日本ラジオ博物館

Japan Radio Museum

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5球スーパー展示室(2)中小メーカ、外国製品編
 - 1951-55 (昭和26-30年) -


ラジオ展示室


CONTENTS

5球スーパー展示室(2)

第2展示室HOME


(以下別ファイル)

解説編

5球スーパー展示室(1)
大手メーカ編

ST管からmT管へ


5球スーパー展示室(2)

ここでは5球スーパーのうち、大手メーカ以外の製品および外国製品を紹介する。

(注)
1955年まではマジックアイを球数に入れて表記するのが一般的だったが、本稿では商品名を除き「6球スーパー」ではなく、「マジックアイ付5球スーパー」と表記する。
このため、当時のカタログ等の資料とは表記が異なっている。

第2展示室HOME


ラジオ展示室目次


戦前から続く老舗の製品


アリア(Aria) 5A1型 マジックアイ付5球スーパー ミタカ電機(株) 1953年 13,500円


クラウン(Crown) CS-??型 マジックアイ付5球スーパー 日精電機(株) 1953年頃


クラリオン(Clarion) 5S4型 μ同調式5球スーパー 帝国電波(株) 1952年 卸10,200円


テレビアン(Televian) 6S-502型 マジックアイ付5球スーパー 山中電機(株) 1953年 17,800円 


ナナオラ 七欧通信機 / ナナオ ナナオ無線製品


ナナオラ(Nanaola) DX super 7S-18型 マジックアイ付6球スーパー 七欧通信機(株) 1953年

ナナオラ(Nanaola) NR5S-3型 5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 14,500円

ナナオラ(Nanaola) NR.6S-12型 マジックアイ付5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 18,500円

ナナオ(Nanao) 6S-70型 マジックアイ付5球スーパー ナナオ無線(株) 1953年

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戦後旗揚げしたメーカの製品


アルファ(Alpha) 6B-32型 マジックアイ付5球スーパー 日本アルファ電気(株) 1954年


トピック(Topic) TRF-601型 5球スーパー トピックラジオ研究所 1952-53年 10,500円(卸7,300円) 

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パール 日本ラジオ工業/日本無線電機製品


パール(Pearl) NR-54型 5球スーパー 日本ラジオ工業(株) 1951年頃

パール(Pearl) BR-12B 押鉤式5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

パール(Pearl) NR-5W4型 5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

パール(Pearl)スタンドラジオSR-1型 電気スタンド型5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年(加筆訂正)

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ピジョン 相互電機製品


ピジョン(Pigeon) 6S-2型 マジックアイ付5球スーパー 相互電機(株) 1953年 16,000円

ピジョン(Pigeon) TS-53A型 5球スーパー 相互電機(株) 1953年 12,500円

ピジョン(Pigeon) PR-312-B型 プリセット式5球スーパー 相互電機(株) 1954年頃 


メロダイン(Melodyne) MS-6L?型 mT管式5球スーパー 東洋産業ラジオ製作所 1953年


ナカジマ 型番不明 mT管式5球スーパー 中島無線(株) 1953年頃 

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その他のメーカ


郵政型スーパー 5球スーパー (財)郵政弘済会 1953年頃

オンケン(Onken) OS220型 マジックアイ付5球スーパー 無線枢機産業(株) 1954年頃 

レーンボウ(Rain Bow) No.D-200 5球スーパー レーンボウ電波工業製作所 1952年

キョーセイ(Kyosei) 5球スーパー キョーセイ無線 1954年頃

光和(Kowa)号A型 マジックアイ付5球スーパー ミツワ通信工業(株) 1953年

SE マジックアイ付5球スーパー  Sinko Electric Co., Ltd. 1954年頃

TOKO SUPER マジックアイ付5球スーパー 東興電機(株) 1954年頃

ノーマル(Normal) 6S-M1型 マジックアイ付5球スーパー 吉田電機産業(株) 1954年

ワルツ(Waltz) マジックアイ付5球スーパー 東京無線電機(株) 1955年

Emersion PR-?型 プッシュボタン式5球スーパー 東洋電気(株) 1953年

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外国製品


アメリカ

G.E. Model 411 トランスレス5球スーパー GENERAL ELECTRIC Co. (U.S.A.) 1950年 


ヨーロッパ

SABA Bodensee W III FM付4バンド8球スーパー Schwer & Söhne, GmbH (West Germany) 1953-54年 548.00DM

