賞の弁によれば、桂離宮にヒントを得てラジオに日本的な要素を取り入れたもの、とのことである。キャビネットは直角と円のみで構成され、スピーカーグリルは格子戸、ダイヤルバックには障子の桟のイメージを用いている。欧米の模倣から離れた、日本的な工業デザイン初期の優れた作品のひとつである。この黒色のほかに、アイボリー、赤茶色もあった。

デザインは高く評価されたが、プラスチックやmT管のコストが高く、商品としては成功とはいえなかった。トランスレスの安価なスーパーのラインナップが揃った1956年にはカタログから落とされている。直線を基調としたデザインは真野氏自身によって松下の他のラジオに展開された。少し遅れてコストダウンされたmT管スーパーDX-370型が発売された。

本機はキャビネット上部に変形が見られる。

(所蔵No.11676, 11693)

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DX-370型 5球プラスチックスーパー 1954-55年 8,500円 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4, 5" Permanent Dynamic Speaker (National)

DX-350型に少し遅れて登場した廉価版のプラスチックラジオ。まだベークライトを使用している。トランス式で6自社製5インチ・パーマネント・ダイナミック(5P-51C)を駆動する。トランスを単巻のオート・トランスとすることでコストダウンしている。前面を全てサランネットで覆ったデザインは個性的でシンプルに仕上がっている。このデザインはキャビネットのコストを下げることにも貢献している。1956年には5X-487型にモデルチェンジされたが、平凡なデザインになってしまった。

このデザインは、"National"のロゴがスピーカの穴にかかっているため破損しやすいという欠点を持つ。
本機も例外ではなく、写真ではわかりにくいが中央で折れている。

掲載誌:電波科学1954.7, 無線と実験1954.8(回路図)

(所蔵No.11129)

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DL-305型 5球プラスチックスーパー トランスレス5球スーパー 1955年 8,500円

 

TUBES: 12BE6 12BA6 12AT6 35C5 35W4, 5" P.D.SP. (National 5P-31S)

プラスチックキャビネットを採用した初期のトランスレススーパー。キャビネットとシャーシの構造はフィリップス製に倣っているセットである。これらDL―という型番のセットにはフィリップスのマークの中にナショナルのマークが入ったバッジがつけられている。フィリップスとの提携の成果が表れた1台といえる。真空管はアメリカ式のmT管だが、12AT6 35C5 という旧型の真空管が使われている。デザインが異なる姉妹機DL-325型が同時に発売された。ツマミとシャーシは共通だが、キャビネットの外形は異なっており、金型に共通部分はなさそうである。量産すれば金型代は償却できると計算したのか、いろいろ模索していたのか、理由は不明である。

本機の左側のツマミはオリジナルではない。

(所蔵No.11039)

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DL-325型 5球プラスチックスーパー トランスレス5球スーパー 1955年 8,500円

 

TUBES: 12BE6 12BA6 12AT6 35C5 35W4, 5" P.D.SP. (National 5P-31S)

プラスチックキャビネットを採用した初期のトランスレススーパー。キャビネットとシャーシの構造はフィリップス製に倣っているセットである。これらDL-という型番のセットにはフィリップスのマークの中にナショナルのマークが入ったバッジがつけられている。フィリップスとの提携の成果が表れた1台といえる。真空管はアメリカ式のmT管だが、12AT6 35C5 という旧型の真空管が使われている。デザインが異なる姉妹機DL-305型が同時に発売された。ツマミとシャーシは共通だが、キャビネットの外形は異なっており、金型に共通部分はなさそうである。量産すれば金型代は償却できると計算したのか、いろいろ模索していたのか、理由は不明である。

本機の左側のツマミは失われている。

(所蔵No.11A351)

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DL-380型 トランスレス5球スーパー 1955年 7,500円

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AT6/12AV6-35C5-35W4

木製キャビネットの小型5球スーパー。トランスレスでは初期のモデルである。この年の松下製ラジオの中で最も安価なモデルであった。ダイヤルは2色に塗り分けられた円盤の境目が指針となるユニークなもので、個性的なデザインを実現しながらコストダウンに貢献している。

初期の低価格セットのため、ピックアップ端子イヤホン端子などのアクセサリは一切ない。

(所蔵No.m11016) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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6M-410型 マジックアイ付き5球スーパー 1955-56年 12,500円

 

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6/6AT6-6AR5-6X4-6E5M, 12cm Permanent Dynamic Speaker (National)

ベークライトキャビネットの小型5球スーパー。電源事情が悪かったためか、まだトランス式で、価格も高い。それでも2台目需要を考慮したのか、イヤホーン端子が付いている。

本機は、右側のツマミの飾りが失われている。

(所蔵No.11058)

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DL-340型 トランスレス5球スーパー 1955-56年 7,900円

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AT6-35C5-35W4, 5" Permanent Dynamic Speaker

初期の構成のトランスレス5球スーパー。定価7,900円と、極めて安価であった。プラスチックキャビネットで5インチのダイナミック・スピーカを使用。低価格のため、ピックアップ端子やトーン・コントロールなどのアクセサリは持たないが、同社で初めてのイヤホン端子を備えている。ただし、イヤホンは450円で別売されていた。

