日本ラジオ博物館
Japan Radio Museum

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トランジスタラジオ展示室(ポータブル型)
(1955-69)


CONTENTS

ここではポータブルタイプを取り上げる。据え置き型についてはこちら

国内の大メーカ

SONY National / National Panasonic

NEC ColumbiaVictorHitachi

SharpSTANDARDSanyo / Channel Master

ToshibaFUJI DENKIMitsubishi
 
GENERALCrownKobe Kogyo

その他の国産メーカ

外国製/外国ブランド

トランジスターラジオ用アクセサリ

解説編:トランジスタラジオの発売と普及

第2展示室ホーム English Ver. HOME


 トランジスタラジオ展示室


国内メーカ


Sony : 東京通信工業(株)

Sony TR-72型 7石スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 23,900円

Sony TR-6型 6石スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 17,500円

Sony TR-66型 6石スーパー 東京通信工業(株) 1957年 12,800円

Sony TR-63型 6石ポケット型スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 13,800円

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SONY : ソニー(株)

SONY TR-610 6石ポケット型スーパー 1958-60年 10,000円 (1959年8月以降 8,000円)

SONY TR-710-B 7石2バンドスーパー 1959年 11,500円

SONY TR-815-B 8石2バンドスーパー 1960年 12,200円

SONY TRW-621 時計付6石スーパー 1960-61年

SONY TFM-105J 10石FM-AMスーパー 1961-62年 21,000円

SONY TR-729 7石2バンドスーパー 1962年 8,800円

SONY TR-819X 8石2バンドスーパー 1962年 12,200円

SONY TR-911 9石3バンドスーパー 1962年 21,000円

SONY TFM-116J 11石FM付3バンドスーパー 1963-64年 23,800円

SONY EFM-117J 13石FM付3バンドスーパー 1964年頃

SONY TFM-110 "ソリッドステート 11" 11石FM付3バンドスーパー 1965-66年 13,800円

SONY 5F-90 "ソリッドステート10" 9石FM-AM2バンドスーパー 11,500円 (NEW)

SONY STA-110 9石FMステレオアダプター 1965-66年  9,900円

SONY TFM-110D "ソリッドステート 11" 12石FM付3バンドスーパー 1966-67年 13,800円

SONY TFM-110F "ソリッドステート 11" 12石FM付3バンドスーパー  1967-69年 13,800円

SONY ICR-100 / BC-100 3石1IC超小型スーパー/専用充電ケース 1968年 9,800円

SONY ICR-200 3石1IC超小型スーパー 1968年 7,900円

SONY ICF-500 2IC+10石FM付4バンドスーパー 1968年 25,800円

SONY ICF-110 "ソリッドステート IC 11" 1IC+11石FM付3バンドスーパー 1969-70年 14,800円

SONY ICF-110B "ソリッドステート IC 11" 1IC+11石FM付3バンドスーパー 1970-71年 14,800円

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National /ナショナル: 松下電器産業(株)

ナショナル EB-165型 6石スーパー 1957年 13,900円

ナショナル EB-180型 6石スーパー 1957年 12,800円

ナショナル T-19型  6石ポケット型スーパー 1959-60年 7,800円

ナショナル T-20型 6石2バンドスーパー 1959-60年 9,500円

ナショナル T-26型 8石2バンドスーパー 1959-60年 12,300

ナショナルAT-290型  7石2バンドスーパー 1959-60年 11,800円

ナショナル T-40型 8石2バンドスーパー 1960-61年 11,500円

ナショナル T-45型 7石2バンドスーパー 1961-62年 9,800円

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National Panasonic / ナショナル・パナソニック: 松下電器産業(株)

松下は1962年後半から輸出用ブランドである「パナソニック」シリーズのラジオを追加した。6石ポケット型のT-601、時計付7石のT-98、8石2バンドのT-802と、T-801S/Dの5機種である。パネルに"NATIONAL PANASONIC"と入っているが、カタログ上の扱いはブランドというより愛称の一つであった。パナソニックシリーズの発売により、松下のトランジスターラジオは、型番が2ケタのシリーズから3ケタの新シリーズに移行した。1964年からは、ポータブル型のトランジスターラジオのブランドをすべてナショナル・パナソニックに統一した。

ナショナル・パナソニック T-801S/T-801D型  8石2バンドスーパー 1962-64年 S: 11,200円/D: 11,900円

ナショナル・パナソニック R-803型 8石2バンドスーパー 1963-64年 8,900円

ナショナル・パナソニック R-807型 "Transistor 8" 8石2バンドスーパー 1964年頃

ナショナル・パナソニック R-1000型 "Radar Matic" 10石オートチューニング式スーパー 1964年

ナショナル・パナソニック RF-800D型 9石FM-AMスーパー 1966-67年  11,800円

ナショナル・パナソニック R-225型  "パナソニック8" 8石2バンドスーパー 1967-68年 6,900円

ナショナル・パナソニック RF-3000N型 19石6バンドスーパー 1968年 49,000円 (NEW)

ナショナル・パナソニック RF-690型 "ワールド・ボーイ" 11石FM-AMスーパー 1967-68年 11,000円

ナショナル・パナソニック RF-850D型 "ワールド・ボーイ・カスタム" 1IC+10石FM付3バンドスーパー 1969年 14,500円

ナショナル・パナソニック RF-750型 "ワールド・ボーイSS" 1IC+9石 FM-AMスーパー 1969年

ナショナル・パナソニック R-205D "パナソニック8D" 8石2バンドスーパー 1969年

ナショナル R-012型 "ペッパー012" 7石スーパー 1976-77年 7,800円

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NEC: 日本電気(株)

NEC NT-6B型 6石スーパー 1957-58年

NEC NT-7P型 7石スーパー 1957-59年

NEC NT-79A型 7石2バンドスーパー 1959年頃

NEC NT-6M11型 6石スーパー 1960年頃

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Columbia: 日本コロムビア(株)

コロムビア T-48型 8石2バンドスーパー 1963年頃 7,900円

コロムビア T-37型 "NSB Super 8" 8石NSB専用スーパー 1967年頃

コロムビア TFC-12型 12石FM付3バンドスーパー 1968年頃

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Victor: 日本ビクター(株)

ビクター TH-2770型 8石2バンドスーパー 1958年

ビクター 6TA-1型 6石2バンドスーパー 1958年 12,800円

ビクター 8TA-6型 8石2バンドスーパー 1963年頃

ビクター F-720型 12石FM-AMスーパー 1967年頃

ビクター IC-1000型 2IC-2Tr超小型ラジオ 1968年頃

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Hitachi: (株)日立製作所

日立 TH-666型 6石スーパー 1958-59年 9,800円

日立 "PEGGY" WH-817型 8石3バンドスーパー 1961年

日立 "BETTY" WH-730型 7石2バンドスーパー 1961年

日立 WH-777型 "ハイフォニック・ジュニア" 7石2バンドスーパー 1964年 6,150円

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Sharp : シャープ 早川電機工業(株)

シャープ BX-383型 8石2バンドスーパー 1962年頃

シャープ SONOPAC BPG-707型 レコードプレーヤ付6石スーパー 1963年頃 (別ファイル)

シャープ BP-102 J型 6石ポケット型スーパー 1963年頃

シャープ FV-5000型 "Multi Band Deluxe"  18石6バンドスーパー 1967-68年 34,800円

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STANDARD: スタンダード無線工業(株)

STANDARD SR-F408型 6石スーパー 1962年頃

STANDARD SR-H437型 "Micrinic Ruby" 8石スーパー 1963年

STANDARD SR-H740型 8石2バンドスーパー 1965年頃

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Sanyo : サンヨー 三洋電機(株)

サンヨー 8S-P3型  8石2バンドスーパー 1959年 12,500円

サンヨー 6C-19B型 6石スーパー 1962年 6,400円

サンヨー 8S-P25型 「カドニカ」  8石2バンドスーパー 1963年 12,400円

サンヨー 7C-38型 「アイビー・カドニカ」 7石スーパー 1964年  4,980円

サンヨー 9F-855型 「アイビー・カドニカ」 9石スーパー 1965年 11,000円

サンヨー 7C-600型 「ソリッドステート・カドニカ」 7石スーパー 1969年 5,900円

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Sanyo / Channel Master: 三洋電機(株)/ Channel Master Corp.

三洋電機はアメリカのアンテナメーカであったチャンネル・マスター社とOEM供給契約を結び、対米輸出の足掛かりとした。アメリカブランドだが、ここでは三洋電機のコーナーに含める。

CHANNEL MASTER MODEL 6506B 6石スーパー 1960年頃 $22.95

CHANNEL MASTER MODEL 6515A "Super Fringe" 8石スーパー 1963年頃

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Toshiba : 東京芝浦電気(株)

東芝 8TM-373S型 8石2バンドスーパー 1960年 13,000円

東芝 9L-950S型 9石3バンドスーパー 1962-63年 18,500円

東芝 7P-77S "ヤング7" 7石2バンドスーパー 1963-65年 5,600円

東芝 6P-64型 オリンピック記念 6石スーパー 1963年

東芝 6P-66型 "ヤングシックス" 6石スーパー 1964-65年 4,500円

東芝 8M-310型 "AM-Deluxe"   8石スーパー 1966年頃 7,800円

東芝 8M-390S型 "GT-SW"  8石2バンドスーパー 1967年 7,800円

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FUJI DENKI / FUJI : 富士電機製造(株) / 富士電機家電(株) 

INVICTA TRF-1200F型 12石FM-AMスーパー 1964年頃 (輸出用)

FUJI DENKI TRS-761型 7石2バンドスーパー 1965年 9,400円

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Mitsubishi : 三菱電機(株)

三菱 7X-245型 7石2バンドスーパー 1963年

三菱 7X-560型 7石2バンドスーパー 1964年頃

三菱 7X-800型 7石スーパー 1964年頃

三菱 8X-534型 8石2バンドスーパー 1970年

三菱 FX-620型 9石FM付3バンドスーパー 1966年頃

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GENERAL: 八欧電機(株) / (株)ゼネラル

ゼネラル C-59型 HiFi X 8石2バンドスーパー 1966年頃(1964年発売) 8,900円 


Crown : 旭無線電機(株)/クラウン(株)

Crown TR-860型 ”フラッシュ8” 懐中電灯付8石スーパー クラウン(株) 1966-67年 4,800円


Kobe Kogyo Corp.:神戸工業(株)

Kobe Kogyo KT-80型 小型8石スーパー 1960年

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その他のメーカ

SPICA ST-600型  6石スーパー 三立電機(株) 1958年 輸出用

KOYO KR-6TS2型 6石スーパー 光洋電子工業(株) 1959年

KOWA Ramera KTC-62型 カメラ付き6石スーパー 興和(株) 電機光学事業部 1959年 12,800円 

CONION CR-85型 8石2バンドスーパー コニー音響(株) 1967年 輸出用 

Nanaola Model 8KS-214 8石2バンドスーパー 七欧通信機(株) 1961年頃 輸出用

NSB Receiver 8 NSB専用8石短波ラジオ (株)日本短波放送 1964年頃

RALEIGH model FT-666 6石ポケット型スーパー Yashima Electric Ind. Co., Ltd. 1962年頃 輸出用

Realtone 1166 6石ポケット型スーパー Realtone Electronics Co., 1965年頃 輸出用、台湾製

Realtone 2930 "Intercontinental" 14石10バンドスーパー Realtone Electronics Co., 1967年頃 輸出用

Tokai FM-902 / MFA-9型  9石FM-AMスーパー ミノルフォン 1965年頃

UNIVERSAL model 6YR-65 6石ポケット型スーパー メーカ不明 1962年頃 輸出用

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外国製/外国ブランド


Arvin model 60R49 7石スーパー Arvin Industries, Inc. (U.S.A.)  1960年 米国製 

Bendix SHIPMATE 1 8石2バンドスーパー Bendix Aviation Corp. 1959年頃 日本製

BUSH model ETR 82  1球5石ポータブルスーパー Bush Radio Ltd. (U.K.) 1959年頃 英国製

G.E. model P-805A 5石スーパー General Electric Co.(U.S.A.) 1959年頃 米国製

G.E. model P-911C 6石ポケット型スーパー General Electric Co.(U.S.A.) 1963年頃 米国製

Motorola model unknown 6石ポケット型スーパー Motorola Inc. (U.S.A.) 1961年頃 日本製

Philco model No. NT-602BK 6石ポケット型スーパー Philco-Ford (U.S.A.)  1964年頃 日本製

RCA Victor model 1-RH-13 6石ポケット型スーパー Radio Corporation of America RCA Victor Home Instruments Div. (U.S.A.) 1959-61年 米国製

RCA Model RJG12E 6石ポケット型スーパー Radio Corpration of America (U.S.A.) 1964年頃 日本製

RCA Model RZG104Y  6石ポケット型スーパー RCA Corp. Consumer Electronics Division (U.S.A.)  1968年頃 香港製

RCA Model PA-8 8石スーパー RCA Victor Company, Ltd. (Canada) / 東京芝浦電気(株) 1963年頃 Code 710 OEM (NEW)

SEARS model No. 2219 6石ポケット型スーパー Sears Roeback and Co., U.S.A. and Simpsons Sears Ltd. (Canada) 1965年頃 香港製

Westinghouse model H-902P6 GP 6石ポケット型スーパー Westinghouse Electric corp. Television Radio Div. (U.S.A.) 1963年頃 日本製

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トランジスターラジオ用アクセサリ


ゼネラルトランジスターラジオ用電源アダプタ type B 八欧電機(株) 1957年

ナショナルホームスピーカー SPT-51型 松下電器産業(株) 1957年 1,800円

ナショナルホームスピーカー SPT-641型 松下電器産業(株) 1960-61年 1,600円

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国産ポータブルタイプ


Sony:東京通信工業(株)


Sony TR-72型 7石スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 23,900円

 

Tr: 2T-52 2T-51 2T-51 1T-33 2T-61 2T-62 2T-63 2T-63 1T-90

ソニーが初代のTR-55の続いて発売した機種。小型だが感度、音量ともに不十分だったTR-55に対して、この機種では桜の天然木を使ったキャビネットに納められた大型のモデルとなり、携帯性は低下したが、感度、音質とも十分な性能を実現できていた(10)。しかし、価格は最高級の真空管ラジオに匹敵するほど高価だった。

自社製のトランジスタを使用しているが、性能のばらつきが大きく、回路に調整用の部品が設けられている他、一部の高周波用トランジスタがソケットを使用して取り付けられていて、選別しながら組み立てていたことが伺われる。

(所蔵No.12001)

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Sony TR-6型 6石スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 17,500円

 

Trs: 2T-52 2T-51 2T-51 2T-63 2T-63 2T-63 1T-33 1T-33, DC6V(UM-2 X4)