Philips BX716 X X/51 10球6バンドオールウェーブスーパー Philips (Netherlands) 1952年 750Hfl

Philips BX335U トランスレス5球スーパー Philips Belgium 1953-54年 (NEW)

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ラジオ展示室


戦前から続く老舗の製品


アリア(Aria) 5A1型 マジックアイ付5球スーパー ミタカ電機(株) 1953年 13,500円

 

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12F 6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Aria)

戦前からの大手メーカ、ミタカ電機の5球スーパー。ごく平凡なセットだが、シャーシや使用部品に、東芝製セットとの共通点が見られる。キャビネットやツマミのデザインも当時のマツダラジオに似ているが、これは模倣であろう。

掲載誌:無線と実験1953.8(回路図)

(所蔵No.11960)

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クラウン(Crown) CS-??型 マジックアイ付6球スーパー 日精電機(株) 1953年頃

 

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Electro-dynamic Speaker (Crown)

戦前からのラジオメーカの高級受信機。大型のセットで自社製のスピーカを使用している。このスピーカにはハム防止のためのニュートラライジングコイルを巻き込んである。ダイヤルにはNHKの主要局と開局間もない民放のコールサインが記されている。高級スピーカで音質を向上させると同時に、高周波増幅回路を付けて感度を改善しているが、短波は付いていない。民放開局の結果現れた高級中波受信機のひとつである。同じクラウンでもトランジスタラジオで有名な旭無線電機とは関係ない。日精電機(株)としては最後期の製品といえる。

(所蔵No.11948)

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クラリオン(Clarion) 5S4型 μ同調式5球スーパー 帝国電波(株) 1952年 卸10,200円

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker

戦前からのラジオメーカーを母体とする帝国電波の5球スーパー。真空管の配列は平凡だが、キャビネット右上にロッドアンテナを備え、バリコンではなく、μ同調を採用している。同社は後にカーラジオ専業となり、クラリオン(株)に社名変更し、現在でもカーオーディオメーカとして知られる。このセットは、家庭用受信機でありながらカーラジオの要素技術がつぎ込まれているのがおもしろい。家庭用ラジオからカーラジオへ転換するための習作といえるかもしれない。

(所蔵No.11307)

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テレビアン(Televian) 6S-502型 マジックアイ付5球スーパー 山中電機(株) 1953年 17,800円

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Electro-dynamic Speaker (テレビアンD-6型)

戦前からの老舗、山中電機のマジックアイ付5球スーパー。同社製品の中でも高級なモデルである。ビクターを思わせるデザインである。青色に塗装されたシャーシはこの頃の同社製品の特徴である

(所蔵No.11243)

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ナナオラ(Nanaola) DX super 7S-18型 マジックアイ付6球スーパー 七欧通信機(株) 1953年

 

 

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Electro-dynamic Speaker (Pioneer)

戦前からの老舗、ナナオラの遠距離用6球スーパー。テレフンケンなどのヨーロッパのセットを思わせるデザインで、オールウェーブのような大型のダイヤルが付いているが、実際には中波専用である。何段もあるダイヤルはNHKと民放のコールサインが記入されている。バンド切替に見える押しボタンは電源スイッチとトーンコントロールになっている。地方の富裕層を対象とした遠距離用高級受信機である。高価だったらしく、製造番号も166と、生産台数の少なさを示している。当時、同社は分裂騒ぎを起こし、近所にナナオ無線(株)というまぎらわしい会社ができた。このため、同社製品には「類似品に注意」というラベルが付いている。