(所蔵No.11435)

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BL-280型 5球マジックスーパー 1955-57年 14,300円

 
   左) 初期型  右)後期型

(後期型の内部、プルスイッチがリモートスイッチである)

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6AR5-6X4-6E5

平均的な中波専用5球スーパーで、7インチのスピーカーを搭載している。手元で電源をON/OFFできるリモートスイッチが付いている。当時の広告にある「永遠の新型ラジオ」はいくらなんでも大げさだが、足かけ3年継続販売された長寿命のモデルである。初期モデルには、左下にトーンコントロールのポジション表示ランプが付いているが、後期型では削除されている。

掲載紙:信濃毎日新聞1956年2月8日広告

(所蔵 No.m11032 / 11198)

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5X-568型 5球ダンランスーパー 1955年 9,980円

 

TUBES: 6WC5 UZ-6D6 6ZDH3A UZ-42 KX-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (National P-6304)

松下の低価格の5球スーパー。全面プラスチックパネルを採用した新しいデザインである。外形寸法は少し小型にしてmT管の他機種と合わせている。普及品らしく無垢の板を使っているが、全面の細い木目パネルには突板を採用して高級感を出している。すでにmT管の機種が数多く発売されていたが、安くなっていたST管を採用することで低価格に抑えたものと思われる。

本機は、パネルの汚れ、ツキ板の欠落が見られる。また、上側ツマミ正面の飾りがなくなっている。

(所蔵No.11914)

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BL-600型 5球オルソフォニックスーパー 1955年 27,800円

  

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6V6-5GK4-6E5

10インチ・ハイファイ用パーマネント・ダイナミックを駆動する中波専用スーパー。ラジオのワイド/ナロー切替、LPと78回転(まだSPとなっていない)でフィルタを切り替える機能があり、ハイファイを目指した初期のラジオ。まだ6AQ5などのmT管が普及していなかったためか、珍しくGT管が使われている。電蓄用の10インチスピーカをラジオに使ったものは珍しい。直線基調のデザインは社内デザイナー真野善一氏の作。この機種は翌56年にBL-600F型にマイナーチェンジされた。

(所蔵No.11738)

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BL-725型(初期型?) 5球チェッカースーパー 1954年?

  

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6AR5-6X4-6E5 , 7" Permanent Dynamic Speaker

平均的な中波専用のマジックアイ付5球スーパー。7インチのスピーカーを搭載して音質を売り物にしているが、比較的低価格である。手元で電源をON/OFFできるリモートスイッチを接続することができる。デザインはテレビ画面を意識したものか非常にユニークである。「チェッカースーパー」の名前はスピーカーグリルの形状からと思われる。パネルはマホガニーの突板貼りで、その木目を生かした2トーンカラーに塗り分けられている。整流管がケミコンから離れた、バリコンとアンテナコイルのすぐそばにある奇妙なレイアウトになっている。製造番号は02525である。

(所蔵No.11491)

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BL-725型(後期型) 5球チェッカースーパー 1955年 12,500円

  

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6AR5-6X4 , 7" Permanent Dynamic Speaker

BL-725型は、コストダウンのためのマイナーチェンジが施されたと思われる。初期型に対して、製造番号008148の本機は、2トーンのパネルは黒1色に、一部に赤い色を使っていたダイヤルも白一色に変更されている。マジックアイは省略され、代わりにナショナルのマークが付けられていることがわかる。1955年5月のカタログにはこちらのモデルが掲載されている。また、カタログ写真のモデルは黒いツマミを付けている。

(所蔵No.m11113) 愛知県、太田様寄贈

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5X-321型 プッシュボタン選局トランスレス5球スーパー 1956年 11,000円

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4

ユニークなデザインのトランスレス5球スーパー。真空管は標準的なもの。プッシュボタンには東京の放送局がセットされている。プッシュボタン式のラジオは、通常チューニングツマミによる選局が併用できるものだが、このセットはプリセットされた局しか受信できない。ボタンをセットし直すのは大変で、引越しのときなどは苦労しただろう。イヤホン端子とピックアップ端子およびプレーヤ用のコンセントが付いている。

(所蔵No.11059)

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5X-942型 壁掛け兼用5球パーソナルスーパー 1956年 9,500円 

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4, BC:535-1605kc

時計を思わせるユニークなデザインの小型トランスレス5球スーパー。専用金具を使って壁掛けとすることができる。ベークライトのように見える仕上げだが、木製キャビネットである。バーアンテナを採用し、外部アンテナなしで使えるようになっている。底部に傷が多いところを見ると、このセットはテーブル型として使っていたようである。右側面の穴には、現在はスイッチが外付けされているが、本来はプルスイッチがセット内部にあり、チェーンが外に垂れ下がる構造である。

(所蔵No.11A004)

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AX-460型 2バンドトランスレス5球スーパー 1956年頃 

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4, BC:535-1605kc,SW:3.7-12Mc

日本短波放送の開局に合わせて発売された低価格の小型2バンドスーパー。イヤホン端子はあるが、ピックアップ端子などのアクセサリは無く、バンドスイッチも簡単なスライドスイッチである。

本機は、本来水色であったが、キャビネットが変色している。

(所蔵No.11180)