大型のセミポータブルとなったTR-72に対し、TR-55の流れをくむポータブルとして発売された初期のトランジスターラジオ。6石としてTR-55に対して性能が改善され、4球の真空管ポータブルと同等の性能となった。単3を使用したため使用時間が100時間程度だったTR-55に対して電圧は同じ6V だが、単二を採用することで500時間まで改善された。まだ高価ではあるがTR-55より2,000円定価が下げられ、電池代を考慮すれば真空管ポータブルに対する競争力も付いて売れるようになってきたモデルである。

ソニーは、トランジスターラジオの初期にアメリカ企業向けのOEM供給に応じなかったことで知られるが、この機種については、キャビネットと主要部品のみが米ホフマン向けに供給された。

本機はキャビネットの変色、破損がみられる。また、電池用の筒が失われている。

(所蔵No.m12033) 戸井田コレクション

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SONY TR-66型 6石スーパー 東京通信工業(株) 1957年 12,800円

 

Trs: 2T-51 2T-52 2T-52 2T-64 2T-63 2T-63 1T-23 1T-90, DC6V(UM-2 X4)

TR-6の改良型として1957年に発売されたモデル。キャビネットのサイズや基本的なレイアウトはTR-6と同じで、TR-6の金型を改造して作られたと考えられる。デザインを変えることで外観部品の点数を大幅に減らしている。回路はよく似ていて感度はあまり変わらないが、音声出力がTR-6の25mWに対し45mWに拡大されている。デザインの見直しと量産効果によって価格は大幅に下げられ、1万円前後だった真空管ポータブルの中級機種とそれほど変わらないものになった。SONYのロゴは新しくなっているが社名はまだ東京通信工業である。

本機は、ダイヤルツマミ付近のキャビネットが破損している。

(所蔵No.m12034) 戸井田コレクション

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Sony TR-63型 6石ポケット型スーパー 東京通信工業(株) 1956-57年 13,800円

 

Trs: 2T511 2T520 2T520 2T520 2T64 2T67 2T67 (SONY), DC9V (JIS 006P)

ソニー最初のポケット型ラジオ。この時作られた"Pocketable"という造語はその後一般名詞化した。実際にはワイシャツのポケットに入れるには少し厚みがあったため、セールスマンにポケットを大きくした特製のワイシャツを着せたという逸話が残っている(6)。

当時のサラリーマンの平均給与に近い価格は、大型の5球スーパーに匹敵するもので高価ではあったが、性能が安定してきたこともあって少しずつ売れるようになった。これに対し$39.95の価格で輸出された北米向け輸出は好調で、日本のトランジスタラジオ輸出の初期の成功例となった。写真の緑色の他に、アイボリーと黒のカラーバリエーションがある。緑と黒はツマミが同色だが、アイボリーのみはツマミが赤である。2年近くにわたって製造される中で多くの改良が施されたらしく、外観や使用部品に微妙な差異がみられる。

(所蔵No.S12010) (柴山 勉コレクション)

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SONY:ソニー(株)


SONY TR-610 6石ポケット型スーパー ソニー(株) 1958-60年 10,000円 (1959年8月以降8,000円)

 

Tr: 2T73 2T76 2T76 2T65 2T65 2T65 1T23、DC9V (JIS BL-006P Eveready 216 or equiv.)

最初のポケットラジオTR-63の後継機に当たる機種。TR-63は、ポケット型というには多少大きく、大きなポケットの付いたワイシャツを着て営業したという話も伝わっている(6)が、この機種は小型化され、正真正銘のシャツポケット型となった。スピーカを強調したデザインは高い評価を受け、1959年2月にグッドデザイン賞(選定番号10014)を受賞した。最初に輸出向けに発売され、少し遅れて国内に投入された。

日本製だけでなく、ヨーロッパでもこのデザインの模倣品が多く現れ、戦後初めてデザインをコピーされた日本製品となった(6)。廉価な模倣品対策のためか、1960年には回路をレフレックスとしてトランジスタを1個減らした廉価版TR-510が輸出用に用意された。ソニーは模倣品メーカに対して法的対抗措置をとったが、解決したのはこの機種がモデルチェンジした後だったという。

アメリカ製トランジスタラジオは大きなものばかりで、このような小型のモデルは用意されなかったため、ポケットラジオは日本製の独壇場となった。日本製品が安かろう悪かろうから脱するきっかけとなった製品である。長く生産されたため、使用トランジスタなど、初期型と後期型で相違点が多い。また、途中で一回値下げされている。黒色の他にアイボリーと赤のバリエーションがある。

(所蔵No.12130)

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SONY TR-710-B 7石2バンドスーパー ソニー(株) 1959年 11,500円 

 

Trs: 2T201 - 2T76 - 1T23 X3 - 2T6 - 2T6 - 2T3 (SONY) (初期型) DC3V (JIS UM-2 or Size "C" X2), BC:535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

小型の、本格的な短波帯を備えるトランジスタラジオとしては初期のモデルである。ほぼ同じデザインで1958年にTR-710として発売され、このTR-710-Bは廉価版として追加された。キャビネットが小さいため、ロッドアンテナはねじ込み式で、使わないときは皮ケースに収納する。短波の選局を容易にするために同調ツマミは中波のモデルより大きく、ギヤ駆動となっている。

トランジスタの形式や品名が変わる過渡期のモデルのため、同型でトランジスタの品種が異なるものが何種類かある。正面の段差のあるモールのデザインは、半導体のP-N接合のエネルギーレベルを図案化したもののように見える。

(所蔵No.12175)

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SONY TR-815-B 8石2バンドスーパー ソニー(株) 1960年 12,200円

 

8-Trs. DC4.5V (JIS UM-2 X3 or Size "C" or equivalent

幅20cm近い大型のトランジスタラジオ。ギヤ駆動される3連のエアバリコンが使われ、メイン・チューニングの他にファイン・チューニングツマミが設けられているなど、性能を重視した高級機である。

(所蔵No.12125)

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SONY TRW-621 時計付6石スーパー ソニー(株) 1960-61年

 

6-Trs. DC9V (006P X1), BC: 535-1605kc

ポケットラジオに初めて時計をつけたモデル。まだ小型の水晶時計がない時代なので、手巻きの機械式ムーブメントを使用している。ムーブメントはセイコー製の腕時計用をベースとしたもので、電気接点が設けられ、文字盤周囲のダイヤルの指示でタイマーとして動作させることができる。ラジオは一般的な6石中波スーパーである。

掲載誌:電波実験臨時増刊No.7 『最新オールトランジスタ回路集』 (電波実験社 1961年)

(所蔵No.12207)

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SONY TFM-105J 10石FM-AMスーパー ソニー(株) 1961-62年 21,000円

 

10-Trs. , DC6V(UM-1 X4), BC: 535-1605kc, FM: 80-90Mc,

初期の国内向けFM付モデル。最初のFM付トランジスタラジオTFM-151などで採用された表裏対象のデザインを踏襲している。FMのバンドが、初期の狭いバンドになっている。中波のモデルに比べると高価である。

本機は、ロッドアンテナが失われている。

(所蔵No.m12006) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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SONY TR-729 7石2バンドスーパー ソニー(株) 1962年 8,800円

 

7-Trs. DC6V (4-JIS UM-3)

ソニー製品としては安価な7石2バンドスーパー。当時の多くのトランジスタラジオがゴールドの派手なパンチングメタルをスピーカグリルに配していたのに対し、この機種はシンプルなアルミを使用している。黒バックのダイヤルとのマッチングも良く、時代の先を行くデザインである。このような小型のセットでは、ロッドアンテナを使うときだけねじ込むようになっているものが多いが、この機種では短いアンテナを採用し、内蔵できるようになっている。

(所蔵No.12124)

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SONY TR-819X 8石2バンドスーパー ソニー(株) 1962年 12,200円

 

Trs.: 2SA70 2SA70 2SC76 2SC76 2SD65 2SD65 2SB49 2SB49, DC4.5V (JIS UM-2 X3)

ソニーの中級8石2バンドラジオ。型番末尾に"X"が付くのは、NSBクリスタ(バリコンの横の黒い部品)を内蔵したモデルを示す。NSBクリスタのON/OFFと音質切替はフロントパネルのスライドスイッチ、バンド切替は背面のスライドスイッチで切り替える。ファインチューニングが装備されているため、同調ツマミが2つある。

(所蔵No.12160)

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SONY TR-911 9石3バンドスーパー ソニー(株) 1962-66年 21,000円

 

9 Trs. DC6V (UM-1 or Size "D" X4), BC: 535-1605kc, SW1: 3-9Mc, SW2: 9-24Mc

1959年に発売された8石3バンドラジオTR-812の改良型。RFを1段追加して9石としたことで、短波帯の上限を従来機の18Mcから24Mcに拡大している。バーアンテナが中波用と短波用で独立しているなど、短波帯の性能を重視した設計となっている。同調ツマミの内側が微調ダイヤルとなっている。

TR-812から基本的に変わらないデザインは評判が良かったらしく、1966年に10石4バンドのTR-1000にモデルチェンジされてもデザインの基本は変わらなかった。電池専用のポータブルとはいえ、W264XH218XD103(mm)の寸法はかなり大柄で、重量も2.7kgある。FM付きのモデルを除けば、当時のソニーの最高級機だった。

(所蔵No.12174)

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SONY TFM-116J 13石3バンドスーパー ソニー(株) 1963-64年 23,800円

 

13 Trs. , Batteries: DC6V (JIS UM-1, size "D" standard flash light cell or equiv. X4)

ソニーの大型ポータブルラジオ。FMと短波を備える3バンドラジオである。チューニングメータ、FMマルチプレックス入力、テープ出力、外部入力、外部アンテナ、イヤホンなど、多くの機能を備える。この頃、ソニー製品は国際商品として成功していた。同一のモデルで仕向け地別に型番末尾の記号で識別されている。"J"は、FMが76-90Mcのバンドを持つ、日本向けのモデルである。

(所蔵No.12089)

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SONY EFM-117J 11石FM付3バンドスーパー ソニー(株) 1964年頃

 

11 Trs. + Eaki Diode, DC6V (JIS UM-2, Size "C" or equiv. X4)

1957年、東京通信工業の研究員であった江崎玲於奈はが、トンネル効果による負性抵抗特性を持つダイオードを開発した。これをトンネル・ダイオードまたはエサキダイオードと呼ぶ。この研究は、固体中のトンネル効果を世界で始めて実証した点で画期的であり、江崎は1973年にノーベル物理学賞を受賞した。

江崎は1960年にIBMに移籍したが、後にソニーは製品化されたエサキダイオードを、その超高周波領域での負性抵抗特性を利用してFMラジオの周波数変換回路に応用した製品を発売した。しかし、FMラジオにエサキダイオードを採用する技術的な必然性はない。アメリカで最初に功績が認められ、渡米したエサキの名声を生かした製品ということができるだろう。

EFM-117型は当初アメリカ向けのAM-FM 2バンドのモデルが発売され、少し遅れて短波付3バンドの日本向けモデルEFM-117Jが発売された。ソニーの創業以来100番目のラジオセットでもあった。エサキダイオードを搭載したラジオは、この機種の他にEFM-152があるが、いずれもFM部に、バリコンの代わりに可変インダクタンスを使った特殊な回路が使われ、耐久性や安定性に問題があるといわれたエサキダイオードの特性と併せて、FMの感度が低下するという欠点を持つ。

エサキダイオードはMOS型の半導体の普及によってコンピュータに応用されることはなく、マイクロ波機器などに使用されている。EFM-117型は1967年にデザインを変えずにエサキダイオードを通常の部品を使った13石の回路に変更し、FMの感度を向上させたTFM-117Dにモデルチェンジされた。

(所蔵No.12105)

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SONY TFM-110 "SOLID STATE 11" 11石FM付3バンドスーパー ソニー(株) 1965-66年 13,800円
SONY STA-110 FMステレオアダプター 9石 ソニー(株) 1965-66年 10,000円


TFM-110 (右)と、STA-110 (左)

11 Trs. DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz,SW: 3.9-12MHz, FM: 76-90MHz

1960年代後半のソニーを代表する3バンドラジオ。1965年に初代のTFM-110が、トランジスタ11石ということから”ソリッドステート11”の愛称で発売された。シルバーのアルミと黒いプラスチックで構成されたシンプルなデザインは当時、非常に斬新なものであった。輸出用にTFM-110Wが用意されたが、このモデルは国内仕様と異なり、短波がなく、FM-AM(FMは86.5-108Mc)である。国内と同じ3バンドの輸出向けモデルはTFM-110Lと呼ばれた。

特殊なモデルとしてFMが海外向けの86.5-108Mcの3バンドのモデルを、当時盛んになってきた海外旅行や出張用に国内販売したTFM-110WBがある。「ソリッドステートパスポート」の名称で海外旅行者専用として発売された。英文のパスポート風のデザインの取説が付属する。免税品ではなく、国内向けモデルと同価格で日本人の旅行者向けに発売された。

ソリッドステート11には、ラジオと左右対称となるようにデザインされたFMマルチプレックスステレオアダプター、STA-110型が用意されていた。ラジオ側に専用のコネクタがあり、接続するとステレオ復調され、左チャンネルとして働くようになる。最も簡単なFMステレオ受信機となるが、当然のことながらボリュームが左右独立してしまうので、音量のバランスをとるのは面倒である。STA-110は、ラジオ本体がTFM-110からTFM-110Fに変更されるのに合わせて、モノとステレオの切替が自動化されたSTA-110Fにモデルチェンジされた。他社でも、音質を重視したFM付中型ラジオには、デザインをあわせたステレオアダプターが用意されていた。

(所蔵No.12101/12102)

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SONY 5F-90 "ソリッドステート10" 9石FM-AM2バンドスーパー 1965年 11,500円

 

9-Trs, DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz, FM: 76-90MHz

ソリッドステートイレブンの廉価版としてFM-AMの2バンドモデルが、「ソリッドステート・テン」として用意された。「テン」といいながら中身は9石である。「イレブン」はベストセラーとなり、その後マイナーチェンジを繰り返しながら70年代まで続くロングセラーとなるが、ソリッドステート・テンは、6F-20にマイナーチェンジされたが、1968年にはカタログから落とされ、ポケットラジオの「ソリッドステート・ナイン」が登場したが、どちらも忘れられている。
ステレオ・アダプタを接続できるが、専用のモデルはなく、イレブン用のSTA-110が推奨されていた。

(所蔵No.12309)

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SONY TFM-110D "SOLID STATE 11" 12石FM付3バンドスーパー  ソニー(株) 1966-67年 13,800円

12Trs. DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz,SW: 3.9-12MHz, FM: 76-90MHz

ソリッドステート11は、翌1966年、TFM-110Dにマイナーチェンジされ、感度向上のためトランジスタが12石となったが、ソリッドステート11の愛称は変わらなかった。このため、このモデルから、パネルの表記が"11 TRANSISTOR" から "SOLID STATE 11"に変更された。デザインは、この表記を含めて細部が変更されただけでほとんど変わっていない。