(所蔵No.11267)

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ナナオラ(Nanaola) NR5S-3型 5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 14,500円

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK, 6.5” Electro-dynamic Speaker

戦前からの大手メーカー、七欧通信機の5球スーパー。パイオニアのスピーカがオリジナルかどうかは不明。当時の5球スーパーとしては回路、デザイン、価格ともごく平凡なもの。キャビネット内部側面にアルミ箔が貼ってあり、アンテナ線が接続されている。簡易的なループアンテナとしたものである。

掲載誌:電波科学1953.8

(所蔵No.11264)

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ナナオラ(Nanaola) NR.6S-12型 マジックアイ付5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 18,500円

  

 
裏蓋に貼られたNHKの受信章

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, 8" Electro-dynamic (Nanaola/Pioneer)

戦前からの大手メーカー、七欧通信機のマジックアイ付5球スーパー。パイオニア製の8インチダイナミックを使っているのが特徴。3段のトーンコントロール切替を3色のランプで表示している。大型スピーカと合わせて、後のハイファイラジオに見られる機能を先取りしているといえる。5球スーパーとしては高価なモデルである。縦型のダイヤルの左側にNHKの局に対応した地名、右側には民間放送のコールサインが記されている。裏蓋には七欧通信機とナナオ無線の2社に分裂して再建した頃の製品のため、「類似品に御注意」のステッカが貼ってある。

また、本機の裏蓋にはNHKの受信章が貼ってある。受信章は通常、家の玄関先などに打ち付けるものである。ラジオに直接取り付けるのは、主として移動用として契約した場合である。このラジオはもちろんポータブルではなく、外部に持ち出して使ったような痕跡はない。寄贈者によれば、このラジオが使われた昭和30年代、持ち主(寄贈者の父親)は、転勤族で少なくとも7回の引っ越しをしたという。引っ越すたびに受信章の交付を受ける煩雑さを嫌ってラジオに直接付けたのではないかとのことだった。このような使い方は珍しい。このラジオはラジオの寸法に合わせて持ち主によって手作りされた段ボール箱に収められていた。引っ越しのために用意したのだろう。本来はオリジナルの箱を使っていたのだろうが、度重なる引っ越しで傷んでしまったと思われる。また、段ボール箱の中には1973年の新聞が詰められていた。ちょうどこのころに新しくトランジスターラジオを購入したという。

本機は使用感が少なく、良い状態で残されている。IFTが1個交換されているが、この修理は1960年代後半に大阪にあった「大阪駅前ラジオ」というラジオ店で行われたという。すでにメーカもなく、新品の部品も入手できない時代であるが、部品も販売していたという店には腕の良い修理屋さんががいて、部品も持っていたのだろう。良く故障するスピーカの出力トランスも交換された形跡がある。

(所蔵No.m11088) 神戸市、山﨑様寄贈  掲載誌:電波科学1953年8月号

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  ナナオ(Nanao) 6S-70型 マジックアイ付5球スーパー ナナオ無線(株) 1953年

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Flower Vox PD-65A)

1951年頃に戦前からの大手メーカ、ナナオラで内紛が起こり、このナナオ無線という紛らわしい会社が設立された。この機種は、その「分家」が製作した5球スーパーである。マークも良く似ているが、本家が"NRC"なのに対して"NARC"になっている。伝統の側面調整型のIFTを使用しているが、こちらの分家のほうがマークの書体やスピーカの"Flower Vox"の名称など、古くからの資産を引き継いだようである。同社の最初の製品はナナオラで発売された製品のマークを直しただけのものだった。

もともとの七欧無線電気(この頃は七欧通信機)は、東京、目黒区下目黒に本社工場を構えていたが、ナナオ無線のほうはすぐ近くの中目黒にあり、本家の製品には「類似品にご注意」というラベルがあり、どちらも広告には「東京 目黒」と書いてあるという泥仕合を演じた。こちらの分家のほうの消息はわからないが、本家のほうは1960年代前半に東芝の傘下に入り、消滅した。