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CX-435型 "パーソナル・スーパー" 1956-57年 6,500円

 

TUBES: 12BE6 - 12BA6 - 12AV6/AT6 - 35C5 - 35W4

6,500円と低価格で軟質プラスチックキャビネットのトランスレススーパー。カタログには「2、3台目に最適」とある。中波のみでピックアップ端子、音質調整などのアクセサリはまったくないが、パーソナルを強調するだけにイヤホンジャックは付いている。デザイン、回路ともにこの後のトランスレススーパーのスタンダードといえる機種。

(所蔵No.11384)

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CX-465型 イルミネーション付スーパー 1956年頃 

  

TUBES: 12BE6 12BA6 12AV6/12AT6 35C5 35W4, BC: 535-1605kc

前面に厚いガラスに彫刻を入れたパネルを配した特殊なトランスレス5球スーパー。電源を入れるとガラスパネルが美しく光る。照明だけ点灯することもできる。ガラスパネルのデザインはこれと異なるものも確認されている。正面がパネルでおおわれているため、スピーカは側面にある。デザイン重視のセットである。キャビネットはベークライト製である。トランスレス構成だが、単巻トランスを採用している。このセットは、通常の松下のカタログに掲載されていない。販売方法等は不明である。

(所蔵No.11A013)

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CX-555型 ”オアシス” 5球スーパー 1956年 11,000円

  

TUBES: 6BE6 - 6BA6 - 6AV6 - 6AR5 - 6X4, 7" Permanent Dynamic Speaker: National P-7112

ユニークなデザインの中波専用5球スーパー。標準品より少し大きい7インチのダイナミックを使用している。白色のプラスチックと、ベークライトの濃色を縦てに分割するデザインは、このころの松下製ラジオによく見られるモチーフである。

掲載紙:信濃毎日新聞1956年9月2日広告

(所蔵No.11057)

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UX-500型 トランスレス5球スーパー 1957年 9,800円 

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4, 7" Permanent Dynamic Speaker: National P-7112

松下の普及型5球スーパー。低コストのためにトランスレス構成となっている。スピーカは自社製7インチ・ダイナミック(ナショナルP-7112) である。一見2バンドのように見えるが、下の目盛はスケールのみで、中波専用である。このセットは、小型のシャーシを使いながら旧来の大型木製キャビネットに大型スピーカを組み合わせている。まだプラスチックキャビネットの小型ラジオが一般的になる前の、過渡的な製品である。この機種以降、トランスレスラジオにシールドが独立した3端子のピックアップ端子を備えるようになる。

この機種には、形が良く似た他社製品が存在する。

(所蔵No.11063) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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UA-625型 標準型2バンド5球スーパー 1957年 14,800円

  

TUBES: 6BE6-6BD6-6AV6-6AR5-6X4-6E5, 7" Permanent Dynamic Speaker: National P-7112

松下の中級オールウェーブ。標準的な構成で7インチ・ダイナミック(ナショナルP-7112) を駆動する。背面のUSソケットに「リモートアジャスター」と呼ばれるリモコンを接続できる(アジャスターR-10型は1,500円)。スピーカーグリル右下のスイッチは、マジックアイを点滅させるためのもの。マジックアイの寿命が短いために付けられた機能である。NSBの開局に伴い、中級以上のラジオの大半が2バンド型になった。

EA-670型は同時に発売されていた姉妹機である。

(所蔵No.11638)

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EA-670型 標準型2バンド5球スーパー 1957年 14,300円

 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AV6-6AR5-6X4-6E5, 7" Permanent Dynamic Speaker: National P-7112

松下の中級オールウェーブ。標準的な構成で7インチ・ダイナミック(ナショナルP-7112) を駆動する。背面のUSソケットに「リモートアジャスター」と呼ばれるリモコンを接続できる(アジャスターR-10型は1,500円)。スピーカーグリル左下のスイッチは、マジックアイを点滅させるためのもの。マジックアイの寿命が短いために付けられた機能である。NSBの開局に伴い、中級以上のラジオの大半が2バンド型になった。

UA-625型は同時に発売されていた姉妹機である。

(所蔵No.11656)

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EA-305型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957-58年 8,500円

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4

当時の松下製オールウェーブではもっとも安価な製品。真空管はトランスレスの標準的なもの。パーソナルユースを考慮してイヤホン端子が付いている。この年以降、このサイズが家庭用ラジオの標準となる。

(所蔵No.11065)

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EA-450型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 (プラスチックキャビ)

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4

スマートなデザインのトランスレススーパー。選局ツマミは側面にある。真空管はトランスレスの標準的なものだが、出力管が旧式の35C5を使用している。ピックアップの切り替えスイッチは背面にある。パーソナルユースを考慮してイヤホン端子が付いている。合理的な垂直型のシャーシが使われている。

(所蔵No.11629)

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シャープ製品 早川電機工業(株)


5M-67型 エポックスーパー 壁掛け型トランスレス5球スーパー 1955-56年 6,400円

  

 

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4

トランスレス受信機が普及し始めた頃に現れた変り種のセット。回路は初期のトランスレスの標準的な回路だが、壁掛け用の金具が用意され、側面にプルスイッチが付けられている。カタログには、「縦、横、仰向けと自由自在に置けるばかりでなく、壁に掛けられる新機軸のラジオです。」となっている。壁に掛けて後がふさがれても良いように側面に通気口があるが、仰向けというのはどうだろうか?