(所蔵No.m12066)  大阪府、青木様寄贈

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SONY "SOLID STATE 11" TFM-110F 12石FM付3バンドスーパー ソニー(株) 1967-69年 13,800円

12Trs. DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz,SW: 3.9-12MHz, FM: 76-90MHz


TFM-110Dは1967年にマイナーチェンジされ、3代目のTFM-110Fとなった。基本的なデザインは大きく変わらないが、電源スイッチが独立し、バンド切り替えスイッチの形状が変わり、チューニングメータが追加されたのが、外観面の大きな変化である。また、パネルの仕上げもヘアラインの目が粗くなった。

FMマルチプレックスステレオアダプター、STA-110型も、ラジオ本体の変更に合わせて、モノとステレオの切替が自動化されたSTA-110Fにモデルチェンジされた。

TFM-110と、その後継機種は、基本的なデザインを変更せずに4年間発売されるロングセラーモデルとなった。また、このデザインは他社製品にも大きな影響を与え、多くの類似したデザイン、企画の製品が登場した。このシルバーとブラックを基調としたシャープなデザインが60年代後半の国産トランジスタラジオの主流となる。「イレブンシリーズ」として人気を博したこのモデルは1969年にICとFETを採用し、デザインを大きく変更したICF-110にフルモデルチェンジされた。イレブンシリーズは、その後もバリエーションの追加とモデルチェンジを繰り返し、ラジカセが流行する1970年代半ばまで、ローエンドのオーディオ機器の役割を兼ねた中級ラジオの中心的なモデルとなったのである。

(所蔵No. 12138)

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SONY ICR-100 3石1IC超小型スーパー ソニー(株) 1968年 9,800円 

  
ICR-100の外観(左)と内部(右)、内部写真にはオリジナルでない配線や欠品がある

 Semiconductors: CX001/CX901 2SC403 2SD64 2SB262, DC2.44V (Ni-Cd 電池1.22V X2, 充電式), BC:530-1605kc

マッチ箱大の超小型筐体に中波ラジオを組み込んだセット。ソニー製モノリシックIC第1号となるCX001とトランジスタ3石で構成される。ICの品番は後にCX901に変更された。ソニーはカタログで「世界初、世界最小」と謳っていたが、ICを使ったラジオとしてはフィリップスIC-2000型のほうが早い可能性がある。日本初であることはほぼ間違いない。また、スピーカが鳴るスーパー受信機として当時世界最小というのもまず間違いないであろう。

極端な小型化のため、構造や使用部品に無理があり、実用性や耐久性は低い。ニッカド電池の液漏れによってダメージを受けているものが多く、修理はきわめて困難である。

電源はニッカド電池を使った充電式でBattery Charging Case と呼ばれる専用充電器BC-100を使用する。専用充電器と一緒に収納する化粧ケースおよび、メダル付のチェーンが付属する。本機はグッドデザイン賞に選定された。

 
専用充電ケースBC-100の外観(左)と、本体を収納した内部(右)

本体があまりに小さいため、ケース代わりの充電器に収納してコンセントに差し込むというユニークな構造となっている。


化粧箱の外観、これで普通のトランジスタラジオほどのサイズである。


充電ケースに入れた本体と、キャリングケース、イヤホンが納まる。

(所蔵No.12186) (S12009:柴山 勉コレクション) (m12057:愛知県、太田様寄贈)

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SONY ICR-200 3石1IC超小型スーパー ソニー(株) 1968年 7,900円

 

Semiconductors: 2SC403A 2SD187 2SB136 CX028M 1T23, DC3.66V (Ni-Cd 電池1.22V X3, 充電式)

111.5X49X24mmという超小型の筐体に中波ラジオを組み込んだセット。当時開発されたばかりのモノリシックICとトランジスタ3石で構成される。世界初のIC使用ラジオICR-100型は、マッチ箱大の極端に小型化したセットだったが、2号機に当たる本機は、横幅を2倍に広げ、音質や感度を改善したもの。価格も引き下げられている。

電源はニッカド電池を使った充電式で専用充電器が付属する。このため、裏蓋は特殊なドライバでないと開閉できない構造になっている。ICR-100に続いてグッドデザイン賞に選定された。赤色のバリエーションもある。

(所蔵No.12106)

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SONY ICF-500  2IC+10石FM付4バンドスーパー ソニー(株)  1968年 25,800円

 

2IC+10-Trs, DC6V (UM-2 X4 or equiv. FM: 76-90Mc, BC: 530-1605kc, SW1: 2.3-6.2Mc, SW2: 7-18Mc,

ICR-100と同時期に発売されたICを採用した高級ラジオ。AMとFMの他に海外放送とNSBをカバーする短波のバンドを備えている。背面下側に内蔵できるFMステレオ・アダプター・パックSAP-500(7,800円)が用意されていた。電源は乾電池の他にACアダプタAC-90を使ってAC100Vも使用できるほか、専用の充電池パックBP-500(5,000円)も用意されていた。

1968年のソニー製ラジオの中で最も高価な機種だった。高級カメラを思わせるデザインが取り入れられ、高級感を表現している。カタログではオープンリールのテープデッキや外部スピーカと組み合わせて、本格的なオーディオとして使うシステムがアピールされていた。

ソニーはICを使ったラジオに"ICR-XX"、ICを使ったFMラジオに"ICF-XX" と命名するようになり、このルールはその後長く使われるが、この機種は"ICF"という型番を初めて名乗った製品である。

(所蔵No.S12020) (柴山 勉コレクション)

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SONY ICF-110 "ソリッドステート IC 11" 1IC+11石FM付3バンドスーパー ソニー(株) 1969-70年 14,800円

 

1 IC + 11 Trs. , DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz,SW: 3.9-12MHz, FM: 76-90MHz,

ソニー製中型ラジオのIC化は1968年のICF-500から始まった。高価な(27,300) 4バンドのモデルだったICF-500に対して、この機種はベストセラーとなったソリッドステートイレブンをフルモデルチェンジした機種として発売された。価格は従来のTFM-110Fの1,000円アップに抑えられている。本格的にICとFETを採用したモデルだが、ICは低周波部のみで、トランジスタがFETを含めて11石と、集積化の効果はあまり出ていない。

サイズや全体のフォルムは従来機と大きく変わっていないが、パネルのデザインは、従来の大型縦型ダイヤルから、針が固定されて文字盤が回転する小型のダイヤルに変更されている。スペースを取らないこの形式のダイヤルは後にBCLラジオに広く採用される。

ICF-110は、1970年にブラックモデルのICF-110Bが発売されたことでカタログから落とされた。

(所蔵No.m12009) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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SONY ICF-110B "ソリッドステート IC-11" 1IC+11石FM付3バンドスーパー ソニー(株) 1970-71年 14,800円

1 IC + 11 Trs. , DC4.5V (UM-2, Size C X3), BC:530-1605kHz,SW: 3.9-12MHz, FM: 76-90MHz,

ICF-110の発売後1年目に外装をシルバーからブラックにマイナーチェンジした機種。単に色を変えただけでなく、ロゴや細部のデザインが異なる。グッドデザイン賞受賞。

内部回路はICF-110とほぼ同じだが、スピーカが改良されている。ステレオアダプターSTA-110のブラックモデルは用意されなかった。これ以降シルバーモデルはなくなり、ラジオのデザインは黒色が主流となる。ICF-110Bは、1971年に ICF-1100 "The 11" に引き継がれた。

(所蔵No.12205) 

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ナショナル/パナソニック 松下電器産業(株)


ナショナル EB-165型 6石スーパー 松下電器産業(株) 1957年 13,900円

 

DC6V (4AA), BC: 540-1600kc,
6-Trs. : 2T-512 2T-551 0A70 2T-65 2T-65 X2(SONY): 初期モデル

松下が最初に発売したトランジスターラジオの一つ。松下は、トランジスターラジオの発売当初、自社製トランジスタの生産が間に合わなかったためにソニー製を採用した。製造番号62140の本機は松下がフィリップスから技術導入した自社製トランジスタに変更されている。

電池は単3を4本束ねた組電池"4AA"を採用している。松下は、トランジスターラジオの発売に合わせて「トランジスターラジオ用電池」として、この4AAの他にBL-M106(9V)と、現在でも広く使われているBL-006P(9V)を発売した。4AAは、単3(1個25円)を4個使うより高価(120円)だったため、電池スナップの付いた単3を4個入れられる電池ホルダが発売された。

トランジスターラジオ用スピーカSPT-51型がアクセサリとして用意されたが、このスピーカはこの機種専用だった。同社にはこの他に同じ6石で安価なEB-180型、7石の上級モデルUB-160型があったが、出力が小さく、外部スピーカは使えなかった。

この頃、安価な5球スーパが6,500円程度だった野に対し、トランジスターラジオはこの約2倍と高価だった。真空管式ポータブルの上級機とは同価格だったので、電池代が低い分有利だったが、まだ真空管ポータブルも併売していたので、食い合いしないように販売店向けの資料では、カーラジオとして売ることを勧めている。外部スピーカをつけて15,700円になるが、安くても2万8千円以上していたカーラジオより安価で便利としている。ラベルにはまだ真空管と同じ「ポータブル」と表記されている。

(所蔵No.12219)

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ナショナル EB-180型 6石スーパー 1957年 12,800円

 

6-Trs. , DC9V(006P), イヤホン端子、外部SP使用不可, BC: 540-1600kc

松下が最初に発売したトランジスターラジオの一つ。松下は、トランジスターラジオの発売当初、自社製トランジスタの生産が間に合わなかったためにソニーから供給を受けた。最初に発売された3機種のうち、最も安価なモデルだった。出力が小さく、外部スピーカは使えなかった。

(所蔵No.12246)

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ナショナルT-19型 6石ポケット型スーパー 松下電器産業(株) 1959-60年 7,800円 

  

6-Trs. DC9V (JIS 006P),

松下の初期のポケットラジオ。サイズは現代でも見られる一般的なポケットラジオのサイズに近い。電源には9Vの積層乾電池BL-006Pが使われている。このほかに、超小型ラジオには6Vまたは9Vの特殊な積層電池が使われることもあった。しかし、006Pの価格は当時1個130円であったのに対し、単三乾電池は1個25円だった。単三4個より高価な006Pの寿命は短く、不経済だったため、日本の一流メーカのトランジスタラジオは中型機が単三4個、ポケット型は単三2個というのが一般的になる。しかし、別項に示すように、アメリカではポケットラジオ用電池は006P相当品という時代が長く続いた。

(所蔵No.12120)

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ナショナル T-20型 6石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1959-60年 9,500円

 

Transisitors & Diodes: MC103 MC101 MC101 OA70 OC71 OC72 OC72 OA70 MA23, DC6V (UM-3 X4 or ext battery type 6D)

松下の小型2バンドスーパー。6石ではあるが、3.9-12Mcの本格的な短波帯を備える。小型のセットのため、ロッドアンテナは使用するときにねじ込むタイプである。家庭内で使うときのために大型の積層乾電池「ナショナルホーム乾電池6D」が用意されていた。この電池は松下独自規格のもので、専用ケーブルで背面のコネクタに接続する。

トランジスタはフィリップスとの提携で実現した自社製のもので、品番がJIS品番になる直前のため、独自の品番になっている。

本機は、梱包材と付属品が、ロッドアンテナを除き、すべて揃っていた。皮ケースも残っていたが使用した形跡はなく、本体のパネルが傷だらけになっている。本体のみ使用していたようである。また、製造番号がはがされ、販売店向けの書類がそのまま残っている。ナショナルの系列電気店以外のルートに流れた商品と思われる。

(所蔵No.12148)

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ナショナル AT-290型 7石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1959-60年 11,800円

 

8-Trs, DC6V (UM-3 X4 or 4AA X1), BC: 530-1605kc, SW: 3.8-10Mc

松下の初期のトランジスタラジオのひとつ。2バンドだが、短波のバンドが少し狭い。バリコンはポリバリコンではなく、エアバリコンである。1960年代の一般的なトランジスタラジオが奥行き30-40mmなのに対して、この機種は50mm近くあり、分厚い。

トランジスタはPhilips/Mullard のライセンスによる独自の番号の品種が使われている。パッケージは、初期のガラス封止のものと、メタルCANのものが混ざっている。トランジスタの品名は1960年の後半から現在のJIS方式に改められた。

ロッドアンテナは使うときに本体のねじ穴に差し込むタイプで、内蔵されない。皮ケースとともに失われている。

(所蔵No.12195)

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ナショナル T-26型 8石2バンドスーパー  松下電器産業(株) 1959-60年 12,300円

 

 Trs: MC101 MC101 MC102 MC102 OC71AW OC71B OC72 OC72
 DC6V (4AA or 4- UM-3), BC:540-1600kc, SW: 3.9-10Mc

松下の初期のトランジスタラジオのひとつ。2バンドだが、短波のバンドが少し狭い。バリコンはポリバリコンではなく、エアバリコンである。1960年代の一般的なトランジスタラジオが奥行き30-40mmなのに対して、この機種は50mm近くあり、分厚い。

トランジスタはPhilips/Mullard のライセンスによる独自の番号の品種が使われている。パッケージは、初期のガラス封止のものと、メタルCANのものが混ざっている。トランジスタの品名は1960年の広範から現在のJIS方式に改められた。MC101、MC102は2SA101、2SA102に、OC71は2SB71に、OC72は2SB172に変更された。

電池は銘板やラベルの指定は組電池の"4AA"だが、特殊で高価な電池が嫌われたためか、単三4個用の電池ホルダが取り付けられている。この電池ホルダは、ナショナルの純正品のようだが、最初から付けられていたものか、改造かは不明である。

ロッドアンテナは使うときに本体のねじ穴に差し込むタイプで、内蔵されない。皮ケースとともに失われている。

掲載誌:『無線と実験』1960年1月号

(所蔵No.12134)

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ナショナル T-40型 "ゴールデン・エイト" 8石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1960-61年 11,500円

  

Transistors: 2SA102 2SA102 2SA101 2SA102 2SB171 2SB171 2SB172 2SB172
        (MC102 MC102 MC101 MC102 OC71 OC 71 OC72 OC72)
DC6V (UM-3 X4)、BC: 535-1605kc, SW: 3.8-12Mc

トランジスタラジオが普及し始めた頃の2バンド8石ラジオ。トランジスタの性能がかなり向上し、標準的な短波帯(3.8-12Mc)を備えるようになった。上のT-26型と比べると奥行きが薄くなり、価格も下げられている。皮ケースとイヤホンが標準で付属した。電源は単三電池4本のみである。トランジスタの品番がJIS品番に切り替わった直後の製品のため、回路図には旧品番も記入されている。