(所蔵No.11949)

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ナカジマ NRC 型番不明 mT管式5球スーパー 中島無線(株) 1953年頃

 

TUBES: 6BE6 - 6BD6 - 6AT6 - 6AR5 - 5MK9, 4" P.D.SP (Walts P-4), BC

ポータブル専門メーカの中島無線が製造した初期のmT管を使用した5球スーパー。キャビネットは1950年のアメリカG.E.の411型のコピーである。オリジナルを原型として金型を製作したと思われるが、オリジナルより一回り大きく、各部の形状の丸みがきつく、シャープさがない。オリジナルが軟質プラスチックにトランスレス・スーパーを収めたものだったのに対し、こちらのコピー品は、熱硬化性樹脂(ベークライト)キャビネットに、トランス式の5球スーパーを収めている。大きなトランスを持つため、シャーシがキャビネットいっぱいになるほど大きく、重い。
この機種の型番は不明だが、外観は同じでGT管トランスレスのA-21型もある。

日本のメーカ各社はアメリカのラジオに追い付くべく、終戦直後からアメリカ製ラジオのコピーを木やアルミ鋳物で製作してきた。1950年代に入ると、mT管やプラスチックキャビネットを作れるようになり、コピーのレベルが上がってきた。このセットは、まだまだアメリカ製品に及ばないレベルのコピー品だが、外見だけはかなり近いものが作れるようになってきている。その後、ポータブルラジオを中心に日本製のコピー商品が欧米に輸出されるようになり、問題になっていくのである。

掲載誌:無線と実験1953.8(A-21型回路図)

(所蔵No.11374)

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その他のメーカー


Yusei/郵政型スーパー 5球スーパー (財)郵政弘済会/ゴールデンスターラジオ(株) 1953年頃 

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 KX-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Pioneer Model PA-6)

(財)郵政弘済会(現:一般財団法人郵政福祉)は郵政事業職員の福利厚生のために1952年に設立された団体である。このラジオは、郵政弘済会を通じて、郵政職員向けに販売された低価格のラジオである。完成品とキットが存在した。

GORUDEN STAR RADIO CO., LTD. (スペルは現物どおり)という無名メーカの名前がダイヤルに入っている。デザインは1951年のナショナルHS-700型(新民間放送2号型)のコピーである。ダイヤルには1952年に開局したばかりの民放のコールサインが記載されている。"Yusei"という立派な金属製のロゴや銘板が付いた本格的な個別仕様の製品である。ブランドをつけるほどでなくても、郵政だけでなく、他の弘済会や共済組合でも安価なテレビやラジオなどの電化製品を斡旋することは1970年代まで広く行われていた。

(所蔵No.11882)

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オンケン(Onken) OS220型 マジックアイ付5球スーパー 無線枢機産業(株) 1954年頃

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12F 6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker

DON(mott)真空管を生産していた無線枢機産業の5球スーパー。真空管には自社製のDON製品が使われている。mT管を使用したラジオが現れる中で低価格のST管を使用した従来型の5球スーパーが中小メーカから安価に供給された。これはそのひとつである。

(所蔵No.11432)

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トピック(Topic) TRF-601型 5球スーパー トピックラジオ研究所 1952-53年 10,500円(卸7,300)

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12F, 5" Permanent Dynamic Speaker

中小メーカの小型5球スーパー。アルミ合金製のキャビネットが特徴である。同社製品は、アルミ合金製キャビネットを使用したものが多く、小型で安価な機種が多い。プラスチックキャビネットの普及で同社の技術は不要になったと思われる。

本機の電源コードおよび出力トランスは当館で修理したときに交換したもの。

(所蔵No.11032)