この機種は形が変わっているだけでなく、同社製品でもっとも安価な「免税」ラジオだった。この価格のためかよく売れたようで、この時期の変わり種ラジオの中では唯一、同価格のプラスチックキャビネットの後継機5M-77型が作られた。

本機には、壁掛け用金具は付属していない。また、プルスイッチの紐は失われている。
底板に激しい傷があることから、直に置いて使っていたと思われる。

(所蔵No.11677)

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5S-85型 シネマスーパー テレビ型トランスレス5球スーパー 1956年 10,900円

 

TUBES: 12BE6 12BD6 12AV6 35C5 35W4

当時まだ高価だったテレビをかたどったユニークなラジオ。電源を入れると正面のダイヤル面が複数のランプによってきれいに光る。他社にも、ダイヤルの枠を、当時あこがれの対象であったテレビの画面のようなデザインにしたものはあったが、ここまであからさまにテレビに似せたものはない。おもちゃのような商品だが、後のノベルティラジオと違い、冗談でちょっと買うというわけにはいかない、かなり高価なものである。ラジオを買う側からすれば、ここまであからさまにテレビらしくすると抵抗もあっただろう。この何とも楽しい遊び過ぎた製品は売れなかったようで、すぐにカタログから落とされた。おかげで現在、戦後のラジオとしてはコレクターズアイテムとなる珍品となった。

(委託No. S11036) (柴山 勉コレクション)

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5M-82型 5球エリダンスーパー トランスレス5球スーパー 1956年 6,200円 (プラスチックキャビ)

  

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4

落ち着いたデザインのトランスレススーパー。まだ中波のみである。12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4 の古い形式の真空管が使われている。シャーシやIFTが大きく、各部の小型化が十分進んでいないことがわかる。シャーシ背面に初期のイヤホン端子が付いている。免税点を切る低価格のスーパーである。愛称は星座の名前からとられたという。

掲載紙:信濃毎日新聞1956年7月22日広告

(所蔵No.11381)

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5X-127型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年頃 

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-35C5-35W4

ヨーロッパ風のデザインの2バンドトランスレススーパー。シーメンスキー型のバンド切り替えスイッチが珍しい。シャーシやIFTが大きく、各部の小型化が十分進んでいないことがわかる。シャーシ背面に初期のイヤホン端子が付いている。

(所蔵No.11414)

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6P-138型 2バンドセミトランスレスマジックアイ付5球スーパー 1958年

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-19A3-12ZE9

プラスチックラジオにしては大型の5球スーパー。マジックアイを使うことから整流管は19A3を使用する。フィラメントは直列だがBは単巻のトランスを使うセミトランスレスである。1950年代には電力事情を考慮してかこのような構成のセットも多い。

本機は、左側2個のツマミの正面の飾りが失われている。

(所蔵No.11489)

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マツダ/東芝製品 東京芝浦電気(株)


マツダラジオ6TB-121 かっこうD タイマー付5球スーパー 1956-59年

 

TUBES: 6BE6 - 6BA6 - 6AV6 - 6AR5 - 5MK9 - 6ZE1

東芝は1955年度からラジオに鳥の名前を付けるようになった(鳥のサイズとラジオのサイズを合わせて小さいほうから、かなりや、うぐいす、かっこう、めじろの名称が与えられた)が、これはその初期のもの。ぜんまい式タイマーを備えるユニークなデザインが特徴。

(所蔵No.11208)

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マツダラジオ うぐいすA 5VA-60型 5球スーパー 1955年 9.950円

  

TUBES: 6BE6 - 6BD6 - 6AV6 - 6AR5 - 5MK9

東芝は1950年代後半からラジオに鳥の名前を付けるようになったが、うぐいすは、中型のモデルに与えられた。ただし、この機種が発表された1955年2月の資料には、「うぐいすA」の名称はない。この鳥の名前の名称は1955年度に入ってから付けられるようになったようである。銘板は「Mazda Radio」だが、最も目立つマークは正面の「Toshiba」であり、マツダのマークはダイヤルの中に小さく表示されている。家電のラインナップが増え、ブランドをマツダから東芝に統一しようとしていた時期の製品の特徴が現れている。パネルが白いモデルがNHK放送博物館に所蔵されている。

掲載誌:東芝通信1955年2月号、同7月号

(所蔵No.11A122)

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マツダラジオ うぐいすES 2バンド5球スーパー 1957年

  

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6AR5-5MK9, 6.5" P.D.SP. (東芝SP-6504H型)

ユニークなデザインの2バンド5球スーパー。簡単な音質調整が付いているが、NF-LOW/HIGH、HI-LOW/HIGHという表示では、回路図を理解できない限り使い方がわからないだろう。背面にあるため使いにくいがイヤホン端子が備えられている。

ユニークなのが短波のダイヤルである。バンドは通常の3.9-12Mcだが、周波数の目盛はなく、NSB(日本短波放送)の位置だけが表示されている。NSB開局直後で注目されていたし、使いやすくしたということなのだろうが、他社では短波放送の局名一覧などを同封して多様な楽しみ方を提案している。商品としては疑問符をつけざるを得ない。