この機種は、イタリア、ミラノの第12回トリエンナーレ展において、金賞を受賞した(2)。

本機は新品で購入以来60年が経過しているが、接触不良はあるものの使用可能である。

掲載誌:『ラジオ技術』1960年6月号、『電波科学』1961年1月号、電波実験臨時増刊No.7 『最新オールトランジスタ回路集』 (電波実験社 1961年)

(所蔵No.12007)

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ナショナル T-45型 7石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1961-62年 9,800円

  

7-Tr. DC3V (UM-3 X2)

ナショナルの中級モデル。2バンドラジオとしては小型で、単三乾電池2個で動作する。トランジスタラジオの発売から6年ほどでトランジスタの性能が向上して、低電圧で2バンドラジオが動作するようになっていた。ポリバリコンやソリッド抵抗器などの小型部品が普及したことで実装密度が上がり、高性能で小型のセットが可能となった。

(所蔵No.12097)

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ナショナル・パナソニック T-801S/T-801D型 8石2バンドスーパー  松下電器産業(株) 1962-64年 S: 11,200円/D: 11,900円

 
     T-801S(左)とT-801D(右)の外観

T-801Dの内部(T-801Sもほとんど同じ)

8-Trs. DC6V (UM-3 X4), BC:540-1600kc, SW: 3.9-12Mc

松下は1962年後半から「パナソニック」シリーズのラジオを追加した。6石ポケット型のT-601、時計付7石のT-98、8石2バンドのT-802と、このT-801S/Dの5機種である。

パネルに"NATIONAL PANASONIC"と入っているが、カタログ上の扱いはブランドというより愛称の一つであった。海外向けのブランドを国内に導入するにあたって、海外で評判になっていることを強調し、外人が登場するカタログが製作された。

この中でT-801は、パナソニックの名称をブランドとして始めて使用した最初の製品の代表的な機種である。ダイヤルツマミの右半分は微調つまみとなっている。当初T-801として発表されたが、標準型のT-801SとNSBクリスタを備えた上級機種であるT-801Dの2モデルに分けられた。当初のT-801とT-801Sは同じもの。SとDの相違点は外観ではクリスタ・スイッチの有無だけである。

本機は、正面のダイヤルライト周りの飾りが失われている。

(所蔵No.12181/12182)

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ナショナル・パナソニック R-803型 8石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1963-64年 8,900円

 

Trs.: 2SA70(OC70) 2SA101 2SA101 2SB173(OC73) 2SB171(OC71) 2SB171 2SB172(OC72) 2SB172
DC6V (UM-3 X4), BC:525-1605kc, SW: 3.9-12Mc

松下がパナソニックの名称を国内向けに使い始めた頃のセット。ごく平凡な8石2バンドスーパーである。横長のモデルとしては1万円を切る低価格のモデルで、「ポピュラー号」と称していた。

本機は、ロッドアンテナ先端が破損しているほか、電池ホルダが失われている。

(所蔵No.12146)

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ナショナル・パナソニック R-807型 "Transistor 8" 8石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1964年頃

  

Trs.: 2SA70 2SA101 2SA101 2SB171 2SB171 2SB172 2SB172 2SB173, DC6V (4- Size "AA" / JIS UM-3 or equiv.

松下は輸出用に主に使ってきた”パナソニック”ブランドを国内向け小型音響製品に使うようになった。表記は"National Panasonic"である。これはその初期の製品である。このセットは初期型と思われ、パナソニックのロゴが丸みを帯びた古いタイプのものが使われている。同型で、ロゴがNATIONAL"と同じ角ばった書体に変更され、正面パネルの表示が"Panasonic 8"になったものも確認されている。また、輸出用として短波のバンドが6-18McのR-807J型も存在する。

(所蔵No.12126)

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ナショナル・パナソニック R-1000型 "Radar Matic" 10石オートチューニング式スーパー 松下電器産業(株) 1964年 9,800円

 

10-Trs. 3-Diodes, DC6V (JIS UM-3 X4), BC: 540-1605kc

オートチューニング機構を備えた中波ラジオ。電力消費を抑えるため、スキャンの動力はゼンマイである。回転方向を一方向とするために、360度回転する特殊なバリコンが使われている。そのため、ダイヤルは上下対象に目盛りが2つ刻まれている。セット右上部のレバーを押すとゼンマイが回転してスキャンする。手動で同調するときは、同調ツマミを押し込んでギヤにかみ合わせて動かす。オートチューニングの感度を設定するために、DX-M-L の切替スイッチが備わっている他、メカニカルフィルタを採用して同調をシャープにしている。このようなオートチューニング式ラジオは、日立の「オートナイン」から始まってこの時期流行した。(13)

(所蔵No.12163)

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ナショナル・パナソニック RF-800D型 FM-AM9石スーパー 松下電器産業(株) 1966-67年  11,800円

 

9 Trs. AC100V or DC6V (UM-3 X4), BC: 525-1605kc、FM: 76-90Mc

パナソニック・シリーズの中では上位機種であるFM-AMのモデル。消費電力が大きいためか、トランス式のAC電源を内蔵し、AC100Vで使用できる。ACコードを背面のコネクタに挿すと電池と切り替わるようになっている。電源を持つ分、電池式の8石モデルに対して横幅が広くなっている。

(所蔵No.12147)

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ナショナル・パナソニック R-225型  "パナソニック8" 8石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1967-68年 6,900円

  

8-Trs. , DC6V (UM-3 or Size "AA" X3)

1964年頃から、松下は輸出用に主に使ってきた”パナソニック”ブランドを国内向け小型音響製品に使うようになった。表記は"National Panasonic"である。この機種は2バンド8石スーパーの比較的安価なモデルである。右上に大型のローラー型同調つまみを配置するデザインは後に「パナソニック・エイト」シリーズとしてシリーズ化され、さまざまなバリエーションを伴ってロングセラーとなった。1960年頃と比較すると、同クラスのセットに対して2-3割価格が低下していることがわかる。

(所蔵No.12107)

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ナショナル・パナソニック RF-3000N型 19石6バンドスーパー 1968年 49,000円

 

 

19-Trs. 10-Diodes, DC9V(UM-1 X6) / AC110/200/225/250V 50/60c/s,
FM: 76-108MHz, LW: 150-400kc, MW: 520-1610kc, SW1: 1.6-4.5Mc, SW2: 4.5-12Mc, SW3: 12-22Mc

150kcの長波から22Mcの短波までの5バンドAMと、ワールドワイド対応のFMバンドを備えた大型のマルチバンドラジオ。内臓のバーアンテナに加えて短波用の枠型アンテナとFM用のロッドアンテナを備える。6つの窓に分かれたダイヤルのデザインが特徴的だが、バンドスイッチで選んだ窓のみに赤い指針が移動して表示される凝った機構を持つ。背面には外部アンテナ端子とイヤホン端子の他に、高級ラジオらしくMPX出力や録音端子も備える。BFOなどのアマチュア無線に対応した機能はなく、放送受信をメインに据えたモデルである。

輸出用はRF-3000Aとなっていたが、電源コードの仕様以外、本体は同じである。輸出用もNATIONAL PANASONIC表記のものしか確認されていない。対米輸出されなかったのかもしれない。初期型のRF-3000はAC電源ユニットがオプション設定で、電池ケースのカバーの幅が短い。まったく同じデザインでFMのバンドを持たない廉価版のR-3000もあった。

(所蔵No.m12079) 山形県 今野様寄贈

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ナショナル・パナソニック RF-690型 "ワールド・ボーイ" 11石FM-AMスーパー 松下電器産業(株) 1967-68年 11,000円

  

11-Trs, 2-Diodes, DC4.5V (UM-2 X3)、BC:525-1605kc, FM: 76-90Mc

松下は、短波付2バンドのパナソニック8に対して、FM付の上位機種を"World Boy"と名付け、音楽に敏感な若者向け商品と位置づけた。このモデルから始まるワールド・ボーイは、バリエーションの追加とモデルチェンジを繰り返すごとに大型で多機能になっていく。このシリーズは、ラジカセが流行するようになる1970年代前半まで継続された。

(所蔵No.12110)

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ナショナル・パナソニック RF-850D型 "ワールド・ボーイ・カスタム" 1IC+10石FM付3バンドスーパー 松下電器産業(株) 1969年 14,500円

 

1 IC 10 Trs. DC4.5V (UM-2D X3) or AC100V, BC: 525-1605kHz, FM: 76-90MHz, SW: 3.9-12Mc

ワールド・ボーイシリーズのバリエーションの1つ。最初のワールド・ボーイに短波を追加し、AC100V で動作させることができる上位機種である。このシリーズは愛称に自動車のグレードを思わせる名前をつけているのが特徴で、この機種は"カスタム"を名乗っている。

この機種は1968年に発売されたRF-850型の改良モデルで、12石のトランジスターラジオにICを使用して10石としている。電源スイッチの前のパネルに「IC」のマークが追加されているのが銘板の表示とともに外観に現れる変化である。集積度の低い初期のICを使用しているため、部品点数の削減には大して寄与していないが、最新技術を採用した先進性のアピールにはなったと思われる。スライドボリュームを上面に配置したデザインに特徴がある。

(所蔵No.12197)

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ナショナル・パナソニック RF-750型 "ワールド・ボーイSS" 1IC+9石 FM-AMスーパー 松下電器産業(株) 1969年

 

1- IC 9 Trs. DC6V (UM-2 X4) or AC100V, BC: 525-1605kHz, FM: 76-90MHz

ワールド・ボーイシリーズのバリエーションの1つ。他社製品同様ICを取り入れている。このシリーズは愛称に自動車のグレードを思わせる名前をつけているのが特徴で、この機種は"SS"を名乗っている。他に"Custom"、"1000GX"、"GXO"、"2000GX"などがあった。"MFB 音響"は、”Motional Feed Back"のことで、当時松下が宣伝していた歪補正を目的としたオーディオ回路のことである。

(所蔵No.12164)

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ナショナル・パナソニック R-205D "パナソニック8D" 8石2バンドスーパー 松下電器産業(株) 1969年

  

8-Trs, DC6V (UM-3D X4) or AC100V 50/60Hz, BC: 525-1605kHz, SW: 3.9-12MHz

パナソニック8の中で、AC100Vを直接接続できるモデル。1968年のデビュー時にはシルバーのパネルで"kc"表示であったが、マイナーチェンジでブラックのパネル、"kHz"表示に変更された。AC電源を自蔵する分、横幅が広くなっている。

(所蔵No.12196)

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ナショナル R-012型 "ペッパー012" 薄型7石スーパー 松下電器産業(株) 1976-77年 7,800円

 

7-Trs. , 4.5cm P.D.SP. , DC3V (UM-4 X2), W71XH127XD12.7(mm), 130g (include batteries), BC: 525-1605kHz

1976年に松下が発売した「ペッパー」は、スピーカが鳴るラジオを厚さ12.7㎜(1/2インチ)の薄型に仕上げた斬新な製品として評判となった。当時、電卓の薄型化に伴って表面実装部品やフレキシブルプリント基板などが開発された。この機種は、この技術を投入して薄型のラジオを開発したものである。

電卓では使わなラジオ用部品を薄型にするのに苦労したという。従来のラジオと相当以上の音質を実現するために、特殊なフィルムを使ったスピーカが開発された他、厚さ7㎜のバリコンも開発されて薄いセットの開発に成功したものである。

宣伝には当時大人気だったピンクレディーを採用し、商品名も彼女らのヒット曲「ペッパー警部」から命名された。薄型ラジオ「ペッパー」は大ヒット商品となり、カラーバリエーションやFM付きなど、様々なモデルを追加していった。

このラジオがきっかけで後のカードラジオにつながる薄型の小型ラジオの流行が起こり、通勤用のラジオという新たなカテゴリーが生まれたのである。

(所蔵No.12188)

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NEC 日本電気(株)


NEC NT-6B型 6石スーパー 1957-58年 12,500円



Trs: ST16B ST-16A ST-16A ST-3G ST-12 ST-12 SD-46, DC6V(UM-2 X4)

NECのごく初期のトランジスターラジオの一つ。初期の自社製扁平型トランジスタを使用している。1号機はNT-6A型だが、基板とレイアウトは共通でキャビネットが異なるのみである。この機種は1号機と同じ年に発売されている。NT-6A型ではトランジスタ用ソケットを使用しているが、改良型のこの機種では直付けとなっている。わずかな間にトランジスタの性能が改善されたものと思われる。部品の小型化が十分に進んでいないために、6石スーパーにしては大型である。

この時代のプラスチックケースの例に漏れず、劣化によるひび割れや欠けが見られる。

(所蔵No.m12046) 戸井田コレクション

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NEC NT-7P型 7石スーパー 1957-59年

 

Trs: ST16B ST-16A ST-16A ST-3B ST-3B ST-3B ST-3B SD-46, DC9V(UM-3 X6)

NECのごく初期のトランジスターラジオの一つ。1号機と同じ年に発売されているが、こちらは改良型である。使用部品はほとんど同じだが、1石増えたにもかかわらず、実装密度を上げることで6石のモデルより大幅に小型化している。プリント基板の設計技術も短期間に進んだことがわかる。電源電圧を9Vに上げて小型の単三乾電池を採用したのも小型化に寄与している。

(所蔵No.m12047) 戸井田コレクション

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NEC NT-79A型 7石2バンドスーパー 日本電気(株) 1959年頃 

  

7-Trs, DC6V (UM-3X4 or Eveready #915 or #VS 034 or equiv), BC: 535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

NECの小型2バンドトランジスターラジオ。標準的な短波帯を備える。配置図では初期の扁平型トランジスタの絵になっている。この機種では円筒型のJIS C7012 1959 に基づく品番(EIAJ品番)のトランジスタに変更されている。基本設計が古く、年代の割に外観を含め各部のデザインは古い。

(所蔵No.12220)

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NEC NT-6M11型 6石スーパー 日本電気(株) 1960年頃

  

6-Tr, Battries: DC9V(JIS BL-006P, Eveready #216, Ray-O-Vac 1604 or equiv

NECのポケットサイズのラジオ。ケース側面と背面にビニールの人工皮革が貼られている。

本機は、バーアンテナの破損、電池の液漏れによる腐食が見られる。

(所蔵No.12087)

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Columbia: 日本コロムビア(株)


コロムビア T-48型 8石2バンドスーパー 日本コロムビア(株) 1963年頃 7,900円

  

Trs. : 2SA92 2SA93 2SA49 2SA53 2SB54 2SB54 2SB56 2SB56 (Toshiba), DC4.5V (UM-3 X3), BC: 535-1605kc, SW: 3.8-10Mc

コロムビアの8石2バンド。サイズや機能はごく一般的なものである。エアバリコンを使用し、短波が3.8-10Mcであることなど、設計の古さを感じさせる。

(所蔵No.12165)