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レーンボウ(Rain Bow) No.D-200 5球スーパー レーンボウ電波工業製作所 1952年

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" P.D. Speaker: LEICA PD-6

東京、大森にあった中小メーカ「レーンボウ電波工業製作所」(後にレインボウ電波工業)が製造した5球スーパー。同社は当時業績不振に陥っていた七欧無線電気の社員が1950年に独立して設立された。このD-200型は、試作に近い少量生産に近かった初代のD-100に続く2台目の製品で、少ないながら量産された最初のモデルである。ダイヤルは当時試験放送を実施していたテレビ(丸ブラウン管)の画面をイメージしたものと思われる。ダイヤルには開局当時の初期の民放のコールが記されている。

同社はその後創業者の死去により1957年に廃業したが、このD-200の他にD-400、D-600、D-700の3種類が生産されたことが確認されている。

(所蔵No.11216)

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キョーセイ(Kyosei) 5球スーパー キョーセイ無線 1953年頃

  

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12F 6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker(パイオニアPD-61)

無名メーカの普及型5球スーパー。キットか完成品かは不明である。

(所蔵No.11241)

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ノーマル(Normal) 6S-M1型 マジックアイ付5球スーパー 吉田電機産業(株) 1954年

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker(ナショナル)

無名メーカの5球スーパー。外観はシャープAR-310 型のコピーである。キャビネットは細部の加工がオリジナルより簡略化されているほか、微妙にデザインを変えようと努力した形跡が見られる。また、この機種にはマークやサランネットなど細部が異なるバリエーションが確認されている。本機は、主にキャビキットM-1型として供給された。

本機は塗装の劣化が激しい。裏蓋は失われている。

(所蔵No.11135)

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パール(Pearl) NR-54型 5球スーパー 日本ラジオ工業(株) 1951年頃

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12F, 6.5” Electro-dynamic Speaker

日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本ラジオ工業(略称は”JRC”となるところがミソ)の小型5球スーパー。親会社と同じJRCのマークも付いている。周波数は新しい535-1605kcになっているが、IFは463kcの旧規格のままである。

本機はダイヤル指針が脱落している。本来は水平である。

(所蔵No.11587)

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パール(JRC) BR-12B 押鉤式5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker

日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本無線電機の5球スーパー。日本ラジオ工業から社名変更したと思われる。親会社と同じJRCのマークも付いている。この頃量産されるようになったプッシュボタン式選局を備える個性的なデザインのラジオ。押しボタンは5個あり、JOAK,JOAK,FEN,JOKR,JOQRの東京の局の表示がある。

シャーシ中央部をプッシュボタンのユニットが占めているため、左右に離れて部品が配置されているだけでなく、低周波部は別シャーシとなっていて、配線でつながれている。高周波部のシャーシは既存の5球スーパーのシャーシに蓋をしてプッシュボタンを搭載しているようである。このため低周波部と高さを合わせるためにシャーシをかさ上げしている。この特異なレイアウトのシャーシは、少しでも共通化してコストダウンしようとしたものと思われる。型代などのイニシャルを負担することが厳しい経営状態ではなかったのだろうか。しかし、結果としては構造が複雑でかえってコストが高かったと思われる。キャビネットのデザインは個性的だが時代の流行に合っているとは言い難い。

1953年8月の資料に同社の名前がないことから、この年に消滅したものと思われる。親会社の日本無線は終戦直後いち早く民生用ラジオ業界に参入し、平和産業への転換を果たし、再び軍需や業務無線の製造に戻った結果、同社の民生用ラジオ部門はその役目を終えたのである。

(所蔵No.11269)

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パール(Pearl) NR-5W4型 5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK, 6.5” Electro-dynamic Speaker