(所蔵No.11780)

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マツダラジオ かなりやOS 5LR-287型 2バンドトランスレス5球スーパー 1959年 6,350円

 

TUBES: 12BE6 12BA6 12AV6 30A5 35W4, BC: 540-1600kc, SW : 3.9 - 12Mc

東芝の小型、低価格の2バンド5球スーパー。物品税率の引き下げにより、オールウェーブが一般的になった頃の製品である。また、この製品は、東芝が伝統の「マツダ」ブランドから「東芝」ブランドに切り替える時期の製品のため、マツダとTOSHIBAの両方の表示がある。

(所蔵No.11061)

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ゼネラル製品 八欧電機(株)


5S-49型 トランスレス5球スーパー 1955-56年 6,300円

 

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4

電波技術協会によるラジオ受信機調査委員会の成果のひとつ。物品税の免税点を切る6,300円と低価格のスーパーである。真空管は初期型トランスレスの、ごく標準的な回路。イヤホンやピックアップ端子などのアクセサリはまったくない。初期のトランスレス5球スーパーの代表的なモデルである。内部を見るとIFTの小型化が進んでいないことがわかる。

(所蔵No.11415)

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6S-35型 マジックアイ付ハイファイ5球スーパー 1955-56年 16,200円

 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AV6-6AQ5-6X4-6E5

ハイファイ型の中波専用5球スーパー。6BE6-6BD6-6AV6-6AQ5-6X4-6E5の構成で、8インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。mTのビーム出力管6AQ5を採用し、ピックアップ端子やトーンコントロールを備え、高音質を狙った製品である。デザインはヨーロッパのデザインを日本風に消化したもののように思える。

(所蔵No.11747)

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5L132型 トランスレス5球スーパー 1958年頃

  

TUBES: 12BE6 - 12BA6 - 12AV6 - 30A5 - 35W4, 6.5" Permanent Dynamic Speaker, BC: 535-1605kc

ユニークなデザインの5球スーパー。トランスレス構成だが、パイロットランプを2個点灯するためだけに小型のトランスが使われている。電源をON/OFFするための簡単な有線式リモコンを接続できる。

(所蔵No.11520)

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サンヨー製品 三洋電機(株)


SS-56型 "コニー・スーパー" トランスレス5球スーパー 1954-55年 6,300円

 

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4, BC:535-1605kc,

1954年に、当時の物品税の免税点を切る6,300円という驚異的な低価格で発売された5球スーパー。電波技術協会のラジオ受信機調査委員会がNHK放送技術研究所の協力を得てメーカー各社に受信機の試作を依頼し、研究調査が行われた5球トランスレススーパー受信機をベースにしたセットである。

真空管は初期型トランスレス5球スーパーの標準的な配列である。ボリュームと同調ツマミだけで特別な機能は何も無いシンプルなセットだが、基本的な性能は十分満たしている。これ以降、特に中小メーカから「免税ラジオ」が発売され、当時新興勢力だったデパートの家電製品売り場を中心に販売された。

このクリーム色以外にベークライト色が確認されている。

(所蔵No.11159)

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SS-355型 "コンサート・スーパー" 5球スーパー 1955-56年 12,500円

 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AV6-6AR5-5MK9, BC:535-1605kc,

比較的高級型の5球スーパー。標準的な構成で、自社製SPD-170型7インチ・スピーカを駆動する。3段の簡単な音質調整とピックアップ端子を備える。大型のスピーカで音のよさを訴求しているが、この頃現れ始めたハイファイラジオほど多機能ではない。

白いプラスチックと黒いパネルを左右に配置するデザインは、関西系のメーカを中心にこの時代に流行した。

(所蔵No.11783)

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SS-68型 "パピー・スーパー" トランスレス5球スーパー 1955-56年 7,950円

 

TUBES: 12BE6 12BA6 12AV6 35C5 35W4, BC:535-1605kc,
6" Permanent Dynamic Speaker (Sanyo SPD-560)

三洋電機の比較的初期の普及型トランスレス5球スーパー。部品の小型化が不十分で、ST管用のIFTやコイルが使われている。このため背を低くすることができず、その分6インチの余裕あるサイズのスピーカが採用されている。ピックアップ端子や、簡単なものだが音質調整を備える中型のセットとしては低価格にまとめられている。

(所蔵No.m11042) 長野県須坂市、伊藤様寄贈

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SS-35型 ”ピジョンスーパー” セミトランスレス5球スーパー 1956年 6,300円

  

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4

物品税の免税点を切る6,300円と低価格のスーパー。初期のプラスチックラジオらしく、中波のみである。トランスレス用mT管を使った回路でイヤホン端子を備える。小型のオートトランスが使われているセミトランスレス式である。キャビネット内部の天板にアルミ箔が貼られ、アンテナ線が接続されている。

本機は、キャビネットが破損している。

(所蔵No.11247)

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SF-20 「ナイター号」 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 5,950円