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コロムビア T-37型 "NSB Super 8" 8石NSB専用スーパー  日本コロムビア(株) 1967年頃 

 

8-Trs. DC6V (UM-3 X4),
NSB1(1プロ): 1プロ:3.925(JOZ)/6.055(JOZ2)/9.595Mc(JOZ3)、2プロ:3.945(JOZ4札幌/JOZ5)/7.230Mc(JOZ6)/9.760MC(JOZ7)

日本短波放送(NSB)専用に作られた短波のみの小型ラジオ。NSBクリスタを内蔵し、同調を容易にしている。1968年に追加されたJOZ7(9.760Mc)が含まれていることから、この前後の製品と考えられる。ダイヤルは一応標準的な短波のバンドのようだが、目盛りはNSBの電波の周辺しか表示されていない。

NSBクリスタを内蔵し、NSBの受信に特化したラジオは各社から発売されたが、多くは中波や標準バンドの短波帯の他にNSB専用受信ポジションを備えるものだった。この機種のように短波しか受信できないモデルは珍しい。メーカ不明の専用ラジオとデザインや機能が似ているため、NSB側で標準仕様が作られたものではないかと思われる。

(所蔵No.12169)

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コロムビア TFC-12型 "11FM"  12石FM付3バンドスーパー 日本コロムビア(株) 1968年頃

 

12 Trs. , DC4.5V (UM-2 X3), BC: 525-1605kHz, SW: 3.8-10MHz, FM: 76-90MHz

コロムビアのFM付3バンドラジオ。明らかにソニーのソリッドステート11を意識した製品である。ソリッドステート11がロングセラーとなった頃の製品で、ダイヤルやスピーカグリルのデザインが良く似ている。また、本家と同じように12石の製品に"11"の名称を与えているが、ソニーの場合は改良で石が増えても名前を変えなかっただけなのに対し、こちらは人気商品にあやかっただけである。

(所蔵No.12139)

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Victor: 日本ビクター(株)


ビクター TH-2770型 8石2バンドスーパー 日本ビクター(株) 1958.9発売

 

8-Trs. : 2T73-2T73-2T76-2T65-1T51-2T85-2T85(SONY)
DC6V (UM-1 X4), BC: 535-1605kc, SW: 3.8-12Mc

ビクターの初期のトランジスターラジオ。ソニーのTR-72によく似た木製キャビネットを採用した据え置き兼用の高級機である。初期のトランジスターは高周波特性が悪かったために狭い短波帯を備えたものが多いが、この機種は3.8-12Mcの標準的なバンドを備えている。本機は製造番号3060番の初期型のため、ソニー製トランジスタを使用しているが、サービスマニュアルによれば、松下製トランジスタ(2SA103/MC103 2SA145/OC45 2SA145/OC45 0A70 2SB171/OC71 2SB171/OC71 2SB172/OC72 X2)を使用していることになっている。ソニーが先行する形でトランジスターラジオの量産が始まり、ソニーは各社にトランジスタを外販した。松下、ビクターはごく初期のみソニー製トランジスタを採用した。

(所蔵No.12217)

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ビクター 6TA-1型 6石2バンドスーパー 1958年 12,800円

 

Trs: 2T201 1T23 2T76 2T76 1T23 2T65 2T85 2T85 1T51 (SONY)
DC9V (BL-M106), BC: 535-1605kc, SW: 3.9-10Mc

ビクターの初期の小型ラジオ。1958年の年末に発売され、部品の密番から1959年製と思われる。松下製の部品を多く採用しているが、まだ旧品番のソニー製トランジスタを採用している。短波用の新型トランジスタ2T201を採用し、局発を自励発振とすることで6石2バンドを実現している。1955年にはNSB-3(9.595Mc)が開局し、真空管ラジオの短波は3.8-12Mcになっていたが、高周波特性が十分でなかったためか、少し狭い10Mcまでとなっている。

エアバリコンや両端にリードがあるコンデンサなど、プリント基板に向かない大型の部品が目立つ。小型化のためにビクターが開発した薄型の「ヨークレス・スピーカ」を採用した。このスピーカはその後使われていないようである。スピーカを薄型にしても基板にマグネットをクリアするための穴があることに変わりはなく、この機種では穴の上にケミコンを配置しているが、部品の小型化が進むことで、特殊なスピーカは不要となったのだろう。

電池は006Pと同サイズだが、ケースの両端に端子があるBL-M106が採用された。ラベルの表記などから、まだ輸出を考慮していない国内向けの製品であることがわかる。
デザインやサイズは、60年代の一般的なトランジスターラジオの形を先取りしているといえる。

(所蔵No. m12069) 千葉県、高橋様寄贈

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ビクター 8TA-6型 8石2バンドスーパー 日本ビクター(株) 1963年頃

 

8-Trs. , DC6V (UM-3 X4), BC: 535-1605kc, SW: 3.9-10Mc

ビクターの標準的な8石2バンドスーパー。皮ケースにも金属のグリルやマークをつけるなど、皮ケースをつけたときのデザインにも配慮している。海外ではビクターのブランドが使えないため、Nivicoブランドで8TA-6E型が輸出された。後に輸出用ブランドはJVCとなった。

(所蔵No.12141)

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ビクター F-720型 12石FM-AMスーパー 日本ビクター(株) 1967年頃

12-Trs. AC100V / DC4.5V (UM-2 X3)

ビクターのAC/DC兼用FM-AMポータブルラジオ。ソニーのソリッドステート11に影響された典型的なスタイルである。ビクターは、当時ゲルマニュームトランジスタに代わって使われ始めたシリコントランジスタを採用し、「シリコン・サーキット」と称した。

(所蔵No.12155)

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ビクター IC-1000型 2IC-2Tr超小型ラジオ 1968年頃

 

 

2-IC + 2-Tr, DC1.22V X3, Rechargeable

ICを使用した超小型ラジオだが、スピーカを鳴らすことができる。ニッカド充電池を内蔵し、専用充電器に収納した状態で充電する。ソニーのICR-100によく似た製品だが、ソニーがモノリシック型ICを採用したのに対し、こちらはハイブリッドICのようである。ICR-100は有名だが、この機種の情報はほとんどない。

本機の電池は取り外されている。

(所蔵No.S12052)  (柴山 勉コレクション)

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(株)日立製作所


日立 TH-666型 6石スーパー  (株)日立製作所 1958-59年 9,800円

 

Trs: 2N219 2N218 2N218 1N34A 2N215 2N217 2N217(Hitachi), DC9V (BL-006P / Eveready 216), BC: 535-1605kc

日立の初期のトランジスターラジオ。海外で人気が出ていたポケット型で1万円を切る比較的低価格の製品だった。半年ほどの短い生産期間だったが、トランジスタが初期の扁平型から円筒型に切り替わる過渡期だったために、使用部品のバリエーションが数種類ある。紹介したものは後期の製品で、円筒型のトランジスタが採用されている。1950年代はトランジスタの品番付与方法が統一される前なので、各社独自の品番が採用されていたが、この製品では対米輸出を考慮して独自の"HJ-"品番からアメリカ式の品番に変更している。

(所蔵No.12211)

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日立 "PEGGY" WH-817型 8石3バンドスーパー (株)日立製作所 1961年

 

Tr: 2SA130 2SA131 2SA132 2- 2SA12 2SB75 2- 2SB156 2- 1N34A HV-16, DC4.5V (JIS UM-2 X3)

日立の3バンドポータブル。トランジスタラジオの中では大型の高級機である。中波のほか、3.8-10Mc、10-18Mcの2つの短波帯を受信でき、日本短波から海外放送までカバーできるようになっている。レバー式のバンドスイッチと、電池残量計兼用のチューニングメータは、この頃の高級オールウェーブトランジスタラジオに良く見られるアイテムである。日立は、このメータを”ラジケータ”と呼んだ。真空管ラジオのマジックアイに相当する機能として設けられたものである。ラジケータは、1970年代以降、テープレコーダに多く装備され、一般名詞となった。

(所蔵No.12093)

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日立 "BETTY" WH-730型 7石2バンドスーパー (株)日立製作所 1961年

 

7-Trs.: 2SA132 2SA131 2SA12 2SA12 2SB75 2SB77 X2 1N34A X2
DC4.5V (JIS UM-3 or Eveready No.1015)

日立の小型2バンドトランジスタラジオ。幅17cm程度はある8石の標準的なセットより一回り小型になっている。本体にロッドアンテナを収容する高さがないため、アンテナは使用するときにねじ込む方式である。使わないとき、アンテナは皮ケースのポケットに収納する。7石2バンドの小型のセットは、1960年前後に各社から発売されたが、性能が十分でないためか、ポケットラジオにもならないこのようなサイズのセットは作られなくなっていく。

掲載誌:電波実験臨時増刊No.7 『最新オールトランジスタ回路集』 (電波実験社 1961年)

(所蔵No.12119)

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日立 WH-777型 "ハイフォニック・ジュニア" 7石2バンドスーパー (株)日立製作所 1964年 6,150円 

 

Trs: 2SA353 2SA12 2SA353 2SB77 2SB75 2SB77 2SB77, BC: 530-1605kc, SW: 3.8-12Mc, DC6V (UM-3 X4 or 4AA X1)

トランジスターラジオの同調を容易にするために、高級機ではWH-817型のようにメータを付けたが、コストがかかる割に見にくいという欠点があった。このため、検波出力を増幅して同調時にランプが明るく点灯する方式が考案され、「レーダー・チューニングと名付けられた。レーダー・チューニングは、1963年に8石のWH-888型に初めて搭載され、高級機のWH-999に続いて、低価格化したこの7石モデルにも搭載されて1963年末に発売された。

チューニング表示窓は、マジックアイを意識したのか緑色になっていて、プッシュボタンを押したときだけ点灯するようになっている。この方式では、ランプ点灯用にトランジスターを1個使用するため、ラジオそのものの回路としては、他社の1石少ないモデルに相当する。この形の発展型として、オートチューニングのラジオも発売されたが、高価な割には消費者に受け入れなかったと見えて、すぐにすたれてしまった。

(所蔵No.12194)  掲載誌:日立 1963.9, 1963.12, 1964.1

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スタンダード無線工業(株)


STANDARD SR-F408型 6石スーパー スタンダード無線工業(株) 1962年頃

 

6-Tr, DC3V (Size "AA"X2)

トランジスターラジオ、テープレコーダ専業メーカのスタンダード工業のポケットラジオ。同社は国内でも販売していたが、輸出がメインで、この製品の電池表記も日本の"UM-3"の表記はない。この機種は安価なベーシックモデルだが、基板には余分な穴がたくさんあり、上位機種と共通化していたものと思われる。

(所蔵No.12094)

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STANDARD SR-H437型 "Microinic Ruby" 8石スーパー スタンダード無線工業(株) 1963年

 

 

Trs.: 2SA339 2SA338 2SA338 1N60M 2SB261 2SD162 2SD162 2SD162 2SD162, DC2.6V (MN型水銀電池X2), BC: 540-1600kc

マイクロニック・ルビーの愛称で知られるスタンダードの超小型セット。50X50X23mmの小さな中に、8石スーパーが組み込まれ、スピーカをも内蔵している。当時の一般的なメタルCANのトランジスタより一回り小さな特注のパッケージの石が使われている。この他にも多くの特殊な小型部品が採用されている。出力トランスのスペースが無いため、出力段はパラプッシュのOTLである。

あまりにも小さすぎて性能、実用性の面ではそれほど高いとはいえない製品だが、メッキを多用した本体は精緻で美しく、宝石箱風の専用ケースに収められていた。実用品というより女性への気の利いたプレゼントというような用途で購入されたのではないだろうか。

掲載誌:『電波科学』1963年7月号

(所蔵No.12154)

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STANDARD SR-H740型 8石2バンドスーパー スタンダード無線工業(株) 1965年頃

 

8-Trs.(TEN) , DC6V (UM-3 X4),

スタンダードの標準的な8石2バンドスーパー。同社は輸出がメインであったが、国内でも販売していた。黒色のモデルも用意されていた。

(所蔵No.12140) (m12001:塩尻市、月田様寄贈)

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シャープ 早川電機工業(株)


シャープ BX-383型 8石2バンドスーパー 早川電機工業(株) 1962年頃

 

8-Trs. (日立), DC3V (UM-2 X2), BC: 535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

シャープの8石2バンド。電源電圧が3Vと低い分、単二乾電池を使用して補っている。短波受信の操作性改善のため、ファイン・チューニングが備わる。また、電池式のトランジスタラジオでありながらピックアップ端子が付いているのは珍しい。

(所蔵No.12166)

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シャープ BP-102 J型 6石ポケット型スーパー 早川電機工業(株)  1963年頃

Trs: 2SA354 2SA12 2SA12 1N34A 2SB77 2SB77 2SB77, DC3V (UM-3 X2), BC: 540-1650kc

シャープの初期のポケット型ラジオ。この時代、ポケットラジオを通勤時に使うような習慣は一般的ではなく、国内販売は少なかった。クロームメッキを多用し、黒のパンチングメタルと朱色の背面ケースを採用してスタイリッシュなデザインを実現している。型番末尾の"J"は、日本仕様を示すものと思われる。グリルのデザインが異なるモデルが存在する。

(所蔵No.12214)

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シャープ FV-5000型 "Multi Band Deluxe" 18石6バンドスーパー 早川電機工業(株) 1967-68年 34,800円

 

18-Trs. AC100V / DC12V (UM-1 X8),
LW: 150-370kc, MW: 530-1650kc,
SW1: 1.6-4.3Mc, SW2: 3.9-12Mc, SW3: 12-26.5Mc,
FM: 76-90Mc

長波から中波、3.9-26.5Mcまでの短波帯とFMを受信できる6バンドの高級受信機である。この手のラジオとしては、アメリカ、ゼニス社の「トランス・オーシャニック」が真空管時代からの長い歴史を誇り、定評があった。このシャープのラジオはデザイン、機能ともにトランス・オーシャニックのフォロワーといえるセットである。ここに示すセットは、日本仕様のものだが、ふたの裏の世界地図は大西洋を中心とした図になっており、正面のデザインもアメリカで流行した形である。主に欧米市場向けに作られた製品と思われる。

W30XH21XD12(cm)の大型のキャビネットに加えて、クロムメッキが施された部分はプラスチックの無電解メッキではなく、無垢の金属である。このため、電池がない状態で重量は5kgもあり、気軽に持ち運べるようなセットではない。

この頃、日本のトランジスタラジオ業界は、安価な普及品が香港や台湾の製品と競合するようになっていて、貿易摩擦回避のためにも高級品にシフトする必要があった。このため、同時期に松下、ソニーなどからも大型のマルチバンドラジオが発売された。シャープのこのシリーズは、1963年から輸出向けに発売されていたが、高度成長により高級ラジオの需要が国内でも出てきたと判断され、国内向け製品として発売された。