日本無線から独立したメーカの5球スーパー。この機種は高周波部と低周波部が独立した極めて特異なレイアウトになっている。この理由は、上のプッシュボタン式スーパーと比較すると、シャーシを共通化しようとしたためということが良くわかるが、キャビネットの中央に仕切りまで入れることはなかっただろう。部品点数が多く、性能面でもコスト面でも結局不利になったと思われる。ここまでしても金型代などを節約しないといけないような厳しい経営状態だったのだろう。ここではこのメーカのスタンドラジオを含めて同じ年の日付がある機種3機種を紹介しているが、デザインや製品のコンセプトに共通性が感じられない。企画部門がオーソドックスなものでは勝負できないと考えて奇天烈な製品を要求して、設計部門が無理な共通化で答えたというところではないか。この年にこの会社は消滅したようである。メーカの末期症状をよく示している。

掲載誌:無線と実験1953.11(回路図)

(所蔵No.11A164)

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パール(Pearl)スタンドラジオSR-1型 電気スタンド型5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

  
初期モデル(枠が木製)
 
後期型は枠がプラスチック製、強度が落ちたらしく、割れている。

TUBES: 12SA7-12SK7-12SQ7-35L6-35Z5 , 5" Permanent Dynamic Speaker

日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本無線電機の電気スタンド型のユニークな5球スーパー。GT管を使ったトランスレスである。スピーカはカバーの中に下向きに取り付けられている。電気スタンドとラジオは電源スイッチが独立している。初期型は枠が木製であったが、途中からプラスチック製に変更された。

本機の傘は同時代のものと思われるが、オリジナルかどうかは不明である。

掲載誌:無線と実験1953.11(回路図)

(後期型:所蔵No.11041) (初期型:S11042:柴山 勉コレクション)

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光和(Kowa)号A型 マジックアイ付5球スーパー ミツワ通信工業(株) 1953年

 

 
                  (右)短波コンバータ用ソケット

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5インチ・パーマネント・ダイナミック(Mitsuwa Vox)

中堅メーカー、ミツワ通信工業の5球スーパー。回路は平凡だが、おもしろいのは、短波コンバータ(配置図には「アダプタ」と表記)用のソケットが付けられている点である。日本短波放送(NSB)開局以前にこのような装備があるセットは珍しい。ソケットはシャーシを継ぎ足して取り付けられており、標準的なものではなく、特別な仕様の様に思える。このセットは、銘板の検査者が「成長の家文化科学部」となっている。宗教法人が特注したものと思われるが詳細は不明である。

(所蔵No.11407)

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 ピジョン(Pigeon) 6S-2型 マジックアイ付5球スーパー 相互電機(株) 1953年 16,000円

  

中堅メーカーの5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12F/80BK-6E5の構成で、6.5インチパーマネント・ダイナミック(NISSAN P6B)を駆動する。

本機は黒塗装だが、塗り直しの可能性がある。

(所蔵No.11348)

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 ピジョン(Pigeon) TS-53A型 5球スーパー 相互電機(株) 1953年 12,500円

 


パネルのマーク

中堅メーカーの5球スーパー。構成は6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F.。マークには1952年に発売されたレイモンド・ローウィのデザインで評判になったタバコ「ピース」の鳩が「流用」されている。

(所蔵No.11509)

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ピジョン(Pigeon) PR-312-B型 プリセット式5球スーパー 相互電機(株) 1954年頃

 
  外観(左)と、プリセット局表示部(右)

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker

5つの放送局をプリセットして直接選局できるマジックアイ付5球スーパー。この頃、プッシュボタンとミュー同調を組み合わせたプリセット式5球スーパーが松下や八欧から発売された。このセットも基本的にはこれらの大手メーカの製品に倣ったものだが、プッシュボタンは高価なため、ロータリースイッチが使われている。プッシュボタンに見える部分は、ランプで切り替えを表示するディスプレイである。プリセットは、同調と局発の2つのコイルを調整する必要があり、むずかしい。