TUBES: 12BE6 - 12BD6 - 12AV6 - 30A5 - 35W4

5,950円と低価格のMT管トランスレス5球スーパー。三洋は1954年に6,300円の中波5球スーパー「SS-56」を発売して業界に衝撃を与えた。このセットも従来の低価格オール・ウェーブの半額近い「価格破壊」商品だった。

(所蔵No.11258)

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SF-22型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 5,950円

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4,

1958年春に発売され、低価格で業界に衝撃を与えたSF-20型の第2弾として発売されたセット。価格据え置きだが、キャビネットは少し大型化し、デザインは多少高級感のあるものになった。シンプルなセットであるが、ピックアップ端子とイヤホン端子は付いている。

掲載誌:無線と実験1959年2月号

(所蔵No.m11014) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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SF-37型 2バンド5球スーパー 1958年 8,500円

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4

サンヨーの標準的なトランスレス5球スーパー。プラスチックキャビのセットとしては大きめである。背面にピックアップ端子、側面にイヤホン端子を備える。

(所蔵No.11070)

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ビクター製品 日本ビクター(株)


R-614A型 マジックアイ付5球スーパー 1956年 

 

TUBES: TUBES: 6BE6 6BA6 6AV6 6AR5 6X4 6E5, BC: 535-1605kc

ビクターのmT管を使った中級セット。特別ハイファイを訴えた製品ではないが、キャビネットやスピーカには同社伝統の技術が使われ、音質に配慮した上品なセットに仕上がっている。いわゆるRCAピンジャックを使ったピックアップ端子、イヤホン端子を兼ねた簡単な有線リモコンをつなぐコネクタのほかに、外部スピーカ端子を兼ねたインターホン接続端子を備えるあたりが、富裕層を顧客としてきた同社らしいところである。

(所蔵No.11134)

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R-2200型 2バンド5球スーパー 1957年 現金正価 9,950円

 

TUBES: 6BE6 - 6BA6 - 6AV6 - 6AR5 - 6X4

ビクターの小型5球スーパー。プラスチックキャビネットだがトランス式である。このようなセットはメーカ製には珍しい。

(所蔵No.11304)

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R-2201型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年 定価12,000円 (現金正価10,700円)

  
(左)外観 (右)裏蓋の「箱書き」
 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4, BC: 535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

幅40cmと小型のトランスレス2バンドスーパー。このくらいのサイズのセットはプラスチックキャビネットが多く、木製キャビネットは珍しい。ビクターらしい高級感を出した小型セットである。価格もサイズの割りに高い。このセットには、裏蓋に購入者による「箱書き」が貼ってある。NSBを聞く目的で購入したようである。

(所蔵No.11400)

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コロムビア製品    日本コロムビア(株)


R-543型 トランスレス5球スーパー 1955-56年 6,500円(1954-55), 7,800円(1956)

 

TUBES:12BE6 12BD6 12AV6 30A5 25MK15, BC only, 5" Permanent Dynamic Speaker

コロムビアの小型ラジオ。初期のトランスレススーパーの標準的な回路で、整流管に25MK15が使用されている。この機種のようにヨーロッパのラジオによく見られる、薄型のシャーシを左右で吊るように搭載する形は、初期の小型プラスチックラジオによく見られるが、軟質プラスチックのキャビネットに切り替わるにしたがって採用されなくなり、通常の底部にねじ止めする形態になった。

ツマミは同調と電源/ボリュームツマミのみのシンプルなもので、ピックアップ端子などのアクセサリは何もない。これはコストダウンした結果だが、キャビネットや真空管のコストが十分に下がっていなかったこの時代にあっては、小型のプラスチックラジオはまだ割高であった。

掲載紙:信濃毎日新聞1954年12月21日、1955年2月25日広告

(所蔵No.m11031) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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R-546型 5球スーパー 1955年 8,800円

 

TUBES: 6BE6 6BD6 6AV6 6AR5 5MK9,

コロムビアの小型5球スーパー。プラスチックキャビネットだがトランス式である。デザインのモチーフは工業デザイン賞を受賞した柳宗理デザインの卓上電蓄と共通のものだが、この機種のデザインが柳のものかどうかは不明である。

本機は、トランス式で重いためか、キャビネットが割れている。

掲載紙:信濃毎日新聞1955年11月23日広告

(所蔵No. 11A018)

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RA-52型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃

  
 
 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4

ヨーロッパ風のデザインが特徴の小型5球スーパー。バーアンテナを使っている。部品の小型化が十分進んでいないことがわかる。

本機はキャビネット下部が破損している。

(所蔵No.11430)

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1???型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4

ごく平均的な2バンド5球スーパー。トランスレスの標準的な配列で、大型の楕円コーンスピーカを駆動する。

本機はラベルがはがれているため型番が不明である。

(所蔵No.11734)

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オンキヨー製品 大阪音響(株)


OS-220型 マジックアイ付2バンドセミトランスレス5球スーパー 1957年 

  

TUBES: 12BE6 12BA6 12AV6 30A5 25MK15 12ZE8

スピーカーメーカからセットメーカになったばかりのオンキヨーが発売した普及型ラジオ。中型の木製キャビネットのセットだが、ペイント仕上げとして、プラスチック風のモダンなデザインにまとめている。パネルのデザインには、英国のオーディオメーカ、QUAD社のチューナの影響がみられる。基本はトランスレスだが、大型スピーカを駆動するために小型のトランスでB電圧を上げている。