似たようなデザインのマルチバンドラジオはすぐに台湾や香港のメーカが生産するようになり、低価格化した。テレビや航空無線まで受信できるような無名メーカのマルチバンドラジオが1970年代まで数多く作られていた。これらのマルチバンドラジオは国際商品だが、いわゆるBCLラジオは日本独自の「ガラパゴス化」した商品であり、これらの製品との直接のつながりはない。

本機はキャビネットの傷みが激しい。バンドスイッチのツマミの飾りとロッドアンテナが失われている。

(所蔵No.12173)

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Sanyo / Channel Master 三洋電機(株)


サンヨー 8S-P3型 8石2バンドスーパー 三洋電機(株) 1959年 12,500円

 

8-Trs.(東芝、2Sナンバー) DC6V (4- UM-3 or BL-104) BC:535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

三洋の初期のトランジスタラジオのひとつ。トランジスタは東芝製で、型番が、現行のJIS品番となる前の"2S***"のものを使用している。スピーカのヨークが大きく、電池が単三4本と、積層乾電池BL-104(4AA)兼用となっているため、後の一般的なセットより厚みがある。このダイヤルが斜めに走るデザインは、ナショナルの真空管式ポータブルラジオに似たモチーフのセットがある。

(所蔵No.12159)

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CHANNEL MASTER MODEL 6506B 6石スーパー Channel Master Corp./ 三洋電機(株) 1960年頃 $22.95(1968)  

 

6-Trs. : 2SA202 2SA202 2SA203 2SB185 2SB187 2SB187(Sanyo), DC6V (4-UM-3 or Penlight Batt.), BC: 540-1600kc

三洋電機はトランジスタラジオのアメリカ進出に当たって、販売契約を、テレビアンテナのメーカであったチャンネルマスター社と結び、チャンネルマスターブランドで輸出を開始した。このモデルは、1958年に発売した6C-11型6石スーパー(9,600円)を同社向けに6506型としてOEM供給したもの。

初期の6506型は、旧品番の東芝製トランジスタを使用し、2S52 2S45 2S45 2S44 2S56 2S56という配列であった。6C-11型は、国内ではすぐにモデルチェンジされて廃番となったが、OEM向けとしては継続生産され、1960年代に入ってトランジスタを三洋電機の自社製に切り替え、細部を改良した6506Bにモデルチェンジされた。このモデルはその後1968年まで販売されたという。日本メーカのアメリカ進出の初期の形態を示す製品である。

(所蔵No.12189)

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CHANNEL MASTER MODEL 6515A "Super Fringe" 8石スーパー Channel Master Corp./ 三洋電機(株) 1963年頃 

 

Trs: 2SA220 2SA201 2SA202 2SA202 2SB185 2SB186 2SB187 2SB187 (Sanyo), DC6V (UM-2 X4, or equiv.)

三洋電機がアメリカのチャンネルマスター社向けにOEM供給した中型のトランジスターラジオである。幅22㎝ある大き目のモデルだが、アメリカらしく中波のみである。デザインは1950年代末にデザインされた初期モデルのものを踏襲していて、当時の日本製のセットに比べても古い印象がある。

初期モデルは6515と呼ばれ、1960年頃にデビューした。6515Aとの外観上の違いはスピーカのグリル程度である。日本製品の信用がいくらかよくなってきた頃の製品らしく、背面には " by Sanyo Electric Co., Ltd."の表記が入っている。日本の企業が自社ブランドでアメリカ市場に進出していく直前の製品である。

所蔵品のキャビネット底部には、ニューヨークのサービス会社のラベルが貼ってある。

(所蔵No.12204)

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サンヨー 6C-19B型 6石スーパー 三洋電機(株) 1962年 6,400円

 

6-Trs. , DC4.5V (UM-3 X3), BC:530-1605kc

三洋電機の小型トランジスターラジオ。当時の同社の製品の中では低価格のモデルである。ダイヤル機構や内部の構造がコストダウンのために簡略化されていることがわかる。

(所蔵No.m12007) 長野県松本市、手塚様寄贈

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サンヨー 8S-P25型 「カドニカ」 8石2バンドスーパー 三洋電機(株) 1963年 12,400円

 
  

オリジナルのカドニカ電池、外装スリーブは腐食により失われている

Transistors: 2SA222 2SA221 2SA322 2SA321 1S188 2SB188 2SB186 2SB22 2SB22 (Sanyo)
DC3.75V 三洋カドニカN-450AA X3(Ni-Cd) or equiv.

電源にニッカド二次電池「カドニカ」を初めて採用した8石ポータブルスーパー。単三乾電池と同一形状の二次電池は3本直列にしてスリーブに入れた状態で取り付けられている。AC100Vを背面のコネクタに接続して充電するようになっている。通常の単三乾電池も使用できるようになっている。この場合、AC100Vをつないでしまうと乾電池を充電してしまい、危険である。このセットには、腐食したオリジナルのカドニカ電池が入ったままになっている。

本体の傷みは電池端子を除いて少なく、二次電池がだめになった段階で乾電池に交換せずに、そのままお払い箱になったと思われる。三洋はラジオに続いてシェーバーなど、カドニカ電池を応用した機器を多数発売する。カドニカは、1960年代後半には電池が炎上する欠陥を起こしたりもしたが、同社の二次電池事業は粘り強く続けられ、現在の「エネループ」などの商品につながっているのである。

(所蔵No.12096)

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サンヨー 7C-38型 「アイビー・カドニカ」 7石スーパー 三洋電機(株) 1964年 4,980円

   

7 Tr, Batteries: DC2.5V (Sanyo Cadnica 450AA rechargable Ni-Cd cell X2 or JIS UM-3 X2)

三洋電機が1963年に開発したばかりのニッカド充電池「カドニカ」をポケットラジオに採用したモデル。専用充電器を接続するコネクタが背面に付く。電池は、単三乾電池と兼用できるようになっている。充電池が珍しかった時代なので、電池ケースには、「充電できますからなくさないでください」という注意書きがある。現在、三洋電機の重要な事業の柱のひとつになっている電池事業の初期の成果を利用した製品である。

(所蔵No.12088)

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サンヨー 9F-855型 「アイビー・カドニカ」 FM-AM9石スーパー 三洋電機(株) 1965年 11,000円

 

9 Trs. DC5V (4- Sanyo N-225AA Ni-Cd Recargeable batteries)

ニッカド充電池「カドニカ」を採用したFM-AMモデル。単三と直径が同じで長さが少し短い特殊なサイズの電池が使われている。電池ホルダは使われているが、乾電池を入れることはできない。乾電池を充電してしまうことの危険性に気づいたらしく、裏蓋はねじ止めされて簡単にはずせないようになっている。"IVY Cadnica"のバッジには、無限大(∞)のマークがあしらわれているが、これはいくらなんでも大げさだろう。

本機は、劣化して液漏れを起こした充電地が入ったままになっていた。電池がだめになって放棄されたのだろう。
また、パネル左上のダイヤルライトスイッチの枠が失われている。

(所蔵No.12111)

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サンヨー 7C-600型 「ソリッドステート・カドニカ」 7石スーパー 三洋電機(株) 1969年 5,900円 

   
  単三乾電池は大きさの比較のためのものである。

 7-Trs. DC3.6V (3- Sanyo N-225AA Ni-Cd Recargeable batteries) BC: 530-1605kc

三洋電機オリジナルのカドニカ充電池を採用したポケットラジオ。単三乾電池より短い特殊なサイズの電池を使用する。電池ホルダは使われているが、乾電池を入れることはできない。小型トランスを使用した充電用電源を内蔵し、直接AC100Vを接続して充電する。このためポケットラジオとしては厚みがあり、重さも重い。現代の多くの充電式機器に見られる充電表示ランプが設けられている。

(所蔵No.12156)

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Toshiba : 東京芝浦電気(株)


東芝 8TM-373S型 8石2バンドスーパー 東京芝浦電気(株) 1960年 13,000円

 

Trs: 2SA93/2S93A 2SA92/2S92A 2-2SA49 2-1N60/1S32 2-2SB54/2S54 2-2SB189/2S189,
DC4.5V (UM-2 X3), BC:540-1600kc, SW:3.9-12Mc

東芝の2バンド8石スーパー。LOCAL/DX切替が付いた高級機である。イヤホン端子の他にピックアップ端子があり、レコードプレーヤを接続できる。この時代のトランジスタラジオは裏蓋を開けて電池を交換するのが一般的だが、このモデルは側面にねじ式の蓋があり、電池を外から交換できるようになっている。トランジスタの型番が、初期の2S**から、現在でも使われているJIS方式に変わる時期の製品のため、技術資料には両方の型名が併記されている。

掲載誌:『東芝通信』(Vol.73) 1960年2月号

(所蔵No.12131)

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東芝 9L-950S型 9石3バンドスーパー 東京芝浦電気(株)  1962-63年 18,500円

 

9-Trs. ,  DC6V (UM-1 X4), BC: 540-1600kc, SW1: 1.6-4.5Mc, SW2: 4.5-12Mc

大型のオールウェーブトランジスタラジオ。中波と7通常の短波帯のほかに4.5Mc以下の低い短波のバンドを持つ。このバンドには、漁業、航空無線、アマチュア無線などが含まれる。当時の東芝のラインナップの中では、FM付きのモデルを除けば最高級のトランジスタラジオだったが、単なる高級機というだけでなく、漁業無線傍受などの業務用途も考慮した製品であった。

この頃、日本製トランジスタラジオの輸出に当たって、低価格の粗悪品の横行を防ぐために、高級機種の輸出が奨励された。この機種が輸出されたかどうかは不明だが、このような大型、多バンドのモデルは、北米市場などに大量に輸出された。

(所蔵No.m12012) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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東芝 東芝7P-77S "ヤングセブン" 7石2バンドスーパー 東京芝浦電気(株) 1963-65年 5,600円 

  

Trs: 2SA60 2SA49 2SA53 1N60 2SB54 2SB56 2SB56
DC6V (UM-3A X4), BC: 540-1600kc, SW: 3.8-12Mc

東芝が活動的な若者向けに発売したトランジスターラジオ。当時1万円近かった7石2バンドスーパーを5千円台の低価格で発売し、財布の軽い若者にも買いやすい商品とした。スピーカの形を強調した楕円グリルとシボが入った黒いケースとシルバーのモールの組み合わせはカメラを意識したものという。大型のローラーツマミを左右に配したデザインは他社のフォロワーを多く生み出した。

1963年は、いわゆる団塊の世代が10代後半となって、大学に進学しないものは社会人となったころである。60年代後半から、この世代を有望な市場として「ヤング」を名乗る商品やテレビ番組が増えてくるが、このラジオは、「ヤング」を商品名として使ったものとしては早い例といえる(18)。60年代後半から70年代に流行する「若者向け」商品のさきがけといえるだろう。

この機種は1965年まで形も価格も変えずに販売された。発売の翌年6石ポケットラジオのヤングシックスを追加したが、シリーズとして発展することはなかった。

(所蔵No.12193) 掲載誌:東芝通信Vol.115 (1963.8)

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東芝 6P-64型 オリンピック記念 6石スーパー 東京芝浦電気(株)  1964年 

  

 6-Trs. DC3V (UM-3 X2), BC: 535-1605kc

1964年の東京オリンピックを記念して発売されたラジオ。パネルのデザインが、オリンピックのシンボルマークになっている。本物のマークの場合は、日の丸と"TOKYO 1964" の文字の間に五輪のマークが入るが、ライセンスの関係か五輪のマークはない。このラジオのデザインが、オリンピック委員会の許可が与えられたものかどうかは未確認である。

回路は平凡な6石スーパーだが、2cmを切る薄型のケースが特徴である。その分、大きさは通常のポケットラジオより一回り大きく、シャツのポケットに入れるのは厳しい。薄型にするために、コンデンサを横向きにして基板に穴をあけて逃げるなど、苦心の跡がみられる。背面に立てて使うためのスタンドなどはなく、薄すぎて立てることはできず、ポケットに入れるには大きすぎるという、中途半端なサイズとなってしまった。

(所蔵No.12229)

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東芝 6P-66型 ”ヤングシックス”  6石スーパー 1964-65年 4,500円

  

6-Trs. DC3V (UM-3 X2), BC: 530-1600kc

東芝が活動的な若者向けに発売してヒットしたヤングセブンの廉価版として5千円を切る低価格で発売された機種。薄型で本の形をデザインしている。カタログには「ポケット版ブックラジオ」とある。文庫本のように持ち歩いてほしいという意味なのだろうか。ポケット型というには大きく、薄すぎて立てて使うには不安定である。底にイヤホン端子が付いているところを見ると、寝かせて使うのが正解かもしれない。

シボの入った外観とドラム式ダイヤル以外にヤングセブンとのデザインの共通性はない。シリーズのような名前を名乗っていながら全くばらばらの製品に見える。経営が迷走していた時代の東芝には、このように統一性に欠ける製品が多くみられる。

この機種は翌1965年になっても形も価格も変えずに販売された。10代後半となっていた団塊の世代をターゲットとした商品ではあったが、中卒の労働者が「金の卵」と言われた時代である。彼らがラジオを自分のお金で購入できるようになるには少し早かった。このこともあって早い時期に「ヤング」を名乗った画期的なラジオはシリーズとして発展することはなかった。

(所蔵No.m12043) (戸井田コレクション)

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東芝 8M-310型 "AM-Deluxe" 8石スーパー 東京芝浦電気(株) 1966年頃 7,800円

  

8-Trs. DC4.5V (UM-2 X3), BC:530-1650kc

東芝の中級セット。このサイズでAMのみというのは珍しい。クロームメッキを多用した正面パネルや木目印刷のケースなどで高級感を出している。NSBが聴けなくてもそれほど問題ないと判断したのだろうか。同時期の松下の製品は同価格で2バンドであることを考えると割高感がある。

(所蔵No.12132)

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東芝 8M-390S型 "GT-SW" 8石2バンドスーパー 東京芝浦電気(株) 1967年 8,500円

  

8-Trs. DC4.5V (UM-2 X3), BC:530-1650kc, SW:3.8-12Mc

東芝は1967年頃からトランジスターラジオを”GTシリーズ”と称した。"GT"は、音質の良さを強調したGold Tone の意味で、自動車のGTとは関係ない。このモデルはシリーズ中の中級モデルで短波付の2バンドである。デザインが共通でAMのみの下位機種 "GT-AM ,FM付の上位機種 "GT-FM" があった。

(所蔵No.12133)

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FUJI DENKI : 富士電機製造(株) 


INVICTA TRF-1200F型 12石FM-AMスーパー 富士電機製造(株) 1964年頃 (輸出用)

  

Trs: 2SA116 2SA117 2SA118 2SA188/2SA30 2SA108 2SA108 2SA108 3- 2SB60/2SB32 2- 2SB60A/2SB33
DC6V (Size "C" X4), BC: 540-1600kc, FM: 88-108Mc