本機は、長野県長野市篠ノ井で使われていた。プリセット選局には、地元のNHK長野第一、第二、信越放送の他に、東京の日本文化放送(現文化放送)とラジオ東京(現TBS)の2つがセットされている。1954年前半、東京で開局していた民放は日本文化放送とラジオ東京のみであった。両局とも送信所が埼玉県にあり、長野県北部もサービスエリアにぎりぎり入っていた。長野県内での初期の民放がどのように聞かれていたかがわかる貴重な資料である。

(所蔵No.11A008)

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メロダイン(Melodyne) MS-6L?型 mT管式5球スーパー 東洋産業ラジオ製作所 1953年 15,800円

 

TUBES: 6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4-6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker

戦後派の中小メーカー、東洋産業の5球スーパー。かなり早い時期のmT管式5球スーパーである。検波管に6AT6を使用した初期の配列である。キャビネットはST管式と変わらないサイズである。大型のダイヤルは分厚いガラス製で、ダイヤル上部にマジックアイが組み込まれている。同社らしいユニークなデザインが特徴である。

(所蔵No.11524)

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アルファ(Alpha) 6B-32型 マジックアイ付5球スーパー 日本アルファ電気(株) 1954年

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5 , Permanent Dynamic Speaker

安立電気から分離された日本アルファ電気のマジックアイつき5球スーパー。同社の最後期の製品と思われる。平凡な構成だが、ダイヤル指針のセンターにマジックアイが入っているデザインがおもしろい。

(所蔵No.11446)

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SE マジックアイ付5球スーパー Sinko Electric Co., Ltd. 1954年頃

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Lotte)

無名メーカの普及型5球スーパー。比較的小型のキャビネットにまとめられている。完成品か、キャビキットを組み立てたものかははっきりしない。mT管の小型ラジオが市場に出てきたこの時期、無名メーカーのST管ラジオは別の形の廉価版ラジオとしてデパートなどで販売されていた。

(所蔵No.11325)

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TOKO SUPER マジックアイ付5球スーパー 東興電機(株) 1954年頃 

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5, Permanent Dynamic Speaker

無名メーカーの5球スーパー。このメーカーはキャビネットメーカーとして知られる。6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5 の構成で、"TOKO"ブランドの真空管で揃っている。銘板がなく、キットを組み立てたものである可能性もある。mT管の小型ラジオが市場に出てきたこの時期、無名メーカーのST管ラジオは別の形の廉価版ラジオとしてデパートなどで販売されていた。

(所蔵No.11420)

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ワルツ マジックアイ付5球スーパー 東京無線電機(株) 1955年

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1 -12F-6E5 , 6.5" P.D.SP.

無名メーカの普及型5球スーパー。平凡な構成で、6.5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。真空管は"E.V.T"という無名ブランドのものが付いている。この当時流行した低価格受信機のひとつと思われる。ワルツというと戦前からあるスピーカが有名だが、スピーカを生産していたワルツ通信工業は、このラジオが作られた前年の1954年に経営破綻し、ワルツの商標権は広瀬無線に売却された。このラジオとの関係は不明であるが、ブランドを承継した広瀬無線がこの会社に使わせた可能性はある。

(所蔵No.11293)

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Emersion PR-?型 プッシュボタン式5球スーパー 東洋電気(株) 1953年

 



 


プッシュボタン選局部

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Electro-dynamic Speaker (ONKYO ED-165)

ダイヤルメーカのトーヨーが開発した選局用プッシュボタンを使用して、自社で完成品として発売したた5球スーパー。プッシュボタン単品、およびキットとしても販売された。プッシュボタンはμ同調式で535-850kc用のAブロックを1個750-1300kc用のBブロックを2個、1000-1605kc用のCブロックを1個組み合わせて4局を選局できる。マニュアル選局用に通常のバリコンとアンテナコイルも備えられている。ダイヤルはマニュアル時のみ有効で、カーラジオのようにプッシュボタンで針が動く機構はない。