(所蔵No.m11005) 大分県 田原様寄贈

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OS-160型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年

  

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4, ONKYO PD-48型楕円SP, BC: 535-1605kc, SW: 3.5-12Mc

スピーカーメーカからセットメーカになったばかりのオンキヨーが発売した小型ラジオ。特徴のあるユニークなデザインである。楕円コーンスピーカを採用してスピーカの有効面積を稼いでいる。トランスレスの普及型ラジオの初期のもので、イヤホン端子はあるが、ピックアップ端子は付いていない。

(所蔵No.11A009)

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OS-120型 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年頃

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4, ONKYO PD-50型SP, BC: 535-1605kc, SW: 3.5-12Mc

スピーカーメーカからセットメーカになったばかりのオンキヨーが発売した小型ラジオ。小型のプラスチックキャビネットを使ったラジオだが、同社の特許のノンプレスコーンスピーカを採用し、ハイファイラジオとして売り出していた。本機のキャビネットは特徴のあるユニークなデザインである。デザインの制約のためか、ピックアップ端子の切り替えスイッチは背面にある。バンド切り替えと同調つまみが同軸になり、同調つまみが非常に薄いため使いにくい。デザイン優先の設計といえる。

(所蔵No.m11049)  長野県松本市 上島様寄贈

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日立製品 (株)日立製作所


S-523型”コーラ” 2バンドトランスレス5球スーパー 1958年 9,800円

 

TUBES: 12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4, 6.5" Permanent Dynamic

家電ブームの中でラジオに再参入した日立の初期の製品。プラスチックラジオにしてはやや大型である。真空管は自社製である。

掲載誌:無線と実験1958.9

(所蔵No.11458)

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その他のメーカー


トリオ 5M-22型 2バンドトランスレス5球スーパー 1957年 春日無線工業(株)

 

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W, 10cm Permanent Dynamic Speaker

コイルメーカ、春日無線工業の小型5球スーパー。FM付きではない同社のラジオセットは珍しい。キットおよび完成品の2種類が発売された。コイル、IFTは自社製である。短波はNSBに対応した3.9-12Mcとなっている。キャビネットはアイボリー色のものもあった。

本機のツマミはオリジナルではない。

(所蔵No.11692)

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エルマン マジックアイ付2バンド5球スーパー 型番不明 1956年頃 大洋無線工業(株)

 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AV -6AR5-5MK9-6E5M, 5" Permanent Dynamic Speaker

戦前から続くメーカの最後期の製品。まだ硬質プラスチックが使われ、トランス式である。この頃流行した有線の簡単なリモコンを備えている。短波のバンドは日本短波開業直後に短期間使われた3.5-10Mcである。このバンドのオールウェーブは少ない。マジックアイはベースを持たない側面に排気口を持つ初期の6E5-Mが使われている。

(所蔵No.11296)

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ナナオラ 5MC-24型 時計付き5球スーパー 1955年 七欧通信機(株) 

 

戦前からの老舗、ナナオラの電気時計付き5球スーパー。前面パネル一面を時計としたデザインはユニークである。スピーカと同調ダイヤルは側面にある。時計はタイマーになっている。このセットは、ラジオ商ではなく、時計店で販売されたことが、裏蓋のラベルからわかる。

(所蔵No.11733)

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ナナオラ 6M-49型 マジックアイ付5球スーパー 1957年頃 七欧通信機(株)

 

 
   (左)裏蓋に貼られた「注意」ラベル (右)裏蓋(裏側)の回路図

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-25MK15-12ZE8, 7" Permanent Dynamic Speaker (Nanaola PD-73)

戦前からの老舗、ナナオラのセミトランスレス5球スーパー。トランスレス球を使っているが、小型の単巻トランスを使っているセミトランスレスである。当時、七欧通信機は分裂騒ぎを起こし、本社のすぐ近くに「ナナオ」という紛らわしいブランドを使う会社が設立された。本機は、「本流」の「ナナオラ」のほうである。

しかし、このセットのデザインは、ナショナルUX-500型にそっくりである。シャーシの構造や刻印の形まで松下そっくり。ただ、設計やデザインの細部は松下に及ばないものであることが良くわかる。戦前の名門もこの時期には力が落ちてきていることがわかる。同社はちょうどこのセットが発売された1957年に東芝の傘下に入ることになる。

(所蔵No.11305)

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高島屋 マジックアイ付5球スーパー(1) (株)高島屋/日本タイガー電気(株) 1955年頃 

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5, 6.5" Permanent Dynamic SP.

昭和30年代に入ると、物品税の免税点を切るような安価な5球スーパーが発売されるようになった。多くがmT管に比較して安価だったST管を使い、無名メーカが製造したセットで、その多くが家電ブームに乗って新たな勢力として現れたデパートの家電売り場の目玉商品として販売された。

日本タイガー電気は、安価な5球スーパーを生産していた中小メーカと思われる。このセットは、高島屋ブランドでOEM供給された、デパートの、今でいうプライベート・ブランドの製品である。

高島屋は昭和初期にもシャープなどからOEM供給を受けた「高島屋ダイン」と称するラジオを販売したことがあり、ラジオ販売店としては「老舗」である。

(所蔵No.m11047) 名古屋市 各務様寄贈

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高島屋 マジックアイ付5球スーパー(2)  (株)高島屋/メーカ不明  1957年頃 

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5, 6.5" Permanent Dynamic SP.