富士電機が製造した輸出向けトランジスターラジオ。メーカー名は表示されていないが、裏蓋に富士電機のマークが刻印されている。スペイン、バルセロナにInvicta Radio というメーカがあったことが確認されているが、このセットがこのスペインのメーカのOEMかどうかははっきりしない。1960年代に入ると、FM付などの高級型ラジオの輸出が奨励されるようになった。このセットもその一環として輸出されたものと思われる。

(所蔵No.12210)

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FUJI DENKI TRS-761型 7石2バンドスーパー 富士電機製造(株) 1965年 9,400円 

  

7-Trs. (TEN), DC6V (UM-3 X4), BC/SW

戦前から扇風機などの家電製品を製造していた重電機器メーカの富士電機製造は、1960年代には本格的な総合家電メーカを目指して多様な製品をラインナップしていた。これはそのひとつのトランジスターラジオである。7石2バンドのごく平凡な製品である。基板のレイアウトや配線の引き回しが雑然としている。キャビネットも凝ったデザインではあるが強度面などで疑問点がある。お世辞にも設計のレベルが高いとはいえない製品である。

この製品が販売された翌年の1966年に同社は家電部門を富士電機家電(株)に移管した。1960年代以降の富士電機の家電製品は、歴史あるモータ関連製品などに優れた製品が存在したが販売面では振るわず、1970年代に撤退した。同社は1984年に富士電機(株)に社名変更し、本来の重電、制御機器専業メーカとなった。

(所蔵No.12145)

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三菱電機(株)


三菱 7X-245型 7石2バンドスーパー 三菱電機(株) 1963年 9,500円

 

 Trs: 2SA148 2SA147 2SA148 2SA141 2SB135 2SB77 X2, DC6V (UM-3A X4)

三菱電機のトランジスタラジオの中では比較的低価格帯に属する2バンドポータブル。三菱の製品は松下などに比べると割高感がある。安価な6石と、高い性能が取れる8石の製品が主流となっていた時代にあって、60年ころによく見られた7石構成である。また、デザインの面でも古さを隠せない製品である。

本機は背が低いためロッドアンテナを収納できない。このためアンテナは使用時に本体にねじ込むタイプで、使わないときは皮ケースに収納される古い形式である。皮ケースおよびアンテナは失われてる。右側には電池ホルダが入るが失われている。また、イヤホンジャックが取外され、直付けされている。

(所蔵No.12108)

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三菱 7X-560型 7石2バンドスーパー 三菱電機(株) 1964年頃

  

7-Trs.(Mitsubishi) DC6V (UM-3A X4), BC:535-1605kc, SW: 3.9-12Mc

三菱の中級2バンドポータブル。他社では8石の製品が増えるのに対して同社は7石にこだわりがあったようである。生産規模の関係でコストダウンが十分でなかったのかもしれない。トランジスタは自社製である。パネルに三菱の英語表記である"Three Diamonds"の文字があるのが珍しい。ロッドアンテナは皮ケースに収納され、使うときに差し込む古いタイプである。

(所蔵No.12144)

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三菱 7X-800型 7石スーパー 1964年頃

 

7-Trs. DC3V (UM-3A or AA X2), BC: 525-1605kc

フランスのピエール・カルダンがデザインしたコンパクト型のラジオ。ピエール・カルダンは早い時期に日本に本格的に進出したフランスのファッションブランドである。自動車などで、自社のデザイン力が低い企業がイタリアのデザイナーに依頼する例は多いが、電機メーカーがフランスのデザイナーと組んだ例は珍しい。

電池交換はケースを2つに割って行う。フランスのファッションブランドと日本の電機メーカとのコラボの例は珍しい。写真のように赤のカラーバリエーションが確認されている。三菱電機とピエール・カルダンとのコラボはこの1作で終わったようである。このデザインは海外に売却されたようで、よく似た香港製のものが存在する。

(所蔵No.12293/12298)

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三菱 8X-534型 8石2バンドスーパー 三菱電機(株) 1970年 

 

8-Tr. DC6V (4 Penlite "AA" Cells or UM-3A)

三菱電機の標準的な8石2バンドスーパー。トランジスタラジオのデザインは、1962年頃までは、アイボリーやパステルカラーのキャビネットにゴールドやシルバーのグリルやモールを組み合わせ、茶の皮ケースというスタイルが主流だったが、徐々に黒っぽい色調に変化していった。この機種はその過渡期にあたり、ダークグレーのキャビネットに光り物はなく、代わりに大型のツマミがクロムメッキされている。この機種は、1970年のカタログに掲載されているが、周波数表示が「サイクル」のままであることも含め、なんとも古くさいデザインである。

(所蔵No.12092)

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三菱 FX-620型 9石FM付3バンドスーパー 三菱電機(株) 1966年頃

 

9-Trs. DC6V (4 Penlite "AA" Cells or UM-3A)

三菱のFM付3バンドラジオ。トランジスタラジオの中では比較的高級な部類に入る。1960年代後半に入り、アルミと黒いプラスチックでまとめられた精悍なデザインが流行してきたが、このセットの場合、正面パネルのロゴに、旧来の装飾的な書体が使われていて、ソニー製品に見られるようなシャープさに欠ける。使いやすい横型の大型ツマミもこの時代の流行のひとつである。 

(所蔵No.12103)

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八欧電機(株) / (株)ゼネラル


ゼネラル C-59型 HiFi X 8石2バンドスーパー (株)ゼネラル 1966年頃(1964年発売) 8,900円

  

DC6V: UM-3 or size "AA" X4, BC:530-1600kc, SW: 3.3-12Mc

1964年に発売された8石2バンドスーパーである。この年のゼネラルトランジスタラジオは”HiFi X”シリーズと称していた。ラジオメーカから総合電機メーカーに発展していた八欧電機は1966年に社名を(株)ゼネラルに変更した。この製品は1964年に発売されているが、製品の表示がGeneral Corp.になっている。社名変更した直後のものと思われる。

(所蔵No.12100)

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Crown : 旭無線電機(株)/クラウン(株)


Crown TR-860型 ”フラッシュ8” 懐中電灯付8石スーパー クラウン(株) 1966-67年 4,800円

 

8-Trs. DC3V (UM-3 X2), BC:535-1605kc

懐中電灯を組み込んだ小型の中波専用8石スーパー。ラジオと懐中電灯は独立して操作できる。クラウンは輸出メインのメーカだったが、国内でも販売された。

(所蔵No.12215)

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Kobe Kogyo Corp.:神戸工業(株)


Kobe Kogyo KT-80型 小型8石スーパー 神戸工業(株) 1960年

 

8-Trs. DC3V (UM-3 X2), BC:535-1605kc

神戸工業は早い段階からトランジスタの開発に取り組み、自社生産に成功していた。これは、神戸工業製トランジスタを使った自社ブランドのラジオである。W114XH79XD29(mm)と、8石としては小さく、薄型にまとめられている。小さなセットだが、横型でゴールドを多用したデザインは高級感を感じられる仕上げである。内部の部品には、"TEN"のマークがあるが、ブランドは"Kobe Kogyo"である。また、ブランドが"PLAY-RITE"となっている輸出用のモデルも存在した。

同社はその後、カーラジオに生産を集中し、家庭用ラジオからは撤退する。1968年に富士通(株)と合併し、富士通(株)神戸工業部となったが、ここからラジオ部門が独立し、1972年に富士通テン(株)が設立された。2017年に資本構成の変更を受けて社名を(株)デンソーテンに変更した。

(所蔵No.12170)

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その他のメーカ


CONION CR-85型 8石2バンドスーパー コニー音響(株) 1967年? 輸出用

 

Transstors: 2SA221 2SA221 2SA203A 2SA203B 2SB186 2SB185 2SB187 2SB187 (Sanyo), DC6V (UM-3 or Size "AA" or Equiv.)

輸出用の8石2バンドスーパー、メーカのコニー音響は、本来TOY RADIO のメーカであったが、通産省の行政指導や、TOY RADIOの極端な値崩れによる採算悪化によって1960年代後半には高級機種へ転換していた。

「コニー」のスペルは"Coney"である。また、商標は"CONION"であり、"SONY"の類似商標とみなされるのを避けたものと思われる。他社の8石2バンドのセットより多少横幅が広い分、基板上の部品配置がゆったりした配置となっている。また、防湿処理用のワックスが各部にかけられているところなど、輸出時の環境に配慮しているものと思われる。製造年は、電解コンデンサの密番から判断したが、デザインなどの面で多少疑問も残る。

(所蔵No.12149)

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SPICA model ST-600 6石スーパー 三立電機(株) 1958年 輸出用

  

6-Trs. (東芝、初期型2S-**)、DC6V (Eveready 915 or equiv 4個)

通信機部品のメーカだった三立電機は1955年からトランジスタラジオの開発に取り組み、輸出用として完成させたモデル。多くの日本製輸出用モデルの例に漏れず、メーカの名前はどこにもない。表記はすべて英語で、アメリカ製電池の品番しか示されていない。ただし、SPICAは現地商社などのブランドではなく、三立電機のブランドである。

1958年の日付が捺印されているこの初期モデルには、東芝のゲルマニュームトランジスタが使われている。1957年の初期モデルにはソニーのトランジスタが使われ、2T-51 2T-52 2T-52 2T-64 2T63 X2 という構成だった。

このモデルは、使用部品やデザインの細部を修正しながら長期間製造され、1964年末には単一モデルで100万台の輸出を達成したという(サンリッツ沿革より)。メーカの三立電機は、1960年代初めには"ARTEMIS"というブランドでラジオを製造していた。その後1963年に開発に成功した偏光板が液晶用として、本来の通信機器を超える大きな事業に成長した。1989年には社名を(株)サンリッツに変更している。もちろん、現在ラジオは生産していない。

(所蔵No.12091)

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KOYO KR-6TS2型 6石スーパー 光洋電子工業(株) 1959年 

 

Trs: ST-37D ST-28B ST-28B SD-46 ST-301 ST-121 ST-121(NEC), DC6V (UM-3 X4)

ポータブルラジオ専業メーカーが主に輸出用に製造した6石スーパー。ソニーTR-610と並んで1958年度のグッドデザイン賞を受賞した(受賞番号10015)。エアバリコンや、旧式の扁平型トランジスタを採用している点など、内部の設計には古さが目立つ。しかし、トランジスタについては、メーカー各社の量産が立ち上がったばかりで、中小メーカには十分供給されなかったという事情もあった。光洋電子工業(株)は、その後1960年代から工業用電子機器に事業の軸足を移し、現在でも盛業中である。

(所蔵No.12192)

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KOWA Ramera KTC-62型 カメラ付き6石スーパー 興和(株) 電機光学事業部 1959年 12,800円



 
 シャッターボタン、フィルム巻き上げレバー、三脚用ネジが下部にある。側面には露出とシャッタースピードのツマミ

Radio: 6-Trs. DC9V (006P), BC: 535-1605kc,
Camera: Preminar F3.5 23mm, 固定焦点、16mmフィルム(ミノルタ16用マガジン使用)

コルゲンコーワなどの医薬品で知られる興和(株)の光学機器部門が製造したカメラとラジオの複合商品。6石スーパーの片隅に小型のカメラが同居している形態である。カメラは超小型カメラミノルタ16のマガジンに映画用の16mmフィルムを詰めて使う特殊なものである。

側面にシャッタースピードと露出調節ツマミがある。開放(B) と1/100の他、1/50(L)と1/200(H)が選択できる。固定焦点なのでピント合わせは不要である。裏蓋にはフィルムカウンターと小さなファインダー接眼レンズがある。この青色の他に赤、黒、白などのカラーバリエーションがあった。裏蓋は基本は白であるが、白色のみ赤となる。また、輸出用にBELL kamraとなっているものも確認されている。

表示された文字が読める向きにするとシャッターボタンとファインダーが右下側に来る。この状態でのカメラの操作は非常に不自然である。さかさまにして左手、左目を使ったほうが良いように思える。まだ110のマガジンフィルムは存在しなかったために、マガジン化が先行していた小型映画のものを流用しているが、フィルムをマガジンに詰める作業は暗室またはダークバッグがないとできないため、それほど使いやすい商品ではない。

(所蔵No.m12050) 戸井田コレクション

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Nanaola Model 8KS-214 8石2バンドスーパー 七欧通信機(株) 1961年頃

 

8-Tr. DC6V (Size "C" X4)

戦前からのラジオメーカー、ナナオラの輸出用トランジスタラジオ。ロゴマークは真空管時代と変わっていない。安価な輸出用ラジオに良く見られる、ボール紙のケースにビニールクロスを直接貼った構造である。日本では湿気を考慮してか、このような構造のものは少なく、プラスチックキャビネットに皮ケースをかぶせるものが多かった。多くの日本製輸出用トランジスタラジオの例に漏れず、メーカ名が記載されていない。当時すでに親会社となっていた東芝の部品を多く使用している。同社はその後、東芝に吸収される形で消滅した。

本機は、未使用と思われる。ロッドアンテナ先端が破損し、ストラップがなくなっている。

(所蔵No.12099)

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NSB Receiver 8 NSB専用8石短波ラジオ (株)日本短波放送 1964年頃

 

 8-Trs, DC4.5V (JIS UM-3 X3), 1プロ:3.925(JOZ)/6.055(JOZ2)/9.595Mc(JOZ3)、2プロ:3.945(JOZ4札幌/JOZ5)/7.230Mc(JOZ6)

日本短波放送専用に作られた短波のみの小型ラジオ。NSBクリスタを内蔵し、同調を容易にしている。1963年に開始された第二放送の周波数が設定され、1968年に追加されたJOZ7(9.760Mc)がないことから、この間の製品と考えられる。ダイヤルは一応標準的な短波のバンドのようだが、目盛りはNSBの電波の周辺しか表示されていない。

NSBクリスタを内蔵し、NSBの受信に特化したラジオは各社から発売されたが、多くは中波や標準バンドの短波帯の他にNSB専用受信ポジションを備えるものだった。この機種のように短波しか受信できないモデルは珍しい。コロムビアT-37型とデザインや機能が似ているため、NSB側で標準仕様が作られたものではないかと思われる。ロッドアンテナは皮ケースに内蔵され、使用するときにねじ込むタイプである。

(所蔵No.12135)

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Realtone 1166 6石スーパー Realtone Electronics Co., 1965年頃 輸出用、台湾製

 

6-Trs., DC9V (NEDA 1604他, 006P相当)

Realtoneは、アメリカでは良く知られた日本製トランジスタラジオのブランドである。日本国内には出回らなかったためにほとんど知られていないだけでなく、この頃の輸出用トランジスタラジオの例に漏れず、メーカ名の記載がないため、製造元の詳細はよくわかっていない。