ブランドのEmersionは、米Emersonのパクリである。カタカナではエマーシオンということになるのだろうか。広告にはブランドの表記はない。メーカの東洋電気は、マジックアイのトーヨーと同じマークを使用しているが、マジックアイのほうは東洋無線(株)で、会社名が異なる。

プッシュボタンには大阪の放送局がセットされている。プリセットを変更するには各コイルのコアとパッディングコンデンサを調整する必要があるが、シャーシを取り出さないと作業できない。ユーザーが行うことはまず不可能なので、引っ越しの際には苦労しただろう。このようなプッシュボタンはアメリカで1930年代に流行し、日本ではトーヨーの製品ができたことで、1950年代前半に大手メーカの製品にも採用するものが現れたが、プリセットが難しいことなどからあまり広まらなかった。

本機のツマミは失われていたため、時代が合う汎用品を当館で取り付けた。オリジナルの形状は不明である。

(所蔵No.11A335)

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外国メーカ製品


G.E. Model 411 トランスレス5球スーパー GENERAL ELECTRIC Co. (U.S.A.) 1950年 

 

TUBES: 12SA7 12BA6 12SQ7 50C5 35W4, AC105-125V, BC: 540-1600kc,

アメリカ製のトランスレス5球スーパー。真空管はmT管とGT管の混合構成である。シンプルなデザインが受けたのか、日本企業によるコピー品が作られた。

(所蔵No.11402)

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SABA Bodensee W III FM付4バンド8球スーパー Schwer & Söhne, GmbH (West Germany) 1953-54年 548.00DM 

 

TUBES: EF80 EC92 ECH81 EF41 EM71 EAF42 EABC80 EL12 , 2Way Speaker

ドイツ製の高級ラジオ。幅60cmを超える大型のセットである。ドイツでは戦後早い段階でFM放送が始まったため、長波、中波、短波の他にFMも受信できるようになっている。
ピアノスイッチを中央に置くこのようなデザインは50年代のヨーロッパ製ラジオによくみられるものである。

(所蔵No.m11065) 神奈川県厚木市 加藤様寄贈

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Philips BX716 X X/51 10球6バンドオールウェーブスーパー Philips (Netherlands) 1952年 750Hfl

  

TUBES: ECH42 EF41 EBF80 EBC41 EBC41 EL41 X2 AZ-41 X2 EM34 (Philips)
10" P.D.SP., AC100-240V 50/60c/s (切り替え式)
BC:550-1700kc, SW1: 3-10Mc, SW2: 10-14Mc, SW3: 14-19Mc, SW5: 19-27Mc

オランダ、フィリップスの高級ラジオ。10インチの大型スピーカを搭載している。真空管はリムロック管とmT管が混ざっている。フィリップスオリジナルのリムロック管からミニチュア管に切り替わる過渡期の製品である。このキャビネットのデザインは、提携していた松下の高級ラジオに影響を与えている。

(所蔵No.11A025)

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Philips BX335U 3バンドトランスレス5球スーパー Philips Belgium / Philips Einthoven 1953-54年

 

TUBES: UCH-41 - UF-41 - UBC-41 - UL-41 - UY-41 (Philips), P.D.SP. LW:550-1500kc,SW1:3-7Mc,SW2:7.5-20Mc, AC/DC 110V / 127V / 220V

フィリップスの小型ラジオのひとつ。フィリップスは欧州各地に工場があり、オランダとベルギーで生産された。欧州製品らしく、このような小型ラジオでも3バンドオールウェーブである。トーンコントロールの表示がト音記号とヘ音記号となっているあたりは、音楽文化が大衆に浸透している欧州らしい。mT管と異なる構造の、独自開発したリムロック管を採用している。この頃、松下電器はフィリップスと提携して技術導入していて、シャーシの構造、バーアンテナ、リムロック管から、型番の付与方法まで、ナショナルのラジオに大きな影響を与えた。フィリップス独自のリムロック管は普及せず、mT管に切り替わった。

(所蔵No.11A100)

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