昭和30年代に入ると、物品税の免税点を切るような安価な5球スーパーが発売されるようになった。mT管に比較して安価なST管を使い、無名メーカが製造したセットで、その多くが家電ブームに乗って新たな勢力として現れたデパートの家電売り場の目玉商品として販売された。

メーカ不明のこのセットは、高島屋のマークがキャビネットに表示されていて、デパートの、今でいうプライベート・ブランドの製品であるる。上に紹介した高島屋ラジオより後の製品と思われ、より簡略化され、低価格化されたもの。後期のST管セットらしく、mT管用に小型化されたIFTが使われている。真空管もDIAMONDという無名メーカ製である。キャビネットのつくりはかなり安っぽく、立派なバッジだった高島屋のマークもシールになっている。

高島屋は昭和初期にも「高島屋ダイン」と称するラジオを販売したことがあり、ラジオ販売店としては「老舗」である。

(所蔵No.11313)

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タイヘイ 5S-28型 マジックアイ付2バンド5球スーパー 日本硝子工業(株) 1958年

  

TUBES: 6BE6-6BA6-6AV6-6AR5-5MK9-6E5, Permanent Dynamic (National 6P-65)

キャビネットメーカとして知られるタイヘイブランドのセミキット。主要部品が取り付けられ、RF部は配線済みとなっている。キャビネット5S-28K(3,000円)も販売されていた。ダイヤルと合わせるために、キャビネットにもRFコイルが付属していた。デザインやシャーシの構造が、松下を意識したものであるように見える。無名メーカの製品としては完成度が高い。

掲載誌:『無線と実験』1958年8月号

(所蔵No.11346)

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TEN PR-20型 トランスレス5球スーパー 1955年 神戸工業(株)

 

 
 (左)「TEN」の刻印とともに松下電器が保有していた
 「KADOMAX」ブランドが刻印されたバリコン。

TUBES: 12BE6-12BD6-12AV6-35C5-35W4, Permanent Dynamic Speaker

神戸工業の家庭用ラジオとしては最後期の製品と思われる。かなり早い時期にプリント基板を使っている。バーアンテナがスピーカと共締めになっているレイアウトはユニークだがあまり良いとは思えない。本機のデザインはアメリカの普及型ラジオによく見られるもの。初期の小型ラジオには中波専用のものが多かった。背面にイヤホン端子を備えている。型番の"PR"はPersonal Radioであろうか。2台目需要を意識した製品といえる。このセットの基板部分は、使用部品から松下電器のOEMと思われる。

掲載誌:『ラジオ年鑑』 1955年版 日本放送協会 広告

(所蔵No.11380)

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TEN PR-710型 5球スーパー 1955年頃 神戸工業(株)

 

TUBES: 6BE6 6BD6 6AV6 6AR 5MK9 , 8" Permanent Dynamic Speaker (TEN VOX 8D-45)

8インチの大型スピーカを採用した高級型の5球スーパー。この機種には初期のプリント基板や、低周波段のCR類を1つのパッケージに収めた複合部品などの最新の技術が使われている。まだプリント基板用の真空管ソケットがなかったらしく、通常の真空管ソケットを基板に挿して使っている。電源トランスをプリント基板で支えることはできず、電源部のみ小型のシャーシに組み立てられている。トランスは整流管のヒータを除き、単巻きとして小型化している。
本来なら量産性が向上して低コストになるプリント基板だが、まだ高コストだったので、大型スピーカを使った高級機に採用したのかもしれない。

本機全面パネル左下のマークが失われている。

(所蔵No.m11164) 長野市、草間様寄贈

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TEN 6M-1000型 マジックアイ付5球スーパー 1955年頃 神戸工業(株) 

  

TUBES: 6BE6 6BD6 6AV6 6AR 5MK9 6E5M, 6.5" P.D.SP. (TEN VOX)

神戸工業の標準的な5球スーパー。ST管時代と変わらないサイズだがmT管が採用された。マジックアイにもミニチュアサイズの6E5Mが使われているが、小さくて見にくいためかあまり使われなくなり、その後は小型のmT管ラジオにもマジックアイだけはST型が使われることが多い。この頃のTENのラジオのデザインはユニークなものが多いが、これもその一つである。プラスチックの太い額縁の両端に大型のツマミを配したデザインは、テレビのデザインを意識したもののように見える。

(所蔵No. m11069) 神奈川県厚木市 加藤順一様寄贈

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参考文献

(1)日本放送協会編 『ラジオ年鑑』 1957年版 (日本放送出版協会 1957年)
(2)通産省重工業局編 『日本の電子工業』 (日刊工業新聞社 1957年)
(3)『テレビラジオ年鑑』 1955年版 (テレビラジオ新聞社)
(4)『テレビラジオ年鑑』 1956年版 (テレビラジオ新聞社)


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