1960年代後半の製品と思われるこの機種はすでに日本製ではなく、台湾製である。高度成長で人件費が上がってきた日本ではこのような安価なラジオを輸出することの旨味はなくなり、現地に進出を果たしていた日本メーカの部品と、アメリカ系メーカのトランジスタを使用して香港や台湾で組み立てた製品をアメリカに輸出するようになった。

(所蔵No.12115)

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Realtone 2930 "Intercontinental" 14石10バンドスーパー Realtone Electronics Co., 1967年頃 輸出用

 

Trs: 2SC784 2SC839 X3 2SC394 2SC89 2SC899 2SC899 2SC183Q 2SB175A 2SB172 X2 2SB324 X2
AC117V 60c.sDC9V, BC: 540-1600kc, FM: 88-108Mc, MB: 1.6-4.7Mc, SW: 49M, 41M, 31M, 25M, 19M, 16M, 13M,(5.95-22Mc)

俗に「マルチバンドラジオと呼ばれる高機能のオールウェーブラジオである。この手のラジオとしては、ゼニス社の「トランスオーシャニック」が、真空管時代から有名である。日本製トランジスタラジオの高級品へのシフトが図られたときに、多くのメーカが、トランスオーシャニック風の多バンドの大型ポータブルラジオを発売した。輸出用ラジオでは有名ブランドのリアルトーンの製品もそのひとつである。

チップボードにクロスを張ったキャビネットは当時の輸出用ラジオに良く見られるものだが、大型で金属のモールを多用したキャビネットは重く、気軽に持ち運んで使うようなものではない。マルチバンドラジオは、その後航空無線やポリスバンドなども受信できるような多機能なラジオに発展していった。香港製や台湾製のモデルは安価で、日本国内でも通信販売などのルートで販売されていた。BCLラジオとは違ったジャンルの短波ラジオである。

本機には、ダイヤル部に跳ね上げ式のカバーがあったが、失われている。
また、右側ロッドアンテナの先端および、ハンドル部の飾りが失われている。

(所蔵No.12183)

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RALEIGH model FT-666 6石ポケット型スーパー Yashima Electric Ind. Co., Ltd. 1962年頃 対米輸出用 日本製

   

6-Trs. (松下)、DC9V (Eveready #216 or equiv.)

RALEIGHは、日本では無名だが、アメリカでは良く知られたブランドである。日立製のラジオと似た型番を付けているが、日立製ではない。トランジスタは松下製である。このセットにはメーカ名の表記がないが、同ブランドの他機種に、Yashima Electric Ind. Co., Ltd. の表記があるものが確認されている。https://www.radiomuseum.org/r/raleigh_8_transistor_2.htmlYashimaは、大阪にあったメーカで、主にCaptainというブランドを使用していた。後の製品ではRaleigh Electronics Corp. 名義の機種があるが、この中には韓国製のものもある。

本機は、パネルのバッジが失われている。

(所蔵No.12136)

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Tokai FM-902 / MFA-9型 9石FM-AMスーパー ミノルフォン 1965年頃 

 

 
ケースの銘板(左)と、内部のラベル(右)

9-Trs. , DC9V (006P), BC:535-1605kc, FM: 76-90Mc

国内用のFM-AMラジオ。ただしベースとなっているのは輸出用のセットである。このセットの正体は不明である。ケースと、内部に違う型番が記載されてる。ラベルには「ミノルフォン」の表記があり、これが消されている。「ミノルフォン」は、遠藤実が初代社長となったレコード会社のレーベル名である。"Tokai"のブランドとの関係も不明である。

(所蔵No.12143)

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UNIVERSAL model 6YR-65 6石ポケット型スーパー メーカ不明 1962年頃 日本製

  

6-Trs.、DC9V (Eveready 216, Burgess 2U6, JIS BL-006P)

アメリカ向け輸出用に作られた小型ポケットラジオ。メーカ名の記載はなく、詳細は不明である。

(所蔵No.12113)

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外国製/外国ブランドポータブルタイプ


Arvin model 60R49 7石スーパー Arvin Industries, Inc. (U.S.A.) 1960年 米国製

 

Trs. 2N194 2N233 2N233 2N1101 2N1101 2N1101 2N1101
DC6V (Size "AA" Penlight Cells or RM-502 or ZM-9 Mercury Cells, BC:540-1670kc

アメリカで戦前から小型ラジオを手がけていたアービンのトランジスタラジオ。フロントパネルをはずして電池交換や修理を行うようになっているが、これはアメリカでは良く見られる形である。同時代の日本製品と比べると部品が大型で、その実装密度もかなり低い。このセットは純粋のアメリカ製品だが、この後日本製ラジオがアメリカ市場を席巻していくのである。バリエーションとして白色の60R47型も存在した。

(所蔵No.12112)

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Bendix SHIPMATE 1 8石2バンドスーパー Bendix Aviation Corp. 1959年頃 日本製

 

ミサイルなどで知られるアメリカの兵器メーカ、ベンディックス社のトランジスタラジオ。中波のほかに1.8-4.2Mcのマリンバンドなどで使われる低い短波帯が受信できる。SHIPMATEの名前のとおり、ボートやヨットなどで使うことを想定した製品かもしれない。初期のトランジスタラジオらしく、まだエアバリコンが使われている。本機は、日本メーカのOEMである。

(所蔵No.12083)

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BUSH model ETR 82  3バンド1球5石ポータブルスーパー 1959年頃 Bush Radio Ltd. (U.K.)

 

TUBES: DK-96, Transistors: OC-45 OC-45 OC-71 OC-78D OC-78D,
BAND: MW: 550-1500kc, SW2: 3.25-9Mc, SW1: 9.25-18Mc
BATTERIES: A: Eveready type LPU2(1.5V) X6, B: LPU2 X1

最初期のものではないが、イギリスを代表する初期のトランジスタラジオ。一般的なモデルは中波/長波のオールトランジスタのTR-82Bだが、これは長波の代わりに短波を受信できるようにしたモデル。トランジスタの高周波特性が不十分だったので、周波数変換段に真空管が使われている。このため真空管用のB電池が必要となる。また、トランジスターラジオ用と別にフィラメント用の電池が搭載されている。

プリント基板ではなく、真空管用の部品とシャーシが使われ、サイズはポータブルとしては大きいが、堅牢で音質は良い。このような真空管とトランジスタのハイブリッド方式は、やはりイギリス製のHMV model 1410 (1957)などもあるが、ポータブルラジオとしては、B電池が要るという真空管の欠点が持ち込まれることから実例は少なく、カーラジオの一部に見られるだけである。

(所蔵No.11504)

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G.E. model P-805A 5石スーパー General Electric Co.(U.S.A.) 1959年頃 米国製

5 Trs. , BC: 540-1600kc, DC9V (Eveready #266 or Vergess #M6 or Mallory #M1605 or equiv.),

G.E. が発売した初期のトランジスターラジオ。自社製の扁平型トランジスタを採用。バリコンはエアバリコンである。ソニーの1号機、TR-55と同じく5石である。1960年頃まで製造されたようだが、実装密度が低く、大柄である。白色のほかに青色のバリエーションがあるが、アメリカの命名法によくあるように、色ごとに型番が異なり、青色はP-806Aである。

この製品の末期である1960年頃には緻密で小型の日本製トランジスターラジオがアメリカに大量に輸出され、コストで太刀打できなくなったアメリカの大手各社は、日本製のOEM製品で自社の需要を満たしていくのである。

(所蔵No.12114)

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G.E. model P-911C  6石ポケット型スーパー General Electric Co.(U.S.A.) 1963年頃

 

6-Trs. DC3V (2-Size "AA" carbon cell or Mercury Cell)

G.E. のポケットラジオ、ハイインピーダンスのスピーカを使うことでOTLとしている。ミツミ製バリコンなど日本製の部品が使われているが、このセットは米国製と思われる。日本では一般的ではないが、単三乾電池と互換性のある水銀電池も使用可能となっている。

(所蔵No.12114)

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Motorola model unknown 6石ポケット型スーパー Motorola Inc. (U.S.A.) 1961年頃 日本製

 

6-Trs. (日本製、モトローラマーク付)、DC9V (006P相当品)

モトローラのポケットラジオであるが、日本製である。部品に捺印されている"NNOI"がメーカの略称かもしれない。中身は紛れもない日本製だが、デザインはクロームメッキを多用したアメリカ的なもので、外観のデザインはモトローラ側で行われたと思われる。

(所蔵No.12122)

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Philco model No. NT-602BK Philco-Ford (U.S.A.)  1964年頃 日本製

  

6-Trs. DC9V (Philco P1604, Eveready 216)

アメリカのラジオ大手、フィルコのポケットラジオだが日本製である。なお、社名のPhilco-Fordは、この製品がフィルコ社が自動車大手のフォードに買収された1961年以降の製品と推定しての表記である。

(所蔵No.12121)

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RCA Victor model 1-RH-13 6石ポケット型スーパー Radio Corporation of America RCA Victor Home Instruments Division (U.S.A.) 1959-61米国製

  

6-Trs. DC4V (RCA VS149), BC: 540-1600kc

RCAのポケットラジオ、アメリカ製である。バリコンは精密な超小型エアバリコンが使われている。樹脂部品の仕上げや精度もよく、アメリカの技術の底力を感じる製品であるが、同時代の日本製品と比較すれば、品質面では同レベルといえる。人件費や為替レートによる競争力の低下は厳しかったであろう。電源は、RCA独自の4Vの積層電池を使用する。

(所蔵No.12176)

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RCA Model RJG12E  6石ポケット型スーパー Radio Corpration of America (U.S.A.) 1964年頃 日本製

  

6-Trs. (Sanyo), DC9V (RCA #VS323, 006P相当)

RCAのポケットラジオ。日本製で三洋電機のトランジスタが使われている。三洋電機で作ったものかどうかは不明である。銘板に表示されているように、色違いで3種類のバリエーションが存在した。

(所蔵No.12116)

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RCA Model RZG104Y  6石ポケット型スーパー RCA Corp. Consumer Electronics Division (U.S.A.)  1968年頃 香港製

  

6-Trs. DC9V (RCA #VS323, 006P相当)

1960年代後半のRCA製ポケットラジオ。こちらは日本製ではなく、香港製である。しかし、使用部品はトランジスタを除き、フォスターのスピーカ、ミツミのバリコンなど大半が日本ブランドである。日本製トランジスタラジオのライバルとして香港勢が台頭したが、実際にその技術を支えていたのは現地に進出した日本メーカだった。

(所蔵No.12117)

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RCA Model PA-8 8石スーパー RCA Victor Company, Ltd. (Canada) / 東京芝浦電気(株) 1963年頃 (Code 710 OEM)

 

Trs: 2SB56 2SB56 2SB56 2SA29 2SA49 2SA63 2SB54 2SB54 .(Toshiba), DC6V: 4 - RCA VS034 or VS 334(UM-3相当)

RCAブランドの8石中波スーパー。アメリカではなく、カナダ法人向けの日本製OEM製品である。ケースに刻印されたコードナンバー710から、東芝製品であることが確認された。
このクラスのラジオは、日本では日本短波放送があったために短波付きの2バンドであることがほとんどだが、アメリカでは中波のみでよかったのか短波は落とされ、短波のダイヤルがあったであろう位置には会社名が記されている。かつての親会社との縁もあったのかもしれないが、日本の一流メーカも北米の企業向けにOEM製品を作って輸出していたことがわかる。

(所蔵No. 12308)

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SEARS model No. 2219 10石ポケット型スーパー Sears Roeback and Co., U.S.A. and Simpsons Sears Ltd., Canada, 1965年頃 香港製

 

10-Trs.(Toshiba), DC9V (Silvertone 6417), BC only

アメリカの通販大手、シアーズブランドの小型ラジオ。アメリカのシアーズ・ローバックとカナダのシンプソン・シアーズで販売された。この程度のセットは通常6石だが、この機種は10石と、トランジスタが多い。低周波部の石が水増しされたような回路と思われる。

香港製だが、東芝のトランジスタ、フォスターのスピーカ、ミツミのバリコンなど、主要部品の大半が日本製である。いかにもアメリカ好みのデザインだが、パネルはプラスチックにメッキをかけたものである。カラー・バリエーションとして、この"White"の他に、model 2217(Black), 2218 (Brown), 2220 (Blue)が存在した。

(所蔵No.12137)

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Westinghouse model H-902P6 GP 6石ポケット型スーパー Westinghouse Electric corp. Television Radio Div. (U.S.A.) 1963年頃 日本製

 

6-Trs.(Matsushita), DC9V (NEDA 1604, 006P相当)

ウェスチングハウスのポケットラジオ。日本製で松下のトランジスタが使われている。JAPANの文字は、底部に小さく刻印されている。

(所蔵No.12115)

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アクセサリ


ゼネラル・トランジスターラジオ用電源アダプタ type B 八欧電機(株) 1957年

 

トランジスタラジオ発売直後に用意されたACアダプタ。プラスチックケースに入った現在の「ゲンコツ」アダプタを見慣れた目から見ると、ずいぶん立派な作りである。

本機は新品未使用である。

(所蔵No.10061)

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ナショナルホームスピーカー SPT-51型 松下電器産業(株) 1957年 1,800円 

 

松下がトランジスターラジオ1号機の発売と同時に用意した外部スピーカ。キャビネットは木製である。トランジスターラジオを据え置きラジオ並の音で聴けるというのが売りだった。当時の販促資料(1)では、トランジスターラジオとこのスピーカを組み合わせてカーラジオとして使う方法が提案されている。ナショナルのトランジスターラジオ1号機はEB-165型とEB-180型の2種類だが、ポケット型のEB-180型は、出力が小さく、外部スピーカをつなぐことができなかった。このスピーカはEB-165型専用であった。

(所蔵No.10081)

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ナショナルホームスピーカー SPT-641型 松下電器産業(株) 1960-61年 1,600円 

 

トランジスタラジオのイヤホン端子に接続して使う外部スピーカ。初期の製品に対して、箱をプラスチックにして低価格化された。トランジスタラジオが発売されたばかりに頃は、出力が小さく、音量、音質とも不十分だったために、このような外部スピーカが各社から発売された。この製品の場合、壁掛け兼用になっている。1960年代に入ってトランジスタラジオの性能が改善されただけでなく、部屋の高い位置に置いて家族で聴取する従来のスタイルから、ラジオを手元において個人で聴取するスタイルに変化したため、このような製品は必要なくなっていった。

本機は、元箱入りで発見された。キャビネット表面に劣化が見られるが、使用感はなく、新品と思われる。

(所蔵No.10060)

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参考文献

(1) 『ナショナルラジオパーツ ご販売のしおり』 第86号 (松下電器産業(株) 1957年)
(2) 『松下電器貿易50年のあゆみ』 (松下電器貿易(株) 1985年)